魅力的な絵を描く方法:上手いか下手かよりも大事なこと

魅力的な絵。

それは、心を鷲掴みにされて言葉も出ない。

それほどの衝撃を与えてくれる絵。

 

それは、決して数値化できるものではなく、理論で片付けれるものでもなく、ましてや上手いとか下手とかそんなものをはるかに超越した次元のお話です。

『なんかよくわからないけどすごくイイ絵』

そんな言葉がピッタリです。

そんな絵を描くためにどうすればいいか、のお話です。

 

【魅力的な絵を描く方法】魅力とは何か

Dの水墨画作品【おうちへかえろう】

そもそも魅力って何なんでしょうか。

国語辞典を調べてみると、「人の心を引きつけて夢中にさせる力」と書いてありました。

すごく抽象的すぎて、そんなもん感じ方は人それぞれなんですけれども、そう説明するしかないのですよ、これって。

でも、それを言ってしまったらもうこの記事ここで終わってしまうので、もうちょっと解像度を上げてみたいと思います。

 

頭の中に言葉を失うほどの衝撃を受けた絵を思い浮かべてみてください。

胸のあたりがちょっとザワザワすると思うのですが、そのザワつかせてる、目に見えない不思議な力が魅力です。

そういう絵は描いた人が描く時になんか変なエネルギーを込めてるのです。

込めてるというか、勝手に乗っかっちゃってる感じ。

この変なエネルギーはどういう時に発生するのかというと、描いてる本人が自分の絵に心を動かされた時にだけ発生します。

要は、「おれスゲェ!!!」

…というふうに、自分で描きながら自分の絵に感動するのです。

ナルシスト極まりないですが、絵描きなんかナルシストばっかりです。むしろナルシストじゃないとなれませぬ。

そしてその度合いが高ければ高いほど、変なエネルギーもどんどん高まっていきます。

界王拳を使って戦闘力がどんどん上がっていくあの感じです。

この変なエネルギーは、数値化できるものではありませんが、磨くことはできます。

 

【魅力的な絵を描く方法】魅力を磨く方法

 

自分に自信を持つ

 

先ほど、変なエネルギーは自分で自分の絵に感動することで発生する、とお話しました。

 

自分の絵に感動する、っていうのは、相当自分に自信がないとできるものではありません。

だからナルシストしか絵描きになれないのです。

日本では謙虚な態度が好まれる傾向にあるのですが、そんな謙虚な心は今すぐ捨て去ってください。絵に関してだけ。

「おれスゲェ!」って思って何が悪いのですか。

 

自信満々になることは決して悪いことではありません。

ダメなのは、そこで満足してしまうこと。

満足してしまったら絵描き人生は終了です。

いや、言い方間違えました。一瞬満足することはいくらでもあります。むしろないと自分に感動なんかできない。

僕自身そうですが、自分の描いた絵に惚れ惚れすることはしょっちゅうあります。

でも5秒後にはもう「もっとよくするためにはどうすればいいか?」を考えて、脳内で反省会します。

 

常に「もっと凄い絵を描きたい!」っていう心を持ちながら、自信満々になる。

これが未来永劫、魅力的な絵を描く方法です。

 

自信を持つには

では、自信を持つにはどうすればいいのでしょうか。

まずは絵を描くのが上手くなることが必須です。

「絵が上手い」っていうのは、一般的には思った通りに鉛筆を自由自在に動かせて思った通りの線を描ける、技術的なことです。誰かに「◯◯描いてー」って言われてサラサラーっと描けてしまう技術ですな。

 

描く技術だけがあっても自信にはつながりません。いや、多少はつながるのですけれども。

それだけでは足りなくて、総合的な画力がないと自信もへったくれもありません。

画力っていうのは、ただ単に「描く技術」だけじゃなくて、構図を考えたり観察してそれを絵に反映させたりする、「画面を構成する力」のことを画力といいます。

 

関連記事⇒画力を上げるためにやるべきこと:画力がある=絵が上手いじゃない

 

画力を上げるにはひたすら描きまくるしかありません。そして画力を上げることが自信につながってゆくのです。

僕の経験上、何回も何回も自分に絶望することで自信は少しずつついていきます。

そんなドMなことをしないと自信はつかないのか、、、。

はい、そうです。

本物の自信はそうやって自分を打ち砕いていかないとつきません。

そんな甘っちょろいものではありません。

常に圧倒的に高い目標を持って、一歩近づいては絶望し、また一歩近づいては絶望する。

これを繰り返しているうちに自分に自信を持てるようになります。

具体的に何をやるかというと。

自分が苦手なものをひたすら描くのです。

苦手なので描く気が起こりにくくて、かつ出来ばえも最悪です。

これほど苦痛なことはありません。

が。

乗り越えて苦手なものが描けるようになった時、それは大きな自信になってあなたを何倍も大きくしてくれることでしょう。

 

僕の場合はリアルな人物画がすこぶる苦手でホントに何回も何回も自分に絶望しました。

ヘタクソすぎて。

それでも思うように描けない自分が悔しくて悔しくて、何クソ根性でなんとか乗り越えることができました。

おかげで(?)今では苦手なものはなくなって、なんでも描けるようになりました。

さらに、元々得意だったものにさらに磨きがかかって、もっと凄い絵が描けるようになっていました。

これはかなり大きな自信になりました。

 

もう誰にも負けない画力が身についたと思っています。

 

最高にいいですよ。

自分にムチを打って、何回も何回も絶望を味あわないといけませんが。

そして自分に絶望して絵を描くことを辞めていく人が8割〜9割。

大事なのは、自分に絶望した時にどう対処するかです。

たとえば自分の得意な絵を描いて、「絵を描くことは楽しいんだ」って、自分を洗脳して慰めることです。苦手なものばかり描いてると絵を描くことが苦痛になってしまいます。

間に自分が得意なものを挟むことでモチベーションを維持できます。

それか、褒めてくれる人に絵をみてもらって褒めてもらう。ここでダメ出ししてくる人にみてもらってもさらに絶望してしまうので、できる限り褒めてくれそうな人にみてもらうことが大切です。

 

そうすると「おれまだいけるやん…」と、一抹の希望が見えるので、絶望からはい上がれます。

 

ドMなことをしないと自信はつきませんが、同じぐらい甘い蜜も吸わないと自信はつきません。

っていうか、描く気が失せてしまうのでそれは危険。

 

そうやって少しずつ、自信はついてゆきます。

 

感性を磨く

 

「感性」を磨くことは魅力的な絵を描く上で必ず通らないといけない道です。人の心を動かそうってんだから、人よりも感受性が豊かじゃないと、人の心なんて動くハズがありません。

 

それに、仮に画力が上がったとしても、自分の絵が凄いんだってことを感じ取る能力がないと無意味です。

無意味というか、何が良いのか悪いのか分からなくなって、迷路に迷い込んでしまいます。

 

無意味ですね。

 

感性って何なんだ??って話なのですが、これはいろんなことに感動できるかどうかです。

たとえば道ばたで花が咲いてるのを見つけた時に「この子は今どんなことを考えてるんだろう?」とか。

空に浮かんでる雲を見て「あの雲恐竜みたいだなー」とか。

 

これはほんの一例ですが、そういう子どもみたいな純粋な感受性といいますか。

そういう感性は誰でも持ってるもので、大人になるにつれてどこかへ置き忘れてしまっています。

これは確実に「皆同じでないといけない」っていう、日本の教育が悪いのですが、そんなことを今さら言ってもどうにもならないので、今から何をするか?を考えないといけません。

 

そういう子どもみたいな感性は、忘れてるだけなので、思い出せばいいだけです。

小さい頃の写真を見てみるとか、小さい頃によく行った場所に訪れてみるとか。

小さい頃によく読んでた漫画を読んでみるとか。

 

そういうことをすれば思い出せるかもしれません。

思い出したら、その感覚でいろんなものを見たり聴いたり触れたりすれば感性は磨かれてゆきます。そして独特の視点で絵を描けるようになります。

それが絵に変なエネルギーを与えてくれます。

人間性を磨く

感性と通ずるものがありますが、人間性って絵にすごく出るのです。

優しい人は優しい絵になったり。

明るい人は明るい絵になったり。

野口さんみたいなシュールな人はシュールな絵になったり。

人間性を磨く上で大切なのは、常に物ごとをポジティブにとらえることです。

そしてすべての物ごとを自分ごととしてとらえる。

人のせいにしない、ってことです。

たとえ自分に非がないようなことでも、「自分に出来ることが何かあったのではなかろうか」と考えることで、人間性は成長します。

 

ネガティブ思考で人のせいにしてると人間性は成長しません。

人間性が成長しなかったらしょーもない絵しか描けません。

 

なので磨いた方がいいと思います。

 

センスを磨く

 

センスは感性と似ています。

人それぞれ持ってるものが感性で、センスはその感性が重なり合う部分といった感じです。

たとえば100人の人がいたとして、全員がそれぞれの感性を持っています。

なので、その100人全員に刺さる絵なんてないのです。

そんな中で「この絵ステキ♡」って言う人が80人いたとします。そうするとその絵を描いた人はその80人の人たちから「センスがある」という認識をされるのです。

これは絵を描いた人からすると嬉しい限りです。

 

でも、たとえばその10倍の1000人の人がいたとして、そのうちの先ほど80人は同じように「この絵ステキ♡」ってなったとします。

でも残りの920人の人は「この絵最悪やん…」ってなってしまいました。

その絵を描いた人は残念なことに、920人の人たちから「センスがない」認定をされてしまいます。

これは絵を描いた人からするとちょっと手厳しい出来ごとですね。

それをどう受け取るかはその絵を描いた人次第で、80人もいてくれればそれでいい、って思うこともあるでしょうし、逆も然り。

 

この「センス」を磨くには、いろんな人の感性を知る必要がありますが、センスっていうのは地域、時代、国、文化によって変わってきます。

日本ではバカ売れの作品がアメリカでは全然売れてない、みたいな感じのことがよく起こります。

でも同じ時代が違えば同じ作品でもアメリカでバカ売れなのに日本では全然、みたいなこともあるわけで。

 

なので、全員の感性を知るとか無理ゲーだし、あんまり人のことばかり考えてると自分を見失ってしまうので、そこまで深堀りすることはせず、なんとなくこんな感じ?程度に知っておけば大丈夫かと。

 

そんなことよりも何よりも。

自分の感性を磨いて自分がワクワクする作品を常に目指すことの方がはるかに大切です。

 

とゆーわけで。

 

・自分に自信を持つ

・感性を磨く

・人間性を磨く

・センスを磨く

 

この4つを心がければ魅力的な絵を描くための変なエネルギーが養われてゆきます。

 

【魅力的な絵を描く方法】実践編

 

さて。

魅力的な絵を描くために「変なエネルギー」が大事なものだということはお分かりいただけたかと思います。

今度はそれを紙の上に表現する時に、それを最大限に引き出すために気をつける、ちょっと小手先のテクニック的なことをお伝えいたしますです。

細かい設定を考える

 

たとえば人物画を描く時に、ただその人を描くのではなくて、その人がどんな性格なのかとか、何に感動する人なのかとか、どんな人生を送ってきたのかとか、いろいろ細かいところまでを考えながら描くのです。そういう細かいところまで考えると、深みが出て魅力的な絵になります。

 

人だけじゃなくて何でもそうです。

たとえばリンゴをモチーフにした場合。

このリンゴはどこ産のリンゴなんだろう、とか。作った人の顔とかもわかったりするとより面白いです。あとそのリンゴは新鮮なのかちょっと古いのか、とか。

実際食べてみるとか。

あ、食べてしまったら描けなくなっちゃいますね。

 

他にもいろんな視点があると思うので、なんかいろいろ考えてみてください。

どう切り取るかで変わる見え方

 

絵を描く時、紙の上に描きますが、そこには「枠」というものがあります。壁画とかならね、永遠に続かせることもできますが、だいたい紙の上に描くので、枠が存在してるわけですね。

その枠の中にどんなふうに収めるかで見え方が変わってくるし、そこに個性が生まれたり、そこから変なエネルギーが発生したりするのです。

 

たとえばこんな絵に描こうとした時。

これはどちらのどなた様かわかりませんがネットで拾ってきたものです。

手を見る限り、おそらく男性と女性が赤ちゃんの靴を持っているので夫婦かな?と想像することができます。

 

でも肝心の赤ちゃんの姿は見えないので、いろんな想像をすることができます。

普通に考えたら赤ちゃんの誕生を心待ちにしているのかな?っていう、夫婦の幸せいっぱいの構図です。

でも、考えようにのよっては、もしかしたら赤ちゃんが何らかの事情で天国に旅立ってしまって、形見の靴を2人で持ってる…なんていう、悲しい構図にもなり得ます。

そんな悲しい絵は描きたくないですが。。。

 

実際はこんな写真です。

女性のお腹には赤ちゃんがいて、2人で赤ちゃんの靴を持って、産まれてくるのを心持ちにしている夫婦の幸せいっぱいの写真でした。

よかったー。

 

細かいところまで描き込む

 

先ほど、細かい設定を考えると言いましたが、それを実際に細かいところまで描き込むことで、絵に深みが出て変なエネルギーが発生します。

たとえば人物画だったら目の下に傷があるとか、服が少し破けてるとか。

さっきの夫婦の写真を絵に描くとして、悲しい絵にするんだったら、ちょっと靴をボロボロにしてみる、とか。

そういう細かいところを描き込むことで、観る人の想像を掻き立てることができて、いろんなことを考えさせられる絵に仕上がるので、すごく印象的なものになります。

 

余談です。

細かいところまで描き込むことに関してすごく印象的だったお話をひとつ。

ジブリの『もののけ姫はこうして生まれた』というドキュメンタリーがあるのですが、もののけ姫が出来上がるまでを密着取材したやつです。

その中で「モロ」という山犬とオッコトヌシ(イノシシの神様)の会話のシーンの声を録音してる時の出来ごと。

モロとオッコトヌシは敵対してるような関係で、少し言い合いをしてるようなシーンです。

その録音の最中、声を担当した美輪明宏さんが音響監督さんに何気なく「はぁ〜い」と返事したのを宮崎駿監督が聞いてニヤリとしました。

その理由は、「モロとオッコトヌシは昔いい仲だった」という設定をその場で思いついた、とのことでした。

この意見に音響監督さんは少し戸惑い気味。

 

その提案を恐る恐る美輪さんに伝えると、「山犬とイノシシが!?ww」といって笑ってらっしゃいました。

そして実際にそれ以前のものとその指摘後を比べてみるとものの見事に全然違うものになって、すごく深みが出た、っていう名シーンでございます。

詳しくは実際にみてください。

めちゃくちゃ面白くてタメになります。

created by Rinker
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

これはほんの一部分で、そんな小さなこだわりが至るところにあります。

そしてスタッフ全員がそれを共有してる。(させられてる笑)

 

だからこそあの映画は社会現象になるほど素晴らしい作品になったんだなーと。

まとめ

 

以上、「魅力的な絵を描く方法」をお送りしてまいりました。

絵を魅力的なものにするためには、とりあえず絵を描く技術があることが大前提で、その先に何をするか、が大切です。

 

むしろ、その先にあることを丁寧に実現するために技術を習得する必要がある、といった感じでしょうか。

知識とか技術だけを追い求めてしまうと、「上手いけど何も伝わってこない絵」になってしまうのでご注意ください、

 

それではまた〜。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください