人物画を描くコツ:人の顔はとにかくバランスが命

こんにちは。水墨画家のDと申します。

今回は「人物画を描くコツ」というテーマで能書きをたれていこうと思います。

たぶんこの世でいちばん難しい絵って「人物画」だと思います。イラストでも写実画でも。

何がムズカシイかというと人の顔はこの世でいちばん表情が豊かだからです。

怒ってるなら怒ってる顔、嬉しいなら笑ってる顔、悲しいときは悲しい顔、というふうに単純にいけばたぶんそこまで難しくないと思います。

でも人間ってそんな単純じゃないので、顔は笑ってるけど心は泣いてる、とか顔は平静を装ってるけど内心ははらわた煮えくり返ってる、みたいなことがわりと頻繁に起こっています。

そこを読み取ることもムズカシイですが、紙の上に表現するとなるともう次元が違います。笑

プロでも悪戦苦闘してときには逃げ出してしまうレベルです。だから安心してください#何がやねん

どうすれば上手く描けるかな?と思って試行錯誤してたら大事なのは各パーツの位置関係だということがわかりました。

そのバランスが1ミリ、いや、0.5ミリでも狂えばその顔はおかしくなってしまうという、もはや匠の世界でした。

そんな人物画を描くコツをお届けいたします。

 

※ここではエンピツでリアルな顔を描く手順を解説しています。エンピツでリアルな顔を描くことができればほかのどんな絵でも数段レベルアップすること間違いナシなのでぜひやってみてください。

人の顔を描く手順

 

人の顔は大きく分けると目、眉毛、鼻、口、輪郭、耳、髪の毛とパーツが分かれています。

大事なことなのでもう一回いいますが、それぞれパーツごとに二重まぶたとか鼻が高いとか低いとかいろんな特徴も大事だけど、もっと大事なのはそれぞれの位置のバランスです。

これが少しでも狂うとその途端に別人の顔になってしまいます。これは写実画でも漫画でも同じで、その位置関係で感情が変わってくるからです。

このとき描く順番ってすごく大事で、いろいろ試した結果、輪郭⇒髪の毛⇒鼻⇒口⇒目⇒眉毛という順番で描くとものすごく描きやすいことがわかったのでお試しあれ♡

①まず輪郭と髪の毛で雰囲気を作る

まず輪郭を描いて髪の毛を描いて雰囲気を作ります。髪の毛がないハゲの場合、頭の形を的確にとらえればおっけーです。

この時点である程度そのモデルの雰囲気が出せると、早く続きを描いてみたい!っていう、ワクワクが生まれてモチベーションがグッと上がります。なのでこの入り口はものすごく大事なところです。心してかかってください。

先に輪郭を描くと、各パーツのバランスがとりやすくなるだけじゃなくて画面全体のバランスもとりやすくなります。#イイコト尽くし

逆に目とか鼻とかから描き始めてあとで輪郭を描くってなると、画面全体のバランスが崩れてしまったり最悪もう一回描き直しとかになってしまいます<m(__)m>

せっかく頑張って描いたものが水の泡になってしまいますので輪郭から描くことをおススメします。

輪郭から描き始めるともうひとついいことがあります。

顔だけじゃなくて体もあわせて描くってなったときにやっぱりいちばん最初に目に入ってくるのって顔だと思うんですね。そのあとで体もみるのが一般的だと思うので、そういう意味でも輪郭から描き始めるといいと思います。

 

■髪の毛を描くコツ

髪の毛を描くコツはランダムに描くことです。

ひとつの場所にとどまらずにあっちいったりこっちいったりしながら描くと自然な感じに仕上がります。

ツヤ感は白く光るところを先に決めておいてから描くとツヤ感が出やすいです。

 

②鼻を描く

鼻は簡単そうにみえて意外とクセモノです。

たとえば図の赤丸とか青丸とかから描くといわゆる「不気味の谷」っていうデンジャラスゾーンに入ってしまって気持ち悪い顔が出来上がってしまいます。↓

これが不気味の谷です。

図の青い〇のところから描き始めるとわりとうまくいきます。

動画でも解説しているのでごらんください。

③口を描く

 

口も鼻と同じでコツがあって、青い線のような唇の輪郭を先に描いちゃうと「不気味の谷」に突入してしまいます。

口ではっきりした線は赤線の部分だけです。

それでもあまり濃くしてしまうとそれも不気味の谷に突入しちゃうのであんまり濃くなりすぎないように注意が必要です。

あとは難しいところはなんといっても唇です。

丸みを帯びて光っているのにシワがいくつもあるという、、、。

こんなややこしいものほかにありません。これは縦に薄い線を少しずつ重ねていくとそれっぽくなります。

これも動画で解説しているのでごらんください。

④目を描いて眉毛を描く

 

目は最後に描きます。

「目は口ほどにモノを言う」いちばんエネルギーの消費が激しいパーツだからです。

しかも球体だし、奥行きあるし、まつげたくさんあるしで、やることたくさんです。

二重まぶただとそのシワなんかもあったりで、すごくたいへんです。でもここまででモデルの雰囲気が出ていればもう勝ったも同然です。#何のコッチャ

構造を理解するとわりと描きやすくなります。ポイントは「球体」です。

あと、生き生きした表情が出やすくなるポイントは目の輝きを入れることです。

眉毛は目を描いてからのほうがバランスがとりやすいです。あと、眉毛はほかのに比べるとわりと無機質なので描きやすいです。

動画でも解説しているのでごらんください。

 

肌の質感の出し方

 

肌を描くときのポイントはエンピツの削りかたにあります。

先が尖っているエンピツだと肌の質感は出しにくいのでエンピツの先を丸くすると肌は描きやすくなります。

コツはエンピツを持ってるか持ってないかわからないぐらい柔らかく持って肌の面を意識しながらいくつも丸を描くなような感じで描くことです。

線を描くよりも面を描くイメージです。

 

補足:肌を描くときの裏技。

エンピツをぼかしたいときに使う必殺アイテムがこれです。

これを使えばラクにぼかすことができます。

柔らかい線を引いてはぼかし、柔らかい線を引いてはぼかし、を繰り返すと徐々に肌の質感が出てきます。

 

自分もモデルさんと同じ顔になってみる

 

ここまでは手を動かして「描く」ことに重点をおいて解説してきました。

ここからは手は使わずに感情を読み取ったり、自分もその感情になって描くとそういう表現になりやすい、といった頭を使うお仕事です。

手を動かして描くことも大事ですが、そこに「気持ち」が入っていなければその絵はとたんにつまらないものになってしまいます。

その人の心を映す鏡である「顔」ならなおさら、描くときの気持ちがモロに紙の上に出ます。そしてそれをよーく観察して読み取ることも大事です。

たとえば笑顔を描こうとしたとき、その笑顔は心から笑っている顔なのか、とか。

ホントは悲しいけど無理に笑ってるんじゃないか?とか。それは実際にモデルさんがその場にいれば聞くこともできますが写真とかだと想像するしかありません。

 

悲しいけど笑ってる顔?

 

そういう状況を想像して自分がそういう気持ちになればおっけーです。

たとえば、「大好きな人にフラれてしまった」みたいな悲しい事件が起きて、でも仕事中なのでそれを悟られるとめんどくさいから無理やり笑顔を作ってる、、みたいな感じです。これはあくまでもテキトーに作ったシチュエーションですので却下していただいてけっこうです。笑

そんなことを考えながら絵を描くと不思議とその気持ちが紙の上にも表現されます。

ほかにも泣いてるけど実は内心ほくそ笑んでる、とか、平静を装ってるけどはらわた煮えくり返ってる、とかいろいろあります。

 

知らない人でも自分に重ねて描いてみる

 

たとえば上の絵は僕が描いた水墨画なのですが、孫に寄り添う優しいおじいちゃんと無邪気なお孫さんのツーショットです。おじいちゃんはすでに他界されていて写真を見るのはツラいから…と、依頼をいただきました。なかなかいい表情に仕上がってると思います。

これを描くときはまずおじいちゃんとお孫さん、ふたりがどんな気持ちなのかをめちゃくちゃ考えました。おじいちゃんのほうには会ったことがありません。でも僕にもおじいちゃんはいました。その記憶をたぐりよせて想像してみます。優しく包み込んでくれるようなあったかい包容力。優しい笑顔。どんな気持ちで僕をみてくれてたんだろう…。とか。

そんなおじいちゃんの気持ちになると、なんだか胸が温かくなってきます。

それに対して孫は超無邪気です。おそらく何も考えておりません。「おじいちゃん口くさい~」とか思ってるかもしれません。それほどにこれぐらいの年の子どもって無邪気です。それを表現するためには自分もそのときの気持ちに帰って「たしかにおじいちゃんくさかったなぁ…」とか考えると子どもの気持ちに帰れます。

これはほんの一例ですが、こんな感じでモデルの気持ちになることが超超大切なことです。

 

まとめ

 

以上、「人物画を描くコツ」というテーマでお送りしてまいりました。

あとはこんなことを考えながらひたすら練習に明け暮れてみてください。そのうちコツをつかめます。

コツを早くつかむための方法をオンライン講座でお伝えしているのでよろしければのぞいてみてください。完全無料です(^_-)-☆

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください