自分にしか描けない「個性的」な絵を描くために必要な3つのこと

こんにちは。水墨画家のDと申します。

今回は「個性的な絵を描くために必要な3つのこと」というテーマで能書きをたれていこうと思います。

絵描きを志す人の悩みで多いのが「個性」問題だと思います。

「個性がない」とか言われたり、ほかの人と違う絵を自分だけの描きたいと思ったり。

 

結論から言うと、個性はそんなすぐに出せるようなものじゃなくて、いろんな人の絵をマネしたり吸収したりしてゆっくり時間をかけて育てていくものです。

なのでもしあなたの絵が「個性がない」とか言われたら、それは「個性がない」のではなく、まだ「育ってない」だけなのです。自分だけの絵を描きたい気持ちは痛いほどわかりますが、そんなにあせらなくても大丈夫です(^_-)-☆

たとえば僕も尊敬する鳥山明氏と井上雄彦氏は日本を代表する作家さんです。ふたりともすごく個性的な絵を描いていますが、いきなりあんなふうに描けたかというとそうでもありません。

時間をかけてゆっくりあんなステキな個性的な絵になっていったのです。デビュー作とかをみるとよくわかるのでお時間あるときにみてみてください。

鳥山明氏のデビュー作をみてみる

井上雄彦氏のデビュー作をみてみる

個性は「人マネ」から生まれる

 

個性は人マネをたくさんしていると生まれてくるものです。ひとりの作家さんだけじゃなく、いろんな人の絵をマネするといいと思います。それが多ければ多いほどオリジナリティが出てきます。

AさんとBさんとCさんの絵をマネしているとそれぞれのいいところを自分の中に吸収してあなただけの絵が生まれます。こんなイメージです。

 

さっきの井上雄彦氏でいうと水島新司氏、池上遼一氏、小林まこと氏、北条司氏、いろんな作家さんの影響を受けているのがわかります。

それぞれの作家さんの特徴をたくさん掛け合わせたのが井上雄彦氏です。

こんな感じで個性は生まれます。これは「絵」じゃなくても写真でも映画のワンシーンを切り取ったものでもなんでもおっけーです。

何を選ぶかの基準は「あなたが心を動かされたもの」です。

 

何に心を動かされるかが「個性」になる

 

 

「何に心が動かされるか」なんて10人いれば10とおりの感じかたが存在しています。

つまりそこがあなたの「個性」になります。

たとえば僕は水墨画家なので水墨画に心を動かされました。そして森本草介氏という写実画家に衝撃を受けました。このふたつを掛け合わせると「写実」と「水墨画」という奇妙な組み合わせになってこんな絵が生まれました。

ここにさらに僕は「幻想的」な写真とか風景が好きなんです。

それを掛け合わせるとこんな絵になりました。

『水墨画』と『写実』と『幻想的』これが僕が心を動かされて生まれた、いわば「個性の芽」です。まだまだ育てている最中なので、これからさらにいろんなものを取り入れて自分の「個性」を育てていきます。

こんなふうにまず、あなたが何に心を動かされるのかを自分自身で問いかけてみてください。

そこで導き出されたものがあなたの「個性の芽」になります。多ければ多いほどいいと思いますがたぶんそんなに10個も20個も出るようなものではないかなぁと。#出たら出たで面白いことになりそう

■恥ずかしがらずに

自分に問いかけて導き出したものがどんなものでもそれは受け止めてください。

たとえそれがまわりに公表すると恥ずかしいようなものでも、それがあなたの「個性」です。

「え?そんなん好きなん?」みたいにバカにしてくる、デリカシーのない人もたまにいます。強靭なメンタルを持っていればそんなの大丈夫だと思いますが、豆腐メンタルだと「なんか悪いことしてる」みたいな感じになって、気が引けちゃいます。

ホントは好きなのにそれを言い出せずにやめちゃう、なんてことになりかねません。

 

なので恥ずかしがらずに好きなものは好きだ、と言える強い心を持ってください。

自分自身の心がトキめくもの、「描いてみたい」と心底思うことが個性の始まりです。

それを少しずつ時間をかけて積み重ねることで「個性」は育っていきます。

なのでとりあえずタマシイが鷲づかみされるようなものを恥ずかしげりもなく表に出してみてください。好きなものを近しい人に言ってみるとかでもいいと思います。恥ずかしがったらダメですよ?

 

個性はゆっくり育てていくもの

 

冒頭でも言いましたが、個性はいきなりポンッと顔を出すようなものじゃなくてゆっくり育てていくものです。

よくあるのがまわりと違うことをしようとしすぎて自分のやりたいこととかけ離れたことをしようとするもの。

いわゆる「奇策」といわれるヤツです。これは自分のやりたいことはそっちのけになってしまっているので、結果的に全然面白くもない作品が出来上がってしまうというヤツです。

すぐに飽きられて消えていく一発屋芸人とかがそんな感じです。

自分が心動かされることを見つけるのってけっこう時間かかるし、それを熟成させるのにはさらに時間がかかるのであせらずにゆっくり育てていくものなんだということをご理解ください。

 

人マネから始まった面白い例

 

いろんな人のマネをして少しずつ吸収してそれを自分の中で昇華することであなたの「個性」はどんどん育っていきます。

それの典型的なわかりやすい例が漫画家さんです。さっき出てきた鳥山明氏も井上雄彦氏も漫画家さんです。

今の世の中で活躍している漫画家さんはほとんどの人が誰かしらの影響を受けています。

最初は似ていても徐々に自分なりの味が出てきています。

藤子不二雄氏と手塚治虫氏の関係がまさにそんな感じでとても面白いです。藤子不二雄氏は手塚治虫氏に憧れてプロの漫画家になる決意をしました。

憧れからか、絵のタッチとか雰囲気、空気感とかがめちゃくちゃよく似ています。

初期の頃なんかはとくに。

手塚治虫氏の描く人間の真理を見事についた作品は藤子不二雄氏もモロに影響を受けています。

「ミノタウロスの皿」という藤子不二雄氏の「S・F短編集」があるのですが、ドラえもんみたいな子ども向けの内容じゃなくてちょっと怖い作品になっています。僕は先に「S・F短編集」を読んで、そのあとに手塚治虫氏のいろんな作品を読んだのですが、なんか似てるなぁ、と思ったんです。

絵のタッチもそうだし、人間の真理をついてくるような内容もそう。

んでよくよく調べてみると藤子不二雄氏は手塚治虫氏にめちゃくちゃ憧れてる、という話を知ってすべてが納得いきました。

「そら似るわ」と。

面白いのでよかったら読んでみてください。

 

「個性」はただの言葉

 

さてさて。

ここまでさんざん個性について話してきましたが、なんだかんだでけっこうこの「個性」っていう言葉にとらわれすぎて本来の自分を見失っている人も多いと思います。

個性という言葉の意味を調べると、

個人や個体の持ってる特有の性質、ウンタラカンタラ・・・

と書いてあります。

わかりやすくいうと、「生まれた瞬間からみんなそれぞれ違うよー」です。

同じ両親から生まれてきてDNAがまったく同じ双子でも、同じ家で育ってるのにそれぞれ考え方とか感性とかが違ったりします。そりゃ双子でもクラスが違えば環境がまったく違うのでそれは当たり前のことですよね。

じゃあそもそもDNAが違って両親も育つ環境も違ってれば、考えかたとか感性が違うのはもっと当たり前ってことですね。

みんなそれぞれ感じかたが違っていて、10人いれば10通りのもののとらえかたや表現のしかたがあります。

個性はみんな持っているんです。

それなのに「個性」という言葉が強調されてしまうのは、日本という国が「みんな同じじゃないといけない」っていう教育をしてるからです。

ちょっとみんなと違うことをしたりすると注目の的になったりして、ひどいときは「変なヤツ」扱いです。たとえそれが良いことであってもね。

それが原因でイジメに合うこともしばしば。

この「みんなに合わせる」ということを教え込まれたおかげでそれぞれの「特有の性質=特質」がなかなか出てこれなくなってしまってるだけです。

というわけで「個性」っていう言葉にとらわれてしまうのは、そもそもみんな持ってるものなのに教育で押さえつけられてしまって、今度はそれを無理やり出さなくちゃいけなくなっている、っていうすごく二度手間な現象が起こっているからです。

なので個性とかオリジナリティとかなんてしょせんただの言葉なんだと考えて、自分としっかり向き合っていくことが個性を出すカギになります。

 

まとめ

 

以上「個性的な絵を描くために必要な3つのこと」というテーマでお送りしてまいりました。

まとめるとこんな感じです。

・個性は人マネから生まれる

・何に心が動くのかが個性になる

・個性はゆっくり育てていくもの

もうひとつ、「個性」は自分で決めるものじゃなく、「あの人○○の人だよ」みたいな感じでまわりが判断するものです。自分である程度はわかっといたほうがいいですが、「おれはこれだー!」みたいに決めこんでしまうと進化できなくなってしまうので、日々精進して常に変化を求めていったほうがいいと思います。

それがあなたの「個性」を育てていきます。

 

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