おじいちゃんの思い出

2月3日。

節分の日。

おじいちゃんが亡くなりました。

僕は大のおじいちゃん子でした。

小さい頃からおじいちゃん大好きでした。

その事に気づいたのは死んでからけっこう時間が経ってから。

 

なぜかいまだに、もう死んでから10年以上経ってるのに

死んだという事がよくわかっていないのです。

頭では重々承知していますが、それでもまだどこかにいるような気がして。

受け入れることができていないのかもしれません。

そうなのかもしれない。

 

じいちゃん子だった幼少期

 

僕はじいちゃんにたくさんたくさん愛情を注いでもらいました。

小さい頃はあまりよくわかっていなかったですが

僕はじいちゃんに怒られた記憶がないのです。

ワガママ放題だったし、事あるごとに何か買ってとおねだりしたり、

お小遣いせびったり、一緒に寝たときにおねしょしてしまったり、

思い返してもロクな孫じゃなかったなと思います。

そんな幼い僕をじいちゃんは一度も怒らなかったんです。

むしろ親に怒られてても守ってくれたりしてました。

僕にとってはとにかく優しいじいちゃんでした。

死んでからしばらく時間が経ってからようやくその事に気がつきました。

 

戦争を経験したからこそ

 

僕自身が大人になって精神的にある程度成長したときにはじめて

じいちゃんの偉大さを知りました。

まず葬式のときに来てた参列者の数が多すぎた。

田舎だったこともありますがそれでもゆうに300は超えてたと思います。

 

もうひとつはじいちゃんは戦争に行って無事に帰還した人だったこと。

衛生兵だった事も無事に帰還できた事の要因です。

じいちゃんはその兵隊時代に日記を書いていて

それがずっと残っていてそれを基に自費出版で一冊の本を出しました。

 

当時の日本は大日本帝国で今みたいに

思想の自由みたいなものがなくて、

本音を言ってしまえば即逮捕されてしまうような時代です。

当たり障りのない事しか書けない日記でも

読み返せばその時の気持ちが蘇って

何故自分が戦争なんかに行かなければならないんだとか、

教育という名のイジメが毎晩のように行われていた事とかが書いてあって

すごく生々しい内容になってます。

そんなじいちゃんは自分の子供にはすごく厳しかったといいます。

よく親が言っていたのはご飯を食べているときに

箸の持ち方が少しおかしいだけでメチャメチャに怒られて、

箸を投げつけられたりしたんだとか。

小さい頃からそれは親に聞かされていましたが

その時は聞いてもイマイチピンときてなかった。

でも大人になった事やその本を読んだ事でああなるほど、と

人物像がピタリと一致しました。

それだけの経験をしてきた人が子供に厳しくするのは

時代背景的にも当然の事だなと。

だからこそ孫の僕には優しくしてくれたのかもしれません。

写真を見るとじいちゃんの優しさが滲み出てます。

 

子どもの頃のワガママ放題だった頃を思い出すと、

申し訳なさすぎて涙がでました。

たぶん謝ってもじいちゃんは笑って

「そんなこといいよ」って言うんだろうなぁ。

社会に出て世の中の事をいろいろ知って、

もっといろんな話を聞きたかったなと思います。

一緒にお酒飲みながら。

 

じいちゃんの遺伝子

 

じいちゃんは絵を描くことが好きで、よく家にお客さんが来た時に

「先生」と呼ばれていたのを覚えています。

描いていたのは日本画で、水墨画もたくさんあります。

僕も今水墨画を描いています。

僕の水墨画に押してある落款はじいちゃんが使っていたものです。

 

よく自分の落款を作った方がいいと言われるのですが

なぜかそんな気になれずにずっと同じものを使っています。

僕が絵を描くのが好きなのはじいちゃんの遺伝子がそうさせていると

勝手に思い込んでいます。

だからじいちゃんの落款はダメになるまで使い続けます。

じいちゃんは歌を詠むのも好きな人でした。

これも「先生」と呼ばれていました。

自費出版の本にも詠んだ歌がたくさん書いてあったり、

家の近くの古墳みたいなやつにじいちゃんの歌が刻まれたりしてるんです。

じいちゃんすげえ。

僕も今こうしてブログという形で文章を書いています。

書いていて非常に楽しいです。

文章力はまだまだスライムレベルですが。

これもじいちゃんの遺伝子なのかなと。

そして極めつけはじいちゃんは兵隊時代、衛生兵でした。

衛生兵は軍隊において医療に関する業務を行う兵科です。

僕も整骨院で院長として医療に携わっています。

なるほど。

じいちゃんは僕の中で生きている。

だから死んだ気がしないのか。

今もたぶんどこかで僕を見てくれているに違いない。

 

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