絵の上達のコツ:描くことも大事だけど「みる」ことはもっと大事

こんにちは。水墨画家のDと申します。

今回は「絵は描くことも大事だけどみることはもっと大事」というテーマで能書きをたれていこうと思います。

絵がなかなか上達しない人、これから絵を始める人にぜひ知っておいてもらいたいことです。

 

絵を上達させるためにはひたすら描く、何枚も何百枚も、とにかく描くことを体に覚えさせることが大事です。

なんで何枚も描かないといけないかというとある程度回数を重ねないとコツってつかめないのが人間という生き物だからです。

中には何回かやるだけでサラーっとコツをつかめちゃうツワモノもいらっしゃいますが、そんな人はけっこうまれなのです。

 

そのコツをつかむためには「みる」ことが大事だぜ、っていうお話です。

 

描くことは誰だってやればできる

 

絵を描くときの動作ってすごくシンプルで、「みる」「描く」のふたつしかありません。

 

「描く」は頭の中にあるイメージどおりに線を引いて形を作っていく動作です。

で、その頭の中のイメージが鮮明であればあるほど手は勝手に動いてくれます。

たとえばひらがなとかカタカナとか漢字とか。

漢字は人によってさまざまですが、ひらがなとカタカナなんてほぼ100%の大人が書けますよね。

でもよくみてみると「これ絶対カタチ難しいよね」っていう字がいくつかあります。

「あ」とか「ぬ」とか「む」とか。

意外とけっこう複雑に曲線が絡み合ったりしているので日本人以外にはなかなか難しいみたいです。

でもそんな難しそうな字でも平気で僕らは書けるじゃないですか?

それは小さいころから何万回も書いて「練習」してきたからなんですね。

 

ということは、誰でも思いどおりの線を引くことはできるはずなんです。

ところが現実にはそうもいかなくて、絵が上手い人もいれば全然絵が描けない人もいます。

 

絵が好きかどうかもあります。好きじゃないと絵なんか描く気にならないしやる気も起きません。やる気がなければ練習なんかしません。

なのでとりあえずそういう精神的なことは置いといて、何が違うかというと、絵を描く対象をみてるかみてないかの違いなんですね。

絵が上手い人は対象物をめちゃくちゃよく「みて」います。

みる:描くがだいたい7:3ぐらいの割合です。なんでそんなにもみることに重点を置くのかというと、すぐ忘れちゃうからですね。

どうやら人の記憶力ってそんなに優秀じゃないみたいで、ひらがなとかカタカナみたいに形をはっきり覚えているようなものなら、頭の中に鮮明にその形が残っているので細かいところまで書くことができます。

それは字の形が比較的シンプルだからです。特にひらがなとかカタカナだと画数が少ないものがほとんどで、多くても5画ぐらいです。

絵でもシンプルな形だと覚えやすいのでわりと誰でも描けたりします。

たとえばリンゴとか。

でも「絵」って複雑な直線とか曲線、太い線、細い線、濃い線、薄い線、いろんな線を組み合わせたものがほとんどです。

人間の脳みそって複雑なものは一度に覚えきれないので、すぐわからなくなるんです。

絵が下手な人はまさにここです。

「どんなカタチしてたっけ?」

ってなってテキトーに線引いちゃうから意味不明な絵になっちゃうんですね。

なのでそれを解決するために、ちょっと描いてはじーっとみて、ちょっと描いてはじーっとみて、を繰り返します。

少しでも頭の中にそのイメージを焼き付けるのです。

そうなると必然的に「描く」ことよりも「みる」ことのほうが圧倒的に多くなります。

 

どこが違うのかを「みる」

 

「みる」にもいくつか種類があって、描くために対象物を「みる」もあれば、描いたものと対象物のどこが違うのかを「みる」もあります。

 

要するに自分が描いた絵の出来上がりが正確かどうかを見極めることです。

これがけっこうクセモノで自分が描いた絵って客観的にみれないことが多いんです。

原因は「頑張って描いたから」です。

思い入れが強くなるとどうしても冷静な判断ができなくなってしまいます。

めちゃくちゃ気持ちはわかりますが、そこは冷静に「自分が描いた絵」だと思わないで、客観的な目線を持ってください。

描いた直後にそういうふうに「みる」のが理想ですが、なかなかそういうわけにもいかないと思うので、5分、10分ぐらい時間を置いてみると案外イケると思います。

 

それでも無理だったら1日置いてみるとか。

時間がたてばたつほど脳みそがリセットされるので冷静な判断がしやすくなるのでやってみてください。

 

◾️違いを見極めるコツ

 

とはいえ、時間を置くのってすごくもったいないですよね。5分とかならまだしも、10分も空けてられないし、その時間に別の絵を描くことだってできます。

それはそれで脳みそがリセットされるのでいいと思いますが、時間を置かずに冷静に見極めれたらそれがいちばん理想です。

そのためのコツは、普段からいろんな絵に触れて「粗さがし」をするんです。

いちばん効率がいいのはいろんなパターンの絵が連続で出てくる「漫画」です。

体のポーズとか背景、動植物、食べ物、いろんな絵をみて何か不自然なところはないか?と探しまくります。

これ、けっこういい訓練になると思います。

好きな作家さんだと思い入れもあるのでなかなか判断が難しいかもしれませんが、それもある意味ではすごくいい訓練になります。

 

ほかにもテレビとかネットとかでありとあらゆる「絵」をみる機会があると思うので、どこか不自然なところはないか?と常にアンテナを張って粗さがしをしまくると自然と自分の絵に対しても冷静な判断がすぐにできるようになります。

くれぐれも外に発信せず、自分の中だけで収めるようにしてください。

いろんな方に不快を与えてしまうことになりかねないので。

 

◾️少しでも違和感を感じたら

 

自分が描いた絵と対象物を見比べているときに「なんか違うなぁ…」と違和感を感じることがあります。

こういうことはよくあるのですが、少しでも違和感を感じるということは放置してはいけません。

徹底的に追求して、明確になるまでやってみてください。

間違いなく成長できるチャンスです。

 

中身もちゃんと「みる」

 

絵は基本的に2次元で平面だけの世界なので表面的なことしか表現できません。

だからといって表面的にみえていることだけを描くと、薄っぺらい絵になってしまいます。

薄っぺらい絵っていう定義は人それぞれなのですが、たとえば人物画とかだと表情がちゃんと出てるか、とか。その人っぽくないことをしてないか、とか。

そういう「中身」をみて理解したうえで描くと深みのある素晴らしい絵に仕上がります。

 

それをちゃんと見極めるためには、普段からいろんなことを注意深く観察しておくといいと思います。

魅力的な絵を描く方法:上手いか下手かよりも大事なこと

 

まとめ

 

以上「絵は描くことも大事だけどみることはもっと大事」というテーマでお送りしてまいりました。

お気づきになられましたか?

実はここではあえて全部ひらがなで「みる」と表現しています。それは「みる」にはいろんな意味があるからです。

見る、観る、視る、診る、看る。#診ると看るは病院っぽいのでなんかちょっと違いますが

 

中でも「観る」は「じっくり観察する」という意味です。観て察するです。

 

観察にもいろんな意味があって、様子をうかがったり、感情を汲み取ったり、性格を把握するのも観察です。

 

対象物や描いた絵をよく「みる」ことが上達のカギになりそうです。

 

 

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