【水墨画の道具】筆選びは大事だけど種類がありすぎるのでいろいろ試してみよう

水墨画を描く上でいちばん欠かせないのは「筆」です。

どんな筆を使うかで作品の善し悪しも変わってきます。

 

いろんな筆がたくさんあって、それぞれ特徴が全然違うので、「これを描く時にはこの筆」みたいに使い分けることができます。

 

大切なのは「描きやすさ」と「手に持った時の感触」です。

 

それが100均の筆であろうが油絵用の筆であろうが何でもかまいません。

 

使い心地は実際に使ってみないとわからないので、時間をかけてゆっくり探せばいいと思います。

 

あせって高いものを買ってもそれが自分の手になじむかどうかはわからないので、まずはお手ごろなものから始めるといいと思います。

 

とりあえず。

 

いろんな筆を紹介したいと思います。

 

鬼のような種類の筆

 

筆はホントにたくさんの種類があります。

棒に毛をたくさん付けただけなのに。笑

 

っていうのも。

水墨画用の筆、書道用の筆、水彩画用の筆、油絵用の筆、って感じでジャンルを飛び越えたら、の話なのですが。

 

とはいえ。

水墨画だからといって水墨画用の筆を使わないといけないっていうルールはないので、手に持った時のしっくりくる感じと描きやすさがあればなんでもいいのです。

それがたとえ化粧用の筆だとしたら、それを使っても何も問題はありません。

 

大切なのは「素晴らしい水墨画を描くこと」

 

そのためなら何をしてもかまいません。

 

人それぞれ感覚が違ってて、同じ人でも海を描く場合と猫を描く場合とでは筆によって描きやすさが変わってきます。

そのためにはいろんな筆を知っておいた方がいろんな場面で役に立ちます。

 

筆の各部の名前

 

筆の各部にも名前があります。

絶対覚えないといけないわけではないので頭の片隅にでもおいといてください。

水墨画の筆

水墨画用の筆は大きく分けると3種類です。

◼️付立筆(つけたてふで)

「没骨筆(もっこつふで)」とも呼ばれている筆です。羊毛、馬毛、狸毛、鹿毛を使っていて、穂の部分が長く、穂先が揃っています。

 

コシが強く弾力があって、水や墨の含みが良いのが特徴で、いろんな場面で使える万能の筆です。中でも特に穂の腹の部分を使って、輪郭線を描かずに面によってその形を表現する「没骨法」という技法に最も適した筆です。

 

 

◼️線描筆(せんびょうふで)

文字通り線を描くための筆です。羊毛、イタチ毛を使っていて、繊細な線を表現するために穂の部分はのコシが強く、短めに作られています。

 

則妙筆(そくみょうふで)、削用筆(さくようふで)などがあります。

則妙筆は柔らかい優しい線を、削用筆は穂先が尖った形になっていて、コシが強いので、硬い線も柔らかい線も自由自在です。

 

◼️面相筆(めんそうふで)

穂先が非常に細くなっているので、繊細な線を描く時に使います。人形の顔や歌舞伎役者が顔を描く時に使ったのでこの名前がついています。

 

◼️連筆(れんぴつ)

2本以上の筆を並列に連ねて刷毛(はけ)のような形をした筆で、空や海など広い面積を塗ったり、水塗り、ぼかしなど幅広く使うことができます。

刷毛と比べて穂に厚みと弾力があるのが特徴です。

 

主に3連筆、5連筆、7連筆、9連筆があります。

 

水墨画用の筆はこんな感じで「面」を描く用の筆、「線」を描く用の筆、広い範囲を塗るための筆と、大きく分けて3種類あります。

 

続きまして。

 

書道用の筆

 

書道用の筆は水墨画のように「面」を表現することはなく、いかに「線」を美しく表現するか、に特化しているので、穂が少し硬めに作られています。

軸の太さで「太筆」「中筆」「小筆」の3種類に分類されています。

3種類を更に細かく分類して、軸の直径で1号~10号まで区別されています。

 

太筆

1号15.0㎜
2号14.5㎜
3号13.0㎜
4号11.0㎜

中筆

5号10.0㎜
6号8.5㎜
7号7.6㎜

小筆

8号6.7㎜
9号6.0㎜
10号5.5㎜

 

筆の軸は2種類

筆の軸は「ダルマ軸」と「普通軸」の2種類があります。

「普通軸」は軸の部分が一定の太さになっているのに対して、「ダルマ軸」は持ち手の部分が細くなっています。

 

先ほどの「没骨法」の動画ではダルマ軸の筆を使っています。

 

こんな感じで軸の太さにたくさんの種類があるので、お好みで使ってみるのもオススメです。

 

続きまして。

 

水彩画用の筆

 

水彩画用の筆は弾力があって水の含みが良く、ぼかしやにじみの表現をするのに適しています。

水墨画用の筆とは違って、軸の太さが一定ではなくお尻の部分にかけて段々細くなっているのが特徴のいわゆる「絵の具用の筆」です。

 

丸筆

 

水彩画を描く時に多く使われているのが丸筆です。曲線が描きやすく、タッチ次第で太い線も細い線も描けるので、いろんな場面で使うことができます。

 

平筆

フラットとも呼ばれていて、穂先が揃っているのが特徴の平筆。真っ直ぐな線を描いたり、角の部分を塗るのに適しています。ムラになりにくいので、広い面を塗るのにも向いています。

 

面相筆

 

水墨画用にもありました、面相筆。水墨画用と同じく穂先が非常に細くなっていて、繊細な線を描くのに向いています。全体的に細くなっているので少し扱いが難しい作りになっています。

 

筆のサイズ

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水彩画用の筆のサイズも「号」という単位で表されます。数字が大きくなるほど筆サイズは大きくなり、0〜20号まであります。

描く絵のサイズ、描き込み具合で使い分けるといいと思います。

 

毛質

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水彩筆も水墨画用や書道用と同じく、馬・狸・イタチ・コリンスキーなどの動物の毛を使って作られています。

特にコリンスキー毛はコシが強く、絵具や水の含みが良いのがポイントで、初心者でも扱いやすい毛の筆です。

 

水彩筆には、天然毛に近い性能のナイロン製の人工毛の筆もあります。保水性が優れているので使ってみるのもアリかと思います。

 

続きまして。

油絵用の筆

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油絵具は油を混ぜた顔料で作られていて、重厚感のあるボテボテとした質感が特徴です。

なので、筆もその重みに対応するために硬めに作るために豚の毛を使っています。

豚毛筆は1本1本が硬くて太いので弾力性、耐久性に優れています。

その反面、硬いので水墨画で使う和紙のような柔らかい紙では少々扱いが難しくなります。

水彩筆と同じように軸がお尻にかけて段々細くなっていってるのが特徴です。

 

 

丸筆

#リンク

 

丸筆は穂先が尖っているのが特徴の筆です。タッチの強弱で線が細くなったり太くなったり、面を広くとってぬったり、いろんな場面で使えます。

 

平筆

平筆はフラット型とフィルバート型の2種類があります。

フラット型は穂先が四角になっていて、刷毛のような形をしているので、広い範囲塗るのに向いています。

 

フィルバート型はフラット型の角を丸くしたような形をしているので、曲線を描く時にその効果を発揮します。

 

扇形筆

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その名の通り毛が扇形に広がっている筆です。

扇形に広がっているため、絵具の含みが少なめなので、塗り重ねるのに向いています。また、あえて水分をスカスカにして「かすれ」の表現をこの筆でやると面白いと思います。

 

油絵の筆は穂先が硬いので扱いが難しいですが、墨でも、使い方によっては重厚感のあるタッチの表現が可能です。

 

100均の筆はあり?

 

ここまでいろんな種類の筆を大まかに紹介してきましたが、冒頭でもお話したように、何を使って描いてもいいので、いろんな筆を試してみてご自分に合ったものを探してみてください。

 

画材屋さんによっては、試し描きできるところもあるので、いろいろ回ってみるのも面白いかと思います。

 

コスト面を重視するなら、100均でも書道用の筆として太筆と細筆がセットで売られているので、それを使ってもまったく問題ないです。

 

実際に僕自身、最初に買った筆は100均の筆でした。

 

それでまず「筆で絵を描く感覚」をつかんで、それからいろんな筆を試してみたりしました。

そんな方法もあるので頭の片隅にでも置いておいてください。

 

ちなみに。

100均の筆は良いものとそうでないもののムラが激しくて、すぐにバサバサになって使いものにならなくなったりします。

なので100均の筆を使う場合は3セットぐらい購入しておくと便利です。

 

その100均の筆で初めて描いたのがこのリンゴです。

 

ちなみにこれも100均の筆で描いたやつ。

筆が100均のやつでも頑張ればこれだけの絵が描けるのです。

 

筆は絵を描くためのいちばん大事な道具なのですが、それよりも何よりもいちばん大事なのは描く人の腕だったり気持ちだったりします。

筆はそれを表現するための「橋渡し役」です。

 

筆はやってるうちにこだわりが出てきて、いろんな筆を持つようになります。

いつの間にか筆の本数が増えに増えた末路がこれです。

 

全部で15本あります。

それぞれにこういう時はこう、みたい役割があって、どれも欠かすことのできない愛すべき筆たちです。

100均の筆も混じっていまして、水だけを紙に含ませる時に使ったりしています。

 

 

筆以外でも使えるものは使う

 

 

絶対に筆を使わないといけないなんてことは全然なくて、水と墨を吸収してくれるものだったらなんでもいいんです。

たとえばこんな感じの空を描くときに筆だとこのモヤモヤっとした感じは表現しにくかったりします。

筆は細い毛の集まりなので水や墨を含むと表面張力で筆の先がまとまってしまって、墨が一点に集中してしまうのです。

うまく水を使えば筆でもできますが、わりと難しいので練習が必要です。

そんなときはティッシュや布を丸めて使ったりもします。

そうすればいい具合にぼやけた感じが出てくれてかつ雰囲気も出てかっこよく仕上がるのでオススメです。

綿棒なんかもけっこういい味を出してくれます。せまい範囲でぼかしたいときなんかは素晴らしい効果を発揮してくれます。

そのほかにも爪楊枝なんかも使えます。ただ、爪楊枝は水分を吸収してくれないので使い方はいろいろ工夫する必要があります。

べつに筆を使わないとダメだとかいう決まりなんかどこにもないので、使えると思ったものはなんでも使ったらいいと思います。

いろいろな道具を使ってみるのも新たな発見があったりするので楽しく水墨画が描けます。

 

まとめ

 

水墨画の筆のいちばん大事なところは「描きやすさ」と「手になじむかどうか」です。

そしてその先のもっと大事なところは何よりも水墨画を描くことを楽しむことです。

僕のおススメはとりあえずは100均の筆2本と、もう1本、絶対必要というわけではないですが、さらに細い筆があればそれでじゅうぶんです。

筆はエンピツとかペンとかと違って予期せぬ動きをしたりするので扱いが難しいんです。なのでまずは「筆」というものにに慣れるためにリーズナブルなものでお試しすればいいと思います。

それで慣れてきて「お、面白いじゃん☆」ってなったら「もっとこんな表現したいからこんな筆があったらいいなぁ」っていうのが出てきます。

それに合わせていろいろ増やしていけばいいと思います。

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