オンライン絵画教室【Dの部屋其の七】

絵はバランスが命・後編

 

 

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こんにちは。Dです。

 

本日は「絵はバランスが命・後編」、画面全体のバランスと線のバランスっていうテーマで能書きをたれていこうと思います。

 

前回、このネコが子ネコに変身したみたいに、パーツのバランスをイジくるだけで印象ってガラリと変わります。それと同じことが画面全体でも起こるんです。こんな感じで♡

これは単純にズームアウトしただけなのですが、これだけでもずいぶん印象が変わると思います。

 

こういうのを絵描き界隈では「構図」っていいます。
「この構図が素晴らしいよね♡」みたいな言い方をしたりします♡
なので画面全体のバランスをとることを「構図をとる」とかゆったりします。

要は、この真っ白な枠の中に何をどう配置してどれぐらい近づけたり、遠ざけたりすればみた人の心を揺さぶれる絵に仕上がるのか?っていう、とてつもなく奥が深い話なんです。

オリジナル作品を描くときに多くの人がぶち当たる問題なので、模写をするときとか、他の人の作品をみるときとかにも「なんでこの絵はこの構図にしたんだろう?」とか、いろいろ深く考えてみてください。

あなたの心が揺さぶられたその作品には必ず何かしら作者の意図があるハズで、それにまんまと乗せられてしまったんです。僕もこれまでにたくさんの作品にまんまと乗せられています。

今度はあなた自身がみた人の心を揺さぶれる作品を作れるように、まずは構図の知識を頭に叩き込んでみてください。

 

◾️構図の基本

 

構図を考えるのって言い換えるとカメラをどこに置いてどんな遠近感でフレームの中に収めるかなんです。あと、手でこんなふうにしたり。

で、その前にそのフレームが縦長なのか、横長なのか、はたまた正方形なのかをまず決めます。それだけでもみえ方、みせ方は全然違ってきます。

 

これは何をメインにして描くかとか、その、形、配置とかによっても変わってきて、

たとえば人物画を描くってなったときに、立ってる人をモデルにするんだったら縦長のほうが高さと奥行きを表現できるし、

寝そべってるモデルさんだったら横長にしたほうが体全体が入って広がりを表現できたりします。

あえて顔だけをドン!って表現するために正方形のフレームにしてみたりとかもありますね。横長の構図は人間の視覚に近い印象になるから安心感が生まれたりします。

だから風景とかって横長がけっこう多かったりするんですね。

で、この縦と横の長さの比率のことをアスペクト比とか言ったりするので、覚えておいてサラッと言ったりすると尊敬の眼差しでみられたりすることもあります。笑

♯逆に恥かくこともあるので使い方には注意が必要です

 

構図の真髄

 

いろいろごちゃごちゃ言ってきたんですけど、ハッキリ言ってこの「構図」っていうものには「これが正解」っていうのはないんです。Aがいいっていう人もいればBがいいっていう人もいる。それが果たして正解なのかどうかはみた人次第です。それに関してすごく面白いのがあって、あの、電車の中の吊ってる広告あるじゃないですか?あれにフェルメールの「牛乳を注ぐ女」っていう絵が横に2枚並んでて、どっちが正解でしょう?みたいなやつがあったんです。こんな感じの。

20年ぐらい前の話なんですけどいまだにハッキリ覚えてるんです。

 

「イヤ、こんなん正解なんかないやん!」

こんなもんどっちがいいかなんて人によって全然違うし、同じ人でもそのときの気分とかによってもどっちがいいかなんて変わってくるやん!

って当時なんか勝手にひとりでキレてました。笑笑

 

その考えは今も変わってなくて、構図の良い・悪いはみた人の感性に委ねるしかないんです。その上でじゃあ僕らは何をするべきか?なんですね。

その答えは、状況によって変わってくるっていうことを大前提に踏まえないとダメなんですけど、基本的には「その構図で何を表現したいか?」っていうことに尽きます。

 

これは人の絵を使って説明してもよくわからなくなるので僕の絵で解説します。

あくまでひとつの「例」として受け取ってくださると嬉しいです。

この絵は僕のお気に入りで、「聖剣伝説」っていうめちゃくちゃやり込んで何十周もしたゲームがあるんですけど、その世界観が大好きすぎて絵にしちゃったやつです。完全に自己満足です。

ちょっとだけこのゲームを語らせてください。

2分ぐらいにまとめます。

 

その世界には「マナの樹」っていう、たぶん直径五十メートル以上はあるクソでかい樹があって、その樹は宇宙のすべての力を感じ取って、それをエネルギーにしてどこまでも育つんです。マナの樹に触れた人は永遠の力を手にすることができるっていう伝説がありました。その世界のグランス公国っていう国の王・シャドウナイトっていう人と、その側近で魔導師のジュリアスっていう人がその力を自分だけのものにして殺戮と恐怖で世界を自分のものにしようと企んでいました。どこの世界にもいますね、そんなヤツ。

で、このゲームの主人公は最初はそのグランス公国のお城で奴隷剣士として毎日毎日モンスターと戦ってそれを国の貴族たちの見せ物にされていました。

そんな過酷な日々の中、共に血を流した仲間の奴隷剣士たちが次々と倒れていって、ついにはウィリーっていう親友までもが死んでしまいます。で、そのウィリーの死をきっかけに主人公は脱走を決意します。んでなんとか隙をみて脱走には成功したものの逃げる途中に城の近くの滝つぼでシャドウナイトとジュリアスが滝の上にあるらしいマナの樹について密談してるところに出くわして滝から落とされてしまいます。

で、なんとか生きて見知らぬ土地にたどり着いた主人公はモンスターに襲われてる少女とその護衛の男を助けるんですけど、護衛の男は力尽きて死んでしまいます。

特に生きる目的もなかった主人公はその護衛の男の最後に遺した言葉に従って、少女と共にボガードっていう老剣士に会いにいきます。

そしてここから主人公と少女の運命の歯車が少しずつ狂い始めていくんです。。。

もう、このゲームマジで最高でめちゃくちゃ面白いんで、ぜひ一回やってみてください!

 

で、最終的に少女の正体は実はマナの一族でマナの樹の「種」だったってことが判明します。

マナの樹の妖精みたいな感じです。

そしてそして今現在世界を見守ってくれてるマナの樹は実は少女のお母さんだったっていう。そのお母さんの樹がさっき出てきた魔導師・ジュリアスとの最終決戦に巻き込まれて跡形もなくなっちゃうんです。そしたらお母さんの精霊が出てきて「次はあなたがマナの樹になる番です」って少女に告げます。

少女は少し考えて、お母さんがやってきたのなら…って、自分自身もマナの樹になることを決断します。

このとき少女は何を思ったんだろう、とか考えるともう、胸が張り裂けそうになります。

 

で、少女の種は成長して芽が出て大きなマナの樹へと成長していくっていう、嬉しいような寂しいような、、、なんとも言えない物語なんです。

この絵はそんなステキな物語の未来予想図なんです。大きく成長したマナの樹は世界を見守ってくれてます。ときどき人間の姿で現れて当時のことを思い出したりしてるのかなぁ…とかね。たぶん主人公のことを愛してたと思うんですけど、それよりもマナの樹として生きることを選んだんです。彼女は。その決意ってどれほどの覚悟だっただろう…とか。樹がこれだけ大きく成長してるってことは彼女が愛した主人公はたぶん天寿をまっとうして彼女が見つめる世界にはいないと思うんです。

それをどんな気持ちでみてるのかなぁとか。

 

なんかいろいろ考えれるような構図にしたいなぁと思ったんです。

だからなんと言っても主役はこの少女です。なので真ん中にドン!と。

でもマナの樹の存在は欠かせないので、その存在感を前面に押し出すために画面の半分ぐらいを占領してる構図にしました。

少女がこのサイズになったのはマナの樹の大きさを際立たせるためです。大きいと言ってもまだまだ成長途上です。それでもこのサイズだからすごいですね。

で、顔はあえてみせないように後ろ姿にしました。そのほうがなんか決意とか覚悟とかが表現できるかなぁと思ってこうなりました。

それをさらに強調できるように夕陽が沈むのを背景にして、少しだけ風を吹かせてます。

なんか風を吹かすと画面に官能性が増すってジブリの宮崎駿氏が言ってたので丸パクリしたらホントにいい感じになりました。笑笑

 

…といった感じでこの絵の構図はいろいろ考えた末にこうなりました。

最大の基準はあくまでも自分が気持ちよく表現できてるかどうかです。いろんなことを必死こいて考えてこれがいい!ってなったんならそれがいちばん納得いきます。自分が納得いったものは描いてても楽しいし、他の人にも胸張ってみせることができるんです。そのときの反応がよかったらそれはすごく自信につながるし、反応がイマイチよくなかったとしたら、それも自分の責任なので、受け止めて、じゃあどうすればいいか?っていうのを前向きに考えれるんです。

なので、構図を考えるときはとりあえず自分が何を表現したいか?っていうのを常に自問自答して最終的にのれだ!っていうものをみつけれるまで必死こいて考えてみてください。

 

というわけで今回は絵はバランスが命・後編をお送りしてまいりました。

ホントは線のバランスも解説したかったんですけどだいぶ長くなっちゃったのでまた次回解説します。

 

オマケ・いろんな構図

 

構図には「美しいと感じやすい」っていわれてる、いわゆる王道パターンというものが存在しておりまして。面白いのでいくつか紹介しようと思うんですけど、先にこういうの知ってしまうと頭デッカチになっちゃう気がしたので、オマケとして最後に置いときます。

もちろん知ってしまったからといって特にあんり影響ないと思いますけどね。

僕はこういう理論的なことを先に知っちゃうとなんかしらけちゃうタイプで、←めんどくさいヤツ

こういうの知ったのってだいぶ後からなんです。

こういうのを覚えてていろんな絵をみたときに「あ、これ〇〇だ!」って気づいたりするとムフフ❤︎ってなってなかなか面白いですよ。

 

ちなみにですが。

 

音楽には「カノンカード」っていう王道パターンのコード進行があって、このコード進行で作られた曲はすごくいい曲に聴こえるっていうのがあります。物語を作るときにも「ヒーローズ・ジャーニー」っていう王道パターンの物語の土台みたいなのがあって、この土台に則った物語は感動を生みやすいんです。面白いので一回調べてみてください。

 

 

◾️分割法

 

まず分割法というやつを。

これは画面を直線で均等に区切ってバランスをとることで全体的な見栄えがよくなる方法で、二分割法とか三分割法とか四分割法があります。

二分割法

 

画面の縦横を均等に二分割してその線を水平線にしたり地平線にしたりするヤツです。

基本的には水平を保ってたほうがいいですけどあえて斜めにすることで画面に躍動感を演出することもできます。こんなんとか。

画面を均等に三分割にしたり四分割にして、その分割した線の上に水平線とかを合わせたり線と線が交わってるところにモチーフを配置したりします。

 

◾️三角構図

 

画面の中に三角形を作ることで奥行きとか広がりを表現できるヤツです。

建物とかをこの構図で描くと高さとどっしりとした安定感を表現できます。

他にも似たような感じで放射線構図とか対角線構図とかがあります。

 

◾️日の丸構図

 

 

初心者が陥りがちないわゆる工夫のない構図ってヤツです。

でもあえてど真ん中にモチーフを配置することで迫力を表現することもできるので一概にそうとは言い切れないんです。こんなんとか。

似たようなヤツで画面が左右対象だったり上下対象だったりするシンメトリー構図とかがあります。

 

◾️面白い構図

 

 

ここまでは構図の中でも特に王道中の王道って言われてるものばっかりで、こういう構図がそこかしこにたくさんあるので注意してみてみてください。

 

で、ここからはちょっと他とは違う、面白い構図を解説します。

 

レイルマン構図

鉄道写真家の中井精也氏が考案したのでこの名前がついたそうです。鉄道なのでレイルマンです。

縦に四分割した線と対角線が交わったところにモチーフを配置するっていう、三分割法に似た感じのやつです。レイルマン構図はどっちかっていうと画面に広がりを持たせるための構図で、風景画と相性がいいって言われてたりします。

 

黄金比率

人間の目には「美しい…」って感じてしまう黄金の比率っていうのがあって、それが1:1.618なんです。

で、その比率を使ったのがファイグリッド構図とフィボナッチ構図です。

これがファイグリッド構図で、

これがフィボナッチ構図です。

 

ファイグリッド構図も三分割法に似てるところがあって、さっきのレイルマンと同じで画面に広がりを持たせてなんとなくゆったりした感じの構図になります。

で、構図でいちばん面白いのがこのフィボナッチ構図です。フィボナッチ螺旋とも呼ばれたりします。これは特にいちばん美しくてバランスが取れてるって言われてる構図で、かの有名なダヴィンチのモナリザなんかもこのフィボナッチ構図で描かれてるとかなんとか。

 

以上、オマケでした。

 

それではまた!