画力を上げるためにやるべきこと:画力がある=絵が上手いじゃない

 

絵を描く人なら「画力」という言葉を1回は耳にしたことがあると思います。

画力を上げる=絵が上手くなる、ととらえられがちですが、どうやら半分正解みたいです。

 

画力を、深掘りしていくと画面を構成する力っていう意味にたどり着きます。

つまりこんな感じです。

いろんな要素が組み合わさってそれをまとめて「画力」と呼びます。エンピツで自分の思い通りに線が引けるかどうかを「描写力」とか言ったりします。一般的に画力が高いって言われるのはここですね。

でも描写力も画力を構成するひとつの要素に過ぎなくて、

仮に今描写力のレベルが5でほかの要素がそれぞれ2だとします。

描写力はそのままでもほかの要素のレベルを同じように5まで持っていくことができれば総合的な画力が上がって仕上がる絵のレベルも同じように上がります。

逆に描写力だけ10とかまで上げたとしてもほかが2のままだと全体的なバランスが悪くなって、仕上がる絵も微妙な感じになります。

「絵は上手いけど何も伝わってこない」っていうのなんかはまさにそれです。

全体的にバランスよく上がるのが理想の形です。

その理想形を目指して練習を重ねた結果がこれです。

これを見て「ステキだなぁ」と感じてもらえたら先にお進みください。

画力を上げるための考えかたを解説します。

 

 

「画」っていう漢字の意味

 

まずは「画」っていう漢字の意味を深く考えると何かみえてきそうな感じがしたので調べてみたところ、「画」 という漢字ひとつだけでも絵という意味があると国語辞典先生は言っていました。

ほかにも「 ある区切られた範囲内で~」という意味もあります。

たしかに、絵画、版画、動画、映画、漫画、水墨画、水彩画、などなど、よくよく考えると区切られた枠の中で表現するものばかりですね。

まとめると、「画」という漢字の意味は、区切られた範囲の中で映像や絵、写真、文字、音楽、いろんなものを使って何かを表現するもの、ととらえることができます。

これを踏まえて考えると区切られた画面の中が引き込まれるような素晴らしいものであれば画力が高いといえます。

描写力だけだと微妙な感じになる理由が見えてきましたね。

 

極論、 絵は描けなくても自分の頭の中でイメージが明確にできてればそれを形にすることはいくらでもできるってことです。

スマホだけでも撮影できて編集もできるので絵が描けなくても動画は作れるのがまさにそんな感じですね。

 

ひとつの画面をいかに魅力的なものに仕上げれるか、が「画力」の深いところの意味です。

じゃあどうやったら画力が上がるのか?

画力を上げるための要素をひとつずつ解説していきます。

 

画力をあげるための要素①:描写力を上げる

 

描写力はさっきも言いましたが、線を自分の思ったところに引く力のことです。描写力がある人はエンピツを意のままに操ります。

エンピツの持ちかたをいろいろ変えてみたり、細い線、 太い線を上手に使い分けたり。 その線を使って的確に物の形をとらえて紙の上にモチーフを見事に再現します。

いかにエンピツや筆を使いこなせるかっていう超超技術的なことですね。

そして描写力は、ほかの形に見えない要素を最終的に目に見える形にするものです。

これを上げるにはいかに数をこなすか、です。

人間は超アナログなので今日明日で技術が身に付くことはありません。コツをつかめばそれでいいのですが、そのコツをつかむまでどれぐらいやればいいのかは個人差がかなりあって、半年かかる人もいれば、1ヶ月でコツをつかむ人もいます。

元プロ野球選手の古田敦也氏が言っていました。

「練習はコツをつかむためにやるもの」だと。ホントにその通りだなと思います。

コツをつかんでもさらにもう一歩上のコツがあったりしてたぶん一生終わりがないものなんだろうなぁなんて考えたりします。

余談ですが、上手く見せるためのコツなんてのもあったりします。

でも基本的には描く力というのは何回も繰り返し描くことでしか本当の力はつかないと思います。

コツコツ積み重ねてしかつかめないものなんです・・・ コツだけに・・・

 

画力を上げるための要素②:対象物を知る観察力

 

対象物(モチーフ)のことをよく観察して「知る」だけでも画力は上がります。

知ることで「 ここの部分はこうなっているから細かいところまで描ける」 という自信が生まれるからです。

たとえばお城を描こうってなったとき。

「お城ってどんな形してたかしら?何階建て?あれ? そもそもお城って何?家とどう違うの?」 …なんてパニクってしまったらいい絵なんて描けません。

それよりも「 こんな形で5階建てで、屋根はこんな感じで家との違いはウンタラカンタラ……」 っていうふうに自信満々でエンピツを走らせるといい絵が描けるんです。

「知らぬが仏」なんて言ったりしますが、この場合はまったく機能してなくて、 知っておいて損することってないです。

知ること、観ること、感じることが大切なことです。

 

細かいところまで観察してみる

ひとくちに観察するって言ってもなんとなく観察するのと目ん玉ひんむいて細かいところまでじっくり観察するのとでは全然違います。

さっきのお城を例にあげると、和なのか洋なのか。

何でできてるのか。

石なのか、木なのか。

新しいのか古いのか。

壁の質感は?

内部の見取り図。

周りには何があるのか。

などなど、 数えればキリがないほどいくらでも見るところはあります。

細かいところまで観察したうえで、描くときにそういう誰も気がつかないような細かいところまでも画面の上に表現します。すると画面に深みが出て、魅力的な絵に仕上がります。

 

画力を上げるための要素③知識を吸収する

描写力をつけて、めちゃくちゃ細かいところまで観察するとステキな絵を描くことができますが、そこに「知識」をプラスするとさらにステキな絵になります。

さっきのお城でたとえるなら、観察してても知ってるものと知らないものが出てくると思います。

たとえばそのお城が誰が建てたものなのかとか。

それを調べてみて仮に自分の好きな武将の名前が出てきたりすると一気にテンション上がって「へぇー!そうなんだ!」ってなって、より一層お城の絵を描くのが楽しくなったりします。

そんでもってついでにほかのことも調べたりしてお城(モチーフ)に対しての知識が一気に増えると描くときの思い入れが全然変わってきます。

こまかいところをいうと、石垣が何の石が集まってできてるのか、とかなんてまぁ知らないじゃないですか?

それをあえて調べてみて、仮に知ってる石の名前とか出てきて「これ触ったことある!」ってなったら、質感とか硬さとかを知ってるからよりリアルな石垣が描けるんです。

一見ムダに思えるようなことでも知ってるのと知らないのではその 画面から醸し出される説得力が全然違ってきます。

知識が描写力の底上げをしてくれます。

#実際に石を調べてみたところ、知ってる名前が出てきたのでちょっとテンション上がりました。

 

画力を上げるための要素④感覚を鍛える

4つめは「感覚」です。

絵画だけじゃなくて、他の動画、映画、漫画、その他もろもろ、 なんでもそうなんですが、自分だけが見て楽しむだけなら別に気にする必要もないことです。

だけど、画力を上げたいと思うってことは少なくとも「 他の人に見せる」という大前提があると思います。

自分が「素晴らしい!」と思っていても他の人に見せたときにも同じように「素晴らしい!」と思ってもらえるとは限りません。

「素晴らしい!」と思う感覚は人それぞれなので見せるその瞬間までは反応がわからないものです。

そういう感覚って鍛えれるので、鍛えたら画力って上がります。

 

厄介なのはこれは目にも見えなければ数値化もできない「感じるもの」っていうことです。

感じかたなんて人それぞれなのでこれといった正解はありません。

なので自分の感覚を保ちつつ、他人がいいと思う感覚を常に研究して分析する、っていうことを永遠にし続けなければならないという。

そのときの環境とか時代とかでも変わってくるので、これ!というのはホントにないのですが、ある程度のボーダーラインみたいなのはどこかにあります。

 

いろいろ難しいこと言ってますが、要するに自分だけが喜ぶものじゃなくて人の心を動かせるもの、魂を鷲づかみされるような絵を描こう!っていうことです。

 

画力を上げるための要素⑤:空気感、雰囲気づくりが重要

さっきの感覚的なものと通ずるところがありますが、 絵には画面の中から出てくる空気感とか雰囲気みたいなものがあります。

たとえばこの絵だったら波の音とか砂のサクっていう感触とか、潮の匂いとかを感じれるとか思うんです。

それを出すためには自分自身がその場所にいるようなイメージを持って絵を描くんです。

人物画だと人から出てくる喜怒哀楽の感情。 いろんな感情が入り混じって複雑な表情になるときもあります。それを出すには自分がその感情になることでそういう表情が画面に出ます。

風景だと暑いのか寒いのか、 空気が湿ってるのか乾いてるのか。風があるのかないのか…。

そういう空気感とか雰囲気を表現できるかどうかも画力を上げることにつながってきます。

画力をあげる:まとめ

画力を上げるということはただ描く力を上げるということではなく 、画面全体をいかに魅力的なものにできるか、ということです。

同じ線を引くだけなのに違って見えるっていうのは、 その線一本一本に描く人の全てが詰まってるからです。

自分の持てるすべての力を、 最大限込めるために練習したりすることは当たり前ですが、 いろんなことを感じ取れるように意識すれば画力が上がって素晴らしい絵が描けるようになると思います。

 

それでは今日はこのへんで失礼いたします。

 

 

2 件のコメント

  • sunny より:

    「ねんざ」検索から偶然このサイトがヒットし、サイトを拝見しましたが、本当に絵が上手ですね、久しぶりに、こんな、どれも上手な、見入ってしまう絵を見た気がします。ので、一言メールしたくなってしまいました。たしかに、こんなに引き込まれる絵、欲しくなってしまう絵だったら安売りはもったいないですよ。

  • まるまる より:

    初めまして。「絵を描く」で検索してこちら拝見させて頂きました。絵はもちろんなのですが文章が面白すぎて一気に次々読んでしまい本来の目的見失いかけました。
    原点に戻って今一度読み返しさせて頂きひたすらデッサンしていますが上達が見えずくじけてしまいます。影のつけかたがうまくいかずいつまでたってものっぺりと平面画になってしまいます・・

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

    CAPTCHA


    このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください