専門学校でひたすら体の勉強をしている時、ノートに文字を書くということを10年ぶりぐらいにやりました。
授業が全然面白くなくて、暇を持て余している時に(ちゃんと聞きやがれ)、ちょろっとノートの端っこの方に20年ぶりぐらいに絵を描いてみようとふと思ったのです。
そしたら、それがすごく上手く描けて、「あぁー…そういえばちっちゃい頃たくさん描きまくってたなぁー…」と、子どもの頃のことを思い出しました。
そういえば僕は絵を描くことが好きだったんだと。
この時描いた絵はこれです。

どうして今までそのことから目を背けてたんだろう?
あんなに絵を描くことが好きで、毎日毎日たくさん描いて、小学校の時に30ページもの漫画を描いて出版社に投稿するぐらい絵に懸けてたのに。
その漫画はウンともスンとも言わず、箸にも棒にもかからず、日の目を浴びることはありませんでした。ただ、今思い出してもストーリーはメチャクチャだし、絵は超絶ヘタクソだしで、なかなか小っ恥ずかしい内容の漫画でした。
そりゃムリだわな、と、いろいろ経験したからわかるようなことも、当時の僕には何も見えておらず。
狭い世界の中でしか生きていなかったので、その事実を受け入れられなかったのです。
何よりも、その時は根性もまだなく、メンタルも絹ごし豆腐のようにモロかったので、1回挫折を味わっただけで心がポッキリ折れてしまった次第です。
あれから約20年の時が経ち、だいぶ根性もついて、メンタルも強くなりました。
久しぶりに絵を描いて、それがすごく楽しくて、自分でもビックリするぐらい、イイ感じの絵になっていました。
絵を描くことはずいぶんしていなかったけれど、音楽をやってた期間、芸術的なセンスはずっと磨かれてたんだと思います。
しかも解散間際なんて、いろんなしがらみがあって全然音楽を楽しめてなかったので、その頃のうっぷんみたいなものもあったんだろうなと。
そしてそのセンスが音楽とは違う「絵」に向けられたことによって、イイ感じにリフレッシュされたんだと思います。
しかも絵は物心ついた時から大好きでずっと描いてて、それなりに積み上げたものはありました。
小学校の時に夏休みの宿題で描いた風景の絵をみた妹が後に、「あれは上手すぎて引いた」と言ってくれたほどだったので。
そういう、いろんなことが重なって、一気にセンスが爆発して、自分の中に閉じ込めてた何かが、一気にドカーンと解放されたような感じがしました。
こうなったらもう音楽じゃなくて絵の世界でやってやろうと、この時心に決めました。
とはいえ。
そんな覚醒が自分の中で起きたのは、まだ専門学校に通ってる時です。
まずは国家試験に合格しないと何も始まらないと思ったので、学校を卒業するまでは絵を描くのはガマンしよう、と決めました。
でももう、描きたくて描きたくてウズウズウズウズして、我慢できなくなって、ノートの端っこの方に密かに絵の練習をしてやがりました。
そして無事に学校を卒業して、国家試験に合格して、描きたい気持ちを解放して、ひたすら描きまくりました。
この時すでに水墨画を描くことは決まっていたのですが、そのきっかけは特になく、「何となく」でした。小学校の時にみたサッカー漫画が影響してるんだと思うのですが、たぶんモノクロがカッコイイと思った、ぐらい単純な理由だと思います。
ここでまた再登場、妹の言葉もけっこう影響しています。
「エンピツだけで描いたらめっちゃ上手いのに色塗ったら途端にヘタクソになる」
こんなことを言われてしまったので、色つきの絵はやめとこうと。
自分の得意な部分を伸ばそうと思ったわけです。
そのためにはエンピツ画を毎日毎日描いて反復練習することが大事だ、と考えました。
バスケ・音楽とやってきて、基礎が大事だということは痛いほどわかっていて、絵の基礎はなんだろう?って考えた時、エンピツで描きまくることだ!と思ったんです。
特に根拠はないのに。
そこからひたすらエンピツで描きまくる毎日を1年ぐらい続けてたら絵はすこぶる上手くなっていきました。
#画像馬のデッサン
これぐらい描けたらもう大丈夫だろう、と満を持して水墨画を始めました。
水墨画には独特の技法があって、それが水墨画の最大の醍醐味です。
僕も水墨画といえばこれだろう、と思って練習して一応できるようにはなったのですが、なんかイマイチ物足りない感じがありました。
まーそんなすぐに極めれるもんでもないのはわかってるんですが。
でもたぶん、物足りなさの原因はそこじゃなくて描く対象が面白くなかったんでしょうね。
水墨画といえば竹とか梅とかなんかそんなんばっかり出てきてて、こんなん描いてても何も面白くないなーって、そこらへんに不満を感じてたんだと思います。
この当時の僕の情報力ではそれぐらいしかわからなくて、無意識に「水墨画はこういうのしか描いたらダメなんだ」って思ってました。
で。
ホントにそうなのか?と思って、いろいろネットで探してたらこんな水墨画に出会いました。


これをみた瞬間、「あ、水墨画ってべつに何を描いてもいいんだ」と、頭の中で道がパァーっと拓けました。
今までやってきたエンピツ画をそのまま水墨画に活かすにはどうしたらいいかなーといろいろ考えて、水墨画でもエンピツ画みたいに描いたらいいじゃん、ってなって行き着いたのがこれです。


この馬の絵を全国公募展に出品してみたところ、入賞して「審査員奨励賞」をいただくことができました。
その翌年と翌々年にも同じ公募展に出品して、同じく入賞することができて、少しずつ賞のランクが上がっていきました。
海外の公募展にも出品したら、そこでも「国際奨励賞」なるものをいただいて、やっと公に認められた感じがして、なんだかとても感慨深いものがありました。
そこからなんと、僕の絵を買ってくれる人が現れるようになりました。
こんなにも嬉しいことはないです。
決して安くはないお値段なのに、そんなにも出して求めてくれるっていうことに今まで感じたことのない感謝の気持ちが自分の中に芽生えました。
ただ。
僕が幼い頃にみた夢はまだまだこんなものじゃないはず。
人間的にはずいぶん成長させてもらった気がするけれど、やりたいことに関してはまだまだひよっこレベルだなーと。
もっと自分の絵をたくさんの人にみてもらって、いろんな人に買ってもらって、もっと絵に時間を使えるようになりたい。
絵のレベルをもっと上げて、みた人全員絶句させるような絵を描きたい。
何か方法はないかしら?と、いろいろ模索してたら自分のブログを立ち上げて、そのブログが成長したらいろんな人にみてもらえることを知りました。
善は急げでその日から行動開始。
絵を描くことは得意だったけれど、作文とか文章を書くのは昔から大の苦手でした。
最初は誰にもみてもらえず、ただただひたすら文字を書きまくる毎日。この時はホントに苦痛で苦痛で仕方ありませんでした。笑
ブログは最低100記事は書かないと成長しない、っていうのがその界隈の一般常識で、この僕がそんなに書けるのか不安で、毎日何を書こうか頭を抱えていました。
それでも、半年ぐらい頑張ってたら少しずつみてくれる人が増えてきました。
こんな拙い文章でもみてくれる人がいて、リアクションを返してくれるんだなーと。
そういうのがあるとすごくやりがいを感じてまた頑張ろうと思えるものですね。
そんな中、とある方の紹介で水墨画の漫画を描くというお仕事をいただきました。
それは動物が主人公のセリフのない漫画。
セリフがないので画面構成やら表情やら動きでストーリーを紡いでいくしかない、というなかなかハードルが高いもの。
しかも動物の表情なんてすこぶる難しい、、、。
漫画と聞いた瞬間に思いついたのは、自分の心を閉ざしてた半生をベースにして物語を作ったら面白いものになるんじゃないかなーと思いまして。
それをセリフなしで伝えるのはなかなかの鬼の所業だなーと。
それでもなんとかネーム(物語の土台)はできて、さぁこれから本番!…と思っていた矢先にその話は頓挫してしまいました。
いろんな作家さんを集めてそれぞれの作品を投稿して世界中に発信していく、というアプリをリリースする、という話だったので、世界中の人にみてもらえるんだ!と意気揚々としていたのですが、いろんな事情でしばらく保留という形になってしまいました。かなりショックを受けましたが、過ぎてしまったことをもうどうすることもできません。
作品は各々で自由に発表してもいい、とのことだったので、せっかく作ったストーリーをこのままお蔵入りにしてしまうのもなんか嫌だし、どうせならこのストーリーを使って何かまったく新しいことをしたいと考えるようになりました。
それが。
全編水墨画仕立てのセリフなし映画。
水墨画で全編やるとか、果たして需要があるのかないのか。
そんなことはどうでもいいので、とにかく作りたい。
白黒だからそんなに時間は長くできないかなぁとか、いろいろ考えてる最中です。
とりあえず最初はYouTubeでショートバージョンの制作から始めようと考えております。
全編水墨画なので相当時間がかかるのは間違いなくて、とりあえず漫画バージョンを制作しています。