足のふくらはぎに激痛が走り、痙攣する「こむら返り」。
走っているときや、寝ているときなどに突然起こるこの現象はふくらはぎの筋肉が縮み過ぎることによって起こります。
ここではどうしてそういうことが起きてしまうのか?という原因と対策について語りたいと思います。
筋肉の仕組みと「つる」の関係
足がつるのは「筋肉が縮みすぎている状態」なのですが、筋肉が縮むのはどういうことかを簡単に知っておいてほうがいいと思うので少しばかりおつきあいください。
まず筋肉には大きく分けて「平滑筋」と「骨格筋」があります。僕らが普段、筋肉と認識しているのは「骨格筋」のほうです。平滑筋は血管とか胃袋とかの内臓を作っている筋肉です。あれは実は筋肉でできていたんですね。細かくいうともっといろいろあるのですが、平滑筋は自分の意思でコントロールできない筋肉です。反対に「骨格筋」は自分の意思でコントロールできる筋肉です。ここでの筋肉はこの「骨格筋」のことを指します。
筋肉は全身のありとあらゆるところに存在していて、その目的は「体を動かすこと」です。筋肉があるから、立ったり座ったり歩いたり走ったりできます。
筋肉が縮むことによって骨と骨を近づけて腕が曲がります。


この収縮がなんらかの原因で過剰にいきすぎた状態がいわゆる「つった状態」です。
縮みすぎてそれ以上縮めないところまでいってしまって力が行き場を失ってプルプルふるえている状態です。
わかりやすくいうと両手を胸の前で合わせて強く押し合っても、右手と左手それぞれの力と力が行き場を失くしてぶつかり合って腕がプルプル震えますよね。こういうことがふくらはぎの中で起こっていると考えるとわかりやすいかと思います。
でも手を強く押し合っても「痛い」とまではなかなかいかないと思います。それは無意識に自分で力をセーブしているからなんです。ふくらはぎの中で起こっていることはこれの比ではありません。つった状態っていうのは本人の意思なんか関係ありませんので、どこまでも行ってやろうとしてるんですね。コントロールできないんです。
ではなぜこんなことが起こってしまうのでしょうか?

さまざまな原因がある
冷えによる血行不良
筋肉が縮みすぎる原因のひとつに「冷え」があります。特に足は心臓からいちばん遠いところにあるので冷えやすいんです。足の冷え性で苦しむ人が多いのはこういうところにも原因があったりします。人間の体は温度が低くなると縮もうとします。寒いときに肩をすぼめてプルプル震えたりしますよね。それと同じように血管も冷えてくるとギューッと縮んで温度を保とうとするんです。
血管が縮むと表面積が小さくなるので血液の流れが悪くなります。血行が悪くなると言ったりしますが、こうなると筋肉に酸素と栄養がじゅうぶん行き渡らなくなってしまうんですね。そうすると筋肉がパニックを起こしてしまって縮みすぎてしまうっていうイメージです。
気温が低い冬のほうが起こりやすいと思われがちですが、冬は寒いので防寒対策として靴下をはいたり、ふとんを足までかけて寝ることが多いので、どうやらそうでもないみたいです。

反対に気温が高い夏のほうがエアコンを使って部屋を冷やしてふとんは薄いものを使って足までかけることが少なくなるので足が冷えてしまうことが多いように感じます。
なので対策としては足は冷やさないように何かしらの工夫をすることです。足をじゅうぶん温めてから寝るとか、靴下をはいて寝るとか。いちばんいいのはストレッチを毎日して筋肉を常に柔らかい状態にしておくことです。そうすれば足がつるということは起こりにくくなります。
疲労の蓄積による血行不良
同じように血行が悪くなるもので「疲労の蓄積」があります。
疲労がたまると筋肉に老廃物が少しずつたまっていきます。老廃物が邪魔になって血行が悪くなるというパターンです。ちょうど排水溝にゴミが少しずつたまって水の流れが悪くなるようなイメージを持っていただくとわかりやすいかと思います。

この「疲労の蓄積」っていうのは長年の積み重ねによるものがけっこう多くて一朝一夕でなるものじゃありません。
なので筋肉が硬くなってしまっていてひどいときには「肉離れ」を起こしてしまったりします。
生のお肉は弾力があってプニプニしてそして柔らかいけど、ビーフジャーキーは弾力がなくてなかなか噛み切れないみたいな感じです。疲労が蓄積した筋肉は「ビーフジャーキー」みたいなものです。硬くなってしまってはいるのですが、ビーフジャーキーと違うところは硬いくせに切れやすいことです。筋肉は硬くなっても乾燥してるわけではないので切れやすくなってしまいます。肉離れが起こりやすいのはそういった理由からです。

オーバーヒート
運動中におこる「こむら返り」はこれまでの血行不良とは少し違っていて、筋肉の収縮に必要なエネルギー源の「糖質」が不足することによって起こります。
運動量とエネルギーの補給のバランスが崩れて運動量のほうが多くなってしまうと、車のエンジンが熱くなりすぎて起こる「オーバーヒート」のような状態になります。これは普段運動不足な人ほど起こりやすい現象です。
そうやってオーバーヒートを起こした筋肉はパニックを起こして縮みすぎてしまって「足がつる」という状態になってしまいます。

無意識に足を動かすことで起きるこむら返りの原因
気持ちよく寝ているのに一瞬で目が覚める絶望的なあのふくらはぎの痛み。これを読んでいる方なら一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
人は睡眠中の動きは自分の意思でコントロールすることができません。寝返りをうつとき、伸びをするときなど。これらは無意識でやってしまうことです。
起きているときなら「これ以上動かしたらヤバそう」ということが、知識がなくてもなんとなく感覚でわかるものです。
寝ているときというのはそういう意識がまったくないのでそんなことおかまいなしにやってしまいます。
寝違えて首が痛くなるのもこれとまったく同じ原理です。

予防と対策
いちばんいいのは「筋肉がこむら返りを起こさないこと」で、そのためにやるべきことは「筋肉を常に柔らかく保つこと。」です。たったこれだけのことです。
口で言うのはものすごくカンタンなことなのですが、実際にやるとなると、それなりの「しんどいこと」が必要です。だけど、「足がつってしまう」という激痛と「毎日継続」という少しばかりしんどいことを、天秤にかけたとき、どちらが自分にとって幸せなのかを考えてみてください。

予防法その①「冷やさないこと」
ふくらはぎは心臓から離れているのでどうしても血液が行き渡りにくいところです。
なので必然的に冷えやすいんです。あまりそういう意識がないかもしれないですが、触ってみるとけっこう冷たかったりするんですね。しかし。こればっかりはいってしまえば「自然の摂理」なのでどうしようもありません。
なので対策として比較的ラクで、かつ効果抜群なのはお風呂にゆっくり浸かってゆっくり温めることです。

オススメは少しぬるめのお湯で半身浴で20〜30分ぐらいゆっくりつかるとイイです。
「足湯」もかなり有効な方法で、バケツにお湯を入れてこれも20〜30分ぐらい温めるといいと思います。ただバケツでの足湯の場合、特に冬だとお湯がすぐに冷たくなってしまうので効果が半減してしまいます。なのでできるならお風呂でゆっくり浸かるほうがいかなと思います。
予防法その②栄養をしっかりとること
筋肉が活動するためにはカルシウムやナトリウムといった栄養素が必須アイテムになります。
ふつうに生活していればこれらが不足することはあまりありませんが、ダイエットなどで栄養が足りてないとこむら返りを起こしやすくなったりします。カルシウムは牛乳とか小魚とかを、ナトリウムはお味噌、醤油、などの食塩とかに多く含まれているのでそれらからしっかり栄養を取ってください。
ほかにも海藻とかイモなどのでんぷん、豆類に多く含まれる「カリウム」が筋肉の収縮と大きく関係しているのでそれらもぜひ適度に摂取してください。

予防法その③「筋肉をほぐすこと」
筋肉が硬い状態にあると、「こむら返り」が起こりやすいです。硬い筋肉はほぐしてあげないとなかなか勝手に柔らかくなることは考えにくいです。
その硬い筋肉をほぐすために速効性があるのは「ストレッチ」です。
ストレッチをすれば一時的に筋肉が伸びて血管が広がって血行が良くなります。
それで酸素や栄養がじゅうぶんに行き渡るので1、2時間は乗り切ることが可能です。気分的にも「あースッキリしたー!」ってなるのでぜひお試しください。
残念なことにストレッチは毎日継続しないとすぐ元に戻ってしまうので、できることなら毎日継続してみてください。
筋肉をほぐすためには適度な運動をするのもイイですね。運動をすれば、筋肉を使って体が温まるのでそのぶん血管も広がりやすくなります。

ここまで述べたようないろんな対策をしていても、残念ながらどうしてもこむら返りを起こしてしまうときはあります。
そんなときは筋肉を伸ばして、手などでほぐして温めるとイイです。
何よりも大事なこと
いちばん大事なのは何よりも「気持ち」です。
健康な状態を保とうとする姿勢が何よりも大事なことです。僕がとったデータでは、こむら返りを起こしやすい人っていうのは、自分でなんとかしようという意志を感じられない人が圧倒的に多いことがわかりました。大変残念なデータではありますが、それがどうやら現実のようです。
こんなにもネットとかで情報があふれてるのにもかかわらず、です。

、というわけでこむら返りを起こさないためには手間もお金もかからなくて方法としてはカンタンだけど継続させることがムズカシイという人間の本質にたどりつくことができました。
気持ちを切らすことなくできればこむら返りなんかチョチョイのチョイなのでどうかご自愛ください。
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