絵の構図:「決められた枠の中」という制約が創造性を膨らます

絵を描くとき、頭の中でイメージを膨らませて描きますよね?

そのとき、だいたいイメージするのって枠の中の決められた範囲の中での話です。

絵画なら額縁の中。

漫画ならコマの中。

枠がないように見える壁画とかでも

ある程度はここからここまでって範囲を決めてから描くと思うんです。

僕は壁画を描いたことないからなんとも言えませんが。笑

絵描きにとってこの「決められた範囲の中」で

どれだけ世界観を表現できるかがカギであり、醍醐味なわけです。

仮にこの枠がなかった場合、

たぶん何が何だかわけわからなくなると思うんですよね。

やったことないのでわかりませんが。

画という文字にはいろんな意味がある

 

先ほども少し述べましたが、絵には枠があるからこそ面白いんです。

それを面白くしているのが「画」という字。

芸術の世界ではこの画という文字がたくさんあります。

絵画、水彩画、漫画、映画、水墨画、版画、などなど。

画という文字には絵を描くとか、映画、動画、などの

文字ではなく絵や映像、写真で表現するという意味と、

線を引いて境をつける、区切るという意味があります。

ほかにも計画や企画などのある目的をイメージするなどの意味もあります。

「画」というたったひとつの文字なのにそこに深い意味が込められています。

これだけでもひと晩語れそうなぐらい面白いですね。

例をあげてみてみましょう。

・絵画

その中でも僕らがやろうとしているのはたった1枚の紙の上の

たかだか30センチから1メートルぐらいの小さな世界です。

それは額縁の中にスポッと収まるような小さなものです。

その小さな枠の中でいかに自分の中のモヤモヤしているものを爆発させるかです。

だからこそ構図は真剣に考えないといけないものなのです。

ホントはもっとスケールの大きな世界観を表現したいと思っても

人が見ることができる範囲には限界があります。

なのでその小さな枠の中にギュッと凝縮させるしかないのです。

・漫画

漫画は絵画よりももっと小さな枠の中で勝負します。

でも漫画は小さな枠を連続して見せることでストーリーになります。

漫画にはセリフもあるのでより鮮明に作者の意図だったり、

想いだったりが伝わりやすくなっています。

・映画

映画は映像なので画面の中の人やものが動いてしゃべって、

音も出てくるのでより伝わりやすいですね。

このようにそれぞれにひとつの枠があって

その中で表現するからこその面白さがあります。

 

3つだけ例を出しましたが、

もうひとつ大事なのは枠の中での出来事よりも、いかにその

「枠の外」を想像させることができるかではないでしょうか。

漫画だったら主人公が懸命に戦ってるシーンで

そのときほかの登場人物はどんな想いでいるんだろうとか。

映画でも同じ。

いろんな場面を同時進行ではみることができないですよね。

ひとつのシーンが終わってから時間を戻して

ほかの登場人物のシーンを描いたりしますが、それによって

「ああ、あのとき彼はこんなことをしてたんだ。
だからこれとつながってこういう結果になるんだ」

みたいなことも起こり得ます。

絵画ならその絵の枠の外の世界はどんなふうになっているの?

、と疑問を抱かせるような構図だったら見る人の興味がそそられます。

そんなふうに持っていけたら表現者としてはめちゃくちゃ面白いわけです。

 

絵は基本的に額の中に収まる

 

額という制約があるからこそ

これまで述べたように絵は枠という範囲の中で

自分の中の創造性を最大限に発揮して表現することです。

そこには「枠の中で」という制約があります。

だからこそその枠の外を想像してみたりといろんな副作用みたいなものが生まれます。

昔のファミコン時代のゲームがいまだに色あせないで

プレイヤーの頭の中に強烈に刻み込まれているのは、

数々の制約があったからなほかなりません。

シリーズ化した「ドラクエ」や「ファイナルファンタジー」

などはまさにその典型的な例といえるでしょう。

そこには「容量」という制約がありました。

昔は今のように技術が発達していなかったので

キャラの動きもカクカクしてるし、音楽も3つのトラックしか使えない。

そんな状況で各スタッフがピンポイントでエネルギーを

フルに使うことで独創的な作品になったのだと思います。

特に音楽はいまだに神曲といわれるほどの名作ぞろいです。

音楽家の観点でいうと、3つしか音が使えないからこそ、

メロディーを印象的なものにするしかない、というふうになったのだと思います。

メロディーさえよければあとはどうとでもなるものです。

童謡なんかはまさにそれで単音で奏でてもそれとわかるようなものばかりです。

こんなふうに制約があるからこそ独創的な作品が生まれることもたくさんあります。

水墨画も白と黒しか使えないという制約の中で

いかに世界観を表現するかということが問われます。

だからこその魅力がそこにはあります。

 

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絵は生き物なので勝手に膨らんでくれる

 

絵は枠の中で、制約の中で表現する芸術です。

だからこそ、その枠の中で勝手に躍動してくれることがあります。

はじめにある程度固めたイメージが描いていくにつれて

どんどん違う方向にいってしまうことがあります。

絵は生きているんです。

「スラムダンク」や「バガボンド」の

井上雄彦先生はこんなことを言っていました。

 

読者の人気を得るためにコミカルな学園ドラマの要素をふんだんに盛り込んだ。

桜木の笑える一面をふくらまそうと懸命に考えた。その中である日、「こいつのココが好きだな」と思った。

それは意識しないで描いていたシーンだった。たとえば、ひとりボールをみがいているところ。

ビデオで自分のプレイを研究しているところ。負けず嫌いで努力を惜しまない桜木の一面が垣間見えていた。

井上はこの部分をふくらませてみようと考えた。負けず嫌いなのは自分も同じ。

自分ならどうするか、、、そう考えながら桜木を描いた。

 

『桜木と自分の公約数的な部分をすごく感じてそこをどんどん桜木に注入していった。

自分の出しどころというものがすごく明確になったらより強いものを出せるようになってくる。』

 

やがて桜木は生身の人間のように躍動し始めたーーー。

NHK:プロフェッショナル~仕事の流儀~より引用

これって「スラムダンク」っていう作品の枠が制約になって

その中で自分をどう出していくかっていうことですよね。

自分を桜木というキャラクターに見立てて作品の中で

動かすことでより作品に厚みが増すという。

 

絵も同じで、自分の中にある創造性が凝縮されて育てていくと

枠の中の登場人物が勝手に膨らんでいくことがあります。

それは「枠」という限られた区画の中だからこそだと思います。

限られた枠の中でひとつの世界観を決めてその中でこそ

いろんなものが躍動してくるという。。。

 

それはまるで限られた環境の中で進化する生命のように。

 

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