絵は上手くなろうとするのではなく「伝えたい」ということが大事

絵を描くうえで最も大切なことは

絵が放つ雰囲気や世界観が出せているかどうかです。

極端な話、下手でも世界観や雰囲気、

要は伝えたいこと、自分の内なるものが

前面にでていればそれでいいのです。

 

ただ、自分の内なるものを的確に表現するためには

それなりの技術だったり知識があったほうが、

より見る人に伝わりやすいというだけの話です。

 

 

下手でも目に見えない“ナニカ”を伝えること

 

たとえば子どもが描く絵は下手だけど妙に伝わってくるナニカがあります。

それは子どもには上手く描こうとか

そういった邪心がないからです。

彼らは楽しいから描いてる。

描いてるときもただ

無心で何かを表現しようとしているだけです

なので一切迷いがありません。

その迷いのなさがより明確に、手を通って紙の上に

自分の中のナニカ"を爆発させます。

 

 

 

上手さよりも大事なこと

 

 

芸術っていうのは、

音楽でも絵でも彫刻でもなんでも、

自分の中にある"ナニカ"が一番大事なことです。

 

僕自身、ドラムをやっているときに

この失敗をしてしまいました。

技術や知識が先走ってしまって自分の中の内なる

"ナニカ"を伝えるということを

完全に後回しにしてしまったのです。

 

 

プロとしてやっていく以上はたしかに

技術や知識はあって損するものじゃありません。

いや、むしろあったほうがいいのですが。

 

僕はドラムだったので、

ドラムセットの前にいないときにやるべきことだったのです。

ドラムセットに座ってるときに

そんなこと考えてしまってたら

演奏がすごく中途半端なものになってしまいます。

 

 

それは聴いてる側からすると

ときにその場から帰りたくなるような

ヒドイものになってたりします。

もはやなんのためにやってるかわからないですね。

 

これを絵で例えると、技術がどうだとか

考えながら描いててもクソつまらない絵になって

しまうよということです。

 

なので絵を描くときはほぼ無心状態がいちばん

 

 

ヘタクソでも何でもいいのです。

 

やるべきことは自分を爆発させることのみ。

 

 

 

下手でも数をこなせば技術は勝手についてくる

 

 

ドラマーの村上ポンタ秀一氏が

 

棒きれ持って10000年やるよりも、

もっと広い視野でたとえば綺麗なものを見る、

それに感動する、思いっきり泣く、思いっきり怒る、

思いっきりスケベな気持ちになるとか、

そっちの方が大事で、そういう感性があるからこそ

音符を操ったときに音楽のマジックみたいなものが

あるんだけどそういうことを考えないでやってるやつと

同じことやってても表現が全然違ってくる。

 

と言っていました。

この言葉の意味は

ただ上手いだけのヤツはたくさんいる。

それよりも自分が何を感じたか、それを音で表現するときに

どう生かすのか。

ということを言っています。

 

 

芸術全般に言えることですね。

技術どうこうで悩むことよりも、

いかに自分の身の周りのものに触れて

それについて心を動かせるかどうか。

 

心を動かされることによって感性が研ぎ澄まされます。

 

その研ぎ澄まされた感性が自分の中の

"ナニカ"を成長させてくれる。

 

そゆことです。

 

常にそこを最優先でやってると

気がついたときには

あれ??おれ上手くなってる!?

 

それがいちばん理想です。

 

 

表現したいことが先にきて

それを表現するだけの技術がないから必死に練習する。

 

表現できるようになる頃にはそれだけの技術を体が覚えてる。

すると、他のことも勝手にできるようになってたりする。

そういうことだと思います。

 

 

 

 

絵に深みを加えるための3つの方法

 

 

絵は1枚の紙ですべてを表現する芸術です。

1枚の紙にどうやったら深みを与えることができるのか。

 

バックヒストリーを考えてみる

 

たとえば人物画を描くとき。その人がどんな性格なのか、

何に感動する人なのか、短気なのか、おおらかなのか、

どんな人生を送ってきたのか、

などなど、いろんなことを考えながら描いてみることです。

 

そうすると、じゃあ今この瞬間何を考えてるのか。

そうなるとこのポーズはちょっとおかしいなとか、

これはこの人っぽくないなとか、

いろんなことがみえてくるようになります。

 

 

その絵の枠の外のことを考える

 

絵は1枚の紙の上に自分が描きたいものを描くものです。

それはひとつの枠の中におさまるものです。

ではその枠の外のことまで細かく考えてみるとどうでしょう?

ここから先はどうなってるんだろう、とか。

枠の中は平和にみえても

実は枠の外はものすごい凄惨な場所だったり。

じゃあなんでそこだけそんなに

平和なんだとか。

そう思わせるようなものを

ひとつさりげなく加えることで

その枠の外を想像できる絵になったりします。

 

 

逆に意図的にあえて不自然なところで

切ることによって観る人に

考えさせるということもできます。

 

細かいところまで描き込む

 

バックヒストリーにも通ずるところがありますが、

その絵に登場するものの

細かいところを描きこんでみることで絵に深みは出てきます。

たとえば人物画だったら、目の下に傷の跡があるとか。

服がなぜかよれよれだとか。

そういう細かいところまで描くことで

必然的に自分の中で裏の設定が出来上がります。

そうすると、不思議なことに

それだけでもじゅうぶん深みは出てきます。

 

 

こだわることの大切さ

 

『もののけ姫はこうして生まれた』

というドキュメンタリーで宮崎駿氏が

キャラクターのひとりひとりの設定を

めちゃくちゃ細かいところまで考えてました。

 

中でも特に面白いと思ったのが、

モロとオッコトヌシの会話の

シーンを録音してるときのこと。

モロの声を担当した美輪明宏さんが現場で、

何気なく「はぁ~い」と返事をしたのを

宮崎さんが聞いてニヤリとしました。

 

そのわけは、

「モロとオッコトヌシは大昔いい仲だった」

という設定をそのときに思いついたといいます。

音響監督さんは困惑していましたが

そういう感じを出してくださいと恐る恐る美輪さんに伝えました。

実際に声をあてると、それまでのものと全然違うものになってました。

絵のモチベーションを上げるにはもってこいのDVDです。

みたあとはがむしゃらに絵を描いていることでしょう。

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ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
そんな小さなこだわりが随所にあるからこそ

あの映画はあんなに素晴らしいものになったんでしょう。

 

絵を描くときに一番優先して

考えるところはそういうことだと思います。

それを表現するために技術を習得したり、

知識を学んだりする、ということですね。

 

順番を間違えると

つまらないものが出来上がってしまいます。

そしてなによりもそれを楽しむことが一番大事なことです。

 

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