こんにちは。水墨画家のDと申します。
本日は「誰にでも今すぐできるお手軽な水墨画の描き方」っていうテーマで能書きをたれていこうと思います。
水墨画って…難しいですよねー……。
すごくわかりますその気持ち。
水墨画って…難しいですよねー……。
どうにかこうにかお手軽に描く方法はないものか?
アレコレ試していたらこんなステキな水墨画が描けるようになりました。



こんな水墨画を初心者でもお手軽に描ける方法を解説します。
この描きかたの目玉はこんな感じで浮いてくるんじゃないかっていうほどの立体感です。


それではlet’sごー。
水墨画を描くのに必要な道具
道具は小学校のときに使ってたこれがあればじゅうぶんです。

…が、紙だけは半紙みたいな薄っぺらいのじゃなくて少し分厚めのスケッチブックとかのほうがいいかと思います。♯理由は2分後に判明します
水墨画の道具に関しては、こちらに細かいすぎるほど書いてあるのでヒマなときにでも読んどいてください。
墨を磨る
本格的にやるなら固形の墨を使ったほうがいいと思いますが、それだと磨るのに2、30分ぐらいはかかってしまいます。
なので墨汁を使います。墨汁なら5秒もかからないのでマジで超お手軽です( ̄▽ ̄)✨
墨汁を硯(すずり)に入れます。
時間がかかっても固形の墨がいいんだ!っていうアナタは超ステキです✨#何を言ってるんだ
余談ですが、ある程度やっていると墨にもこだわりが出てくるようになります。質でいうと圧倒的に固形の墨を磨るほうがいいので、そのうち墨汁では物足りなくなって、30分かかろうが墨を磨ることを求める体になってしまうのでご注意ください。
淡(あわ)い墨を作る
さて。真っ黒な濃い墨が準備できましたらば、水と混ぜて淡い墨を作ります。水墨画では、この淡い墨づくりが鬼だいじです。
容器はこんな感じのやつがいいかと思います。

薄い墨ではなくて淡い墨です。どちらも意味は大して変わらないですが、なんとなく響きがカッコいいので。呼びかたなんてなんでもいいんです。
淡い墨は濃度を調節してこんな感じで2種類作っておくと大変便利ですっ。


実際に描いてみましょう
さて、準備完了です。
さっそく描いていきましょう。
細めの筆を使います。そしてその筆をさっき作った淡い墨にぶち込んでください。
あんまり大量に墨を含みすぎると大変なことになるので、いい塩梅に含ませてください。

そして紙の上に筆を走らせてみてください。キレイな線が描けましたでしょうか?筆はエンピツよりも先っぽが柔らかいので少し戸惑うかもしれません。まずは筆で線を描くことに慣れるために線をたくさん描いてみてください。
少し慣れたら、その線をたくさん描いて、あなたの気の赴くまま、自由に好きなものを描いてください。こうしないといけない、みたいな決まりは特にありません。
マンガのキャラクターでも、そのへんにあるようなものでも、なんでもいいです。
絵は頭で考えるよりも、とりあえず手を動かして描いてみることが大切です。
ちなみに僕がいちばん最初に筆をとって描いたものはこのリンゴです。

なぜリンゴになったのかはハッキリ覚えていませんが、絵を描く初心者=リンゴ、みたいなイメージがあったのだと思います。
ここからが水墨画の面白いところです。
写真をみてもらえればおわかりになるかと思いますが、淡い墨は重ねれば重ねるほど線が濃くなっていきます。
しかもその重ねたところがなんだか浮いてくるような感じになります。

この浮いてくる感じがこの描きかたの真骨頂で、いちばん面白くてステキなところです。
ほかではなかなか味わうことができない表現方法です。
ぜひやってみてください☆
難点は、薄い紙だとできないところです。
墨は液体で、しかも淡い墨は水の量が多いので、半紙とか和紙みたいな薄い紙だとすぐにボロボロになってしまいます。
分厚めの紙のほうがいい理由はこれです。
分厚めの紙だと水分を大量に吸収してくれるので墨を何回重ねても耐え忍んでくれます。
さっきの「アルシュ」みたいな水彩紙がいちばんオススメなのですが、画材屋さんとかにいかないと売ってなかったりします。
「近くに画材屋さんがない…」って場合はスケッチブックの紙でもじゅうぶん代用できます。僕は近くのホームセンターに売ってたスケッチブックでこれ描いたので全然無問題です。

で、実際に墨で線を描いていると、時間がたてば乾いていくことに気がつくかと思います。
この乾き具合によって墨の重なりかたが全然違ってくるので、そんなことも気にしながらやると表現の幅が広がって、より水墨画が楽しめるかと思います。
完全に墨が乾いて、その上に新たに線を重ねるとこんなふうに線の輪郭がクッキリ残る感じになります。

反対に紙に水分が残ってるうちに新たに線を重ねると線の輪郭がぼやけてにじんだ感じになります。

これだけだとほんの少しの微妙な違いですが、積み重なると全然違う表現になっています。
これが基本的な「お手軽な水墨画の描きかた」です。
これならエンピツで描くように、お手軽に誰でも水墨画を楽しんで描くことができます。
注意点は、墨は1回描いてしまうと消せないところです。失敗してしまうとまたイチからやり直しっていうハメに。。。ww
ちょっとした小技
さて。基本的な描きかたはエンピツと同じように描く「超お手軽」な方法です。
それを昇華させて、ある「小技」を使うとさらに表現の幅が広がります。
まず、お手軽な方法で描いた馬がコチラです。

そして「小技」をふんだんに盛り込んで描いた馬がコチラです。

何が違うかというと、グラデーションの感じが全然違ってて、「小技」を盛り込んだ馬はすごく滑らかな感じになっているのがわかるかと思います。
これをどう表現するかというと…。
まず、さっきと同様に淡い墨を含ませた筆と、もう一本、水だけを含ませた筆を用意します。
水の筆で紙に水を染み込ませます。
乾かないうちにその水の上にサッと淡い墨を紙の上に乗せます。
そうすると、水の表面張力でジワ〜〜っと墨が広がっていきます。
いい感じににじんでくれて、これを繰り返して重ねていくと、さっきの馬の腹の部分みたいなキレイで滑らかなグラデーションが出来上がります。
これが「小技」です。
この小技は水と墨の順番を入れ替えてもできます。淡い墨で少し太めの線を描いて、その墨が乾かないうちに水だけを含ませた筆でサッと伸ばします。すると同じように水の表面張力で墨がジワ〜〜っと広がってくれます。
伸ばす箇所を調節すれば線の片方は輪郭がクッキリして、もう片方はジワーッとにじんだ線ができあがります。

この馬の腹の部分はそのテクニックを使って描いています。
墨が乾いてしまうといくら水で伸ばそうと頑張っても伸びてくれないので時間との戦いです。
コツは墨を含ませた筆と水だけを含ませた筆、2本の筆をそれぞれ右手と左手に1本ずつ持って、墨が乾かないうちにサッと入れ替えると上手くいきます。
水墨画を描きやすくするために下描きをする
墨は一度描くと消すことができないシロモノです。
間違えてしまったときの絶望感ときたら、この世の終わりか…というぐらい凄まじいものがあります。

できるだけそのリスクを避けるためにエンピツで下描きをしておいたほうがいいと思います。
スケッチブックとか水彩紙なら紙が分厚いのでエンピツの線はあとで消しゴムで消すことができます。
♯分厚めの紙はこんなところでも大活躍です♡
これが和紙とか半紙とかだと薄っぺらいのでエンピツの線を消すときにグシャグシャになってしまう危険があります。
なのであんまり下描きには向いていません。
ちょっと踏み込んだ話をしますと、水墨画って、白と黒だけですべてを表現しないといけないんですね。
色があるとそのぶん情報量が増えます。
そして人の目は色でそれが何かを判別することが多いので、物の形ってそこまで気にしてないんです。
でも「色」がなくなったとたん、情報量が一気に減って、物の形とか全体のバランスとかがすごく気になり出すんです。人の目って。
だから何回も消せるエンピツで下描きをして、物の形とか全体のバランスとかをしっかり整えます。
で、その上から墨をのせたほうが作品のクオリティが高くなります。
というわけで、バンバン下描きをして水墨画を少しでも描きやすくしましょう。
まとめ
以上、「お手軽に誰でも水墨画を楽しんで描く方法」というテーマでお送りしてまいりました。
この描きかたは基本的な画力があったほうがより楽しめます。
僕の水墨画の処女作はこれですが、いきなりこんな絵を描けたのは、筆で描く前にひたすらエンピツで画力を上げてたからです。
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絵描きにとってはノドから手が出るほどの情報満載なので一度のぞいてみてください( ̄▽ ̄)✨
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