絵を描く人にとって「画力を上げたい」という悩みは尽きません。
画力が上がれば、それをみた人が言葉を失うほど心を揺さぶられます。
もしかしたら今のままでも考え方を変えると画力が上がる、っていうお話です。
画力を上げる=上手く描けるようになる
と、とらえることが多いと思います。
たしかにそれもあります。でもそれって「描写力」なんです。
画力にはいろんな要素があって、そのうちのひとつが「描写力」です。
他にも観察力、知識、感覚(感受性)、雰囲気・空気感の5つの要素が組み合わさった総合力が「画力」です。
図で表すとこんな感じ。
で、今のレベルがたとえばこういう感じだとします↓
他の要素のレベルを上げれば総合的な画力が上がるわけですね。↓
もっというと、描写力以外の要素のレベルが上がることで、描写力が底上げされます。
描写力を上げようと思ったらひたすら描くっていうことをしないといけないですが、その他の要素は考え方を変えたり、意識するだけでわりとすぐ上がるものなので、今すぐ上がるかもしれません。
これはやらない手はないですねっっ。👍✨
具体的に解説していくので参考にしてください。
画力の要素①感覚(感受性)を磨く
絵を描く目的って人それぞれあると思うのですが、最終的にたどり着くところは自分以外の人にみせて、その人の心を、魂を揺さぶることだと思うんです。
ただただ自分で描いた絵をみてニヤニヤするだけなんてことはないですよね。
どうせ描いたなら人にみせてすげぇ!って言ってもらいたいじゃないですか。
じゃあ。
まずは描いた本人が自分の絵をこれはすげぇ!って思えるものを描くのは当たり前のことです。
まずはそれがないと人にみせれないですよね。
でもそれをみた人がどう感じるかっていうのはわからないんです。
すげぇ!って言ってくれるかもしれないし、はたまたいやぁ…微妙…ってなっちゃうかもしれない。
それはみせてみないとわからないことです。
ある程度上手く描けてたらだいたいの人は驚いてくれます。
でもたぶん「オオー、ウマイヤン」みたいな棒読みの感想しかくれないと思うんです。
回数を重ねれば重ねるほどその熱量は下がっていって次第に向こうもしんどくなってくるのが関の山です。
そんな反応だとシュン…ってなっちゃいますよね。
人の心を、魂を揺さぶって絶句してる姿をみるのが我々絵描きの喜びですよね。
人の心を揺さぶる絵を描くには、感覚(感受性)を磨かないといけません。
あなた自身が言葉を失うほどの衝撃を受けた絵をみたことがあればその感覚を思い出してください。
もしそういう体験をしたことがなければ今すぐ探してみてください。
自分がそういう感覚にならないと人にその感覚を与えるのは難しいです。
まずはその感覚の精度を高めてより鋭くするんです。
そのために何をすればいいかというと。
とにかくたくさんの芸術に触れることです。
絵だけじゃなくて音楽、映画、マンガ、建築、なんでもござれ。
たくさんの芸術に触れて自分の心を揺さぶるんです。それをやればやるほどその感覚は磨かれていきます。
その感覚が人よりも優れてないと心を揺さぶる絵を描くことは難しいです。
で、ですね。
人それぞれその感覚って違うんです。
十人十色とはよく言ったもんで。
なので、たとえばAさんは感動してくれてるけどBさんは全然感動してない、みたいなことが平気で起こるわけですね。
万人受けする絵なんて存在しないのですが、限りなくそれに近づけるためには、大衆受けする感覚みたいなものを磨かないといけません。
何が流行ってるかを知る、みたいな感じですね。
ネットで「凄い絵」みたいなのを検索したり。会う人会う人に自分がすごいと思う絵をみせてみたり。その絵は自作他作どっちでもかまいません。
そういうことを繰り返してると、ある程度のボーダーラインみたいなものは存在してることがわかってきます。
「これはだいたいの人が感動してくれるだろう」みたいな感覚がつかめてくるんです。
それがわかればもうそこはそんなに深追いしなくて大丈夫。
後は自分で「この絵は素晴らしい出来だぞ…グヘヘヘ…」っていうぐらいの魂のこもった自信満々の絵を描けば、たいていの人は魂を揺さぶられて絶句するはずです。
でも必ずしもそうとは限らなくて、失敗する可能性も大いにあるので、それはみせてみないとわかりません。
この「感覚(感受性)」は画力の中でも他の人と繋がる部分なので特に大事です。
気をつけないといけないのは、あんまり他人の感覚ばかりを追っていると、何がいいのかわからなくなって、自分を見失って迷路に迷い込んでしまうことがあります。
そうなるとなかなか抜け出せないので、自分の感覚は大切に。ほどほどに。
画力の要素②知識を身につける
知識は画力アップにつながります。
「絵を描く」って不思議なもので、描く対象のことを詳しく知ってるのと知らないのとでは表現が全然変わってきて、知ってる方が自然と魂のこもった絵になって、みた人の心を揺さぶることができます。
その理由は、知ってることで「ここはこうなってるからこうだ!」と、自信を持ってエンピツを走らせれるからです。
何も知らなければ「ここはこれで合ってるのかな…」と、迷いが生じてしまって自信を持ってエンピツを走らせることができません。
たとえば人物画を描く時に、人間の骨格や筋肉の知識があれば「ここの骨はこうなってここに筋肉が付いてるからちょっと盛り上がってるよな……」とか言って、ものすごくリアルな体を表現することができます。知識がなかったらそんなこと絶対できません。
さらに人物画だと、その人としゃべったことがあったり、性格を知ってれば表情とか仕草とか細かいところまで表現できるようになります。
そして知ってることで描く時のモチベーションも上がったりするので描く対象のことは細かいところまで知っておいた方がいいです。
描く対象だけじゃなく絵描きはいろんなジャンルの知識の引き出しを持っておいた方がいいです。
一見ムダに思えるような知識でも、いつどこでヒョンっと絵に繋がるかもしれません。
いろんな経験をすることも知識として武器になります。
本とか他の人から聞いたようなことでもじゅうぶん知識として役立てることはできますが、自分で経験したことっていうのはミリ単位で事細かに感じて得た知識です。
なので説得力がすごいことになります。
そして何よりも。いろんな知識や経験があるといろんな人といろんな話ができるので、人としてのレベルが上がります。これがなかなか不思議なもので、そういういろんな経験がある人の描く絵っていうのはすごく深みが出てくるっていう芸術のマジックみたいなものがあるんです。
経験値があればあるほど画力アップに大きく影響してくるので、絵に関する知識はもちろんのこと、他にもあらゆる知識や経験を身につけておいた方がいいですね。
画力の要素③:対象物を知る観察力
知識を身につけるには観察力が不可欠です。
ここはわりと冷静に。
いろんなことを分析する感じで。
絵に描く面はもちろんのこと、絵に描かない面、こちら側からはみえない部分もよーく観察することが大切です。
そしてただみるだけではなく、実際に触ってみて質感を確かめてみたり、食べれるものだったら実際に食べてみたり。
匂いをかいでみたり。
対象物の情報をこれでもかというぐらい搾り取るのです。
中身がみえない場合は分解してみたりして、中がどうなってるのかを知るのもイイですね。
生き物だったらさすがに解剖するわけにはいかないので(できるならした方がいいですが)、本とかネットで調べたりします。
特に人間を含む動物の絵を描く場合は、骨格とか筋肉の位置を知っておくと、すごくリアルな感じを表現することができるし、躍動感もすごいことになります。
とゆーわけで。
画力アップには観察力は不可欠です。
が。
観察はできるだけ冷静に。
じゃないと大切なものを見落としてしまうかもしれません。。。
画力の要素④雰囲気・空気感
おそらく絵においていちばん大切なものがこの雰囲気・空気感です。
たった1枚の紙切れの上に描いてあるだけなのに、なんか知らないけど雰囲気に飲み込まれるというか、そんな絵があります。
海の絵をボーッとみてるだけなのに、なんか波の音とかカモメの鳴き声が聞こえてきたり、潮の匂いが漂ってきたりとか、そういう、圧倒的な表現をしている絵があるのです。
目指すべきはそういう、触れた人を絶句させる、パワーに満ちあふれた絵です。
そういうものを絵かきとして表現するためには、実際にそういう体験をすればいいのです。
海の絵だったら実際に海に行って、そこで海を思いっきり全身に感じさせるのです。
波の音、カモメの鳴き声、潮風、浜辺の砂、それらを全身に思いっきり浴びせるのです。
そしてその感じたものをそのまま紙の上にぶつける。
その時はただただ無心に。できるだけ邪念が入らないように。
それは場所だけじゃなくて動物とか人間も同じ。
人なら人の、動物なら動物の、それぞれ独特の雰囲気・空気感を醸し出しています。
そういうのを極限まで感じ取るのです。
それが画力アップに大いに影響を与えてくれます。
画力の要素⑤描写力
これまでお話してきた「感覚」、「知識」、「観察力」、「雰囲気・空気感」のすべてをまとめて1本の筆を通して紙に表現するのが「描写力」です。絵描きのすべてはここにかかってきます。
描写力は線を自分の思った通りのところに描く力です。
描写力がある人は筆を意のままに操って、二次元の紙の上に見事な世界観を表現してしまいます。
どれだけ感覚が優れてても、どれだけ観察しても、どれだけ知識があっても、最終的に描く線がイマイチだったらすべてが台無しになってしまいます。
紙と描く人をつなぐものはたった1本の筆だけだからです。
ナンダカンダ言いつつ、描写力は画力の中でもすげぇ大事なものです。
だからこそ。
描写力を上げるには血のにじむような努力が必要です。
何度も何度も挫折を味わって、それでも乗り越えれた人だけがたどり着ける場所です。
決して簡単な道ではないことは間違いないのですが、それでも最短距離で絵を上手くなろうとする人は後を断ちません。
いや、、、むしろ遠回りした方が結果的にいい絵は描けるようになるよ?と、思いつつ、それはそれである意味遠回りになるからいっかー、、、と。
結局どの道をたどったとしても、遠回りすることは避けて通れないのです。
そんな苦難な道を辿ってこその絵描きの道です。
そして画力を上げるためには避けて通れない道でもあります。
「画力」は描写力だけじゃない
画力の画という字はいろんなところで使います。
絵画、版画、動画、映画、漫画、水彩画、水墨画などなど。
共通してるのは、全部区切られた枠の中で何かを表現して人の心を揺さぶろうとしていること。
そういう意味でいうと「画」という字は使っていませんが、写真なんかも同じです。
この中で動画、映画、写真は描写力がなくても表現できるものです。アニメーションは描写力が必須ですが、それ以外の動画や映画は撮影をしてそれを編集して音楽をつけたりしてひとつの区切られた枠の中で表現するもの。
写真も事前にいろいろ準備することはありますが、基本的には撮影のみなので絵を描く必要はありません。
でもこれらは人の心を揺さぶる作品がたくさんあります。
…ということは、動画クリエイター、映画監督、写真家の皆さんは画面を構成する力「画力」が優れている人たちといえます。
画力は描写力だけじゃないっていうことが証明されましたね。
逆に考えれば、動画や映画や写真は現実のものを撮影するので、実際には存在しない架空のものは作ることができません。
CGを使えば作れますが、それもある意味では描写力になります。
つまり、これまでお話したすべてのステータスがバランスよく備わっていれば、どんな作品でも生み出せるということです。
それが画力です。
関連記事⇒自分にしか描けない「個性的」な絵を描くために必要な3つのこと
まとめ
画力を上げるということはただ単に描く力を上げるということではなく、区切られた枠の中をいかに魅力的なものにできるか、人の心を揺さぶるものにできるかっていうことです。
同じ線を描いても違って見えるっていうのは、 その線一本一本に描く人のいろんなものがが詰まってるからです。
それは魔法みたいなもので、ここでお話したすべてのことをコツコツ積み重ねることで生まれるものです。
少しでも画力向上にお役に立てれば嬉しいです。
それでは今日はこのへんで失礼つかまつります。
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「ねんざ」検索から偶然このサイトがヒットし、サイトを拝見しましたが、本当に絵が上手ですね、久しぶりに、こんな、どれも上手な、見入ってしまう絵を見た気がします。ので、一言メールしたくなってしまいました。たしかに、こんなに引き込まれる絵、欲しくなってしまう絵だったら安売りはもったいないですよ。