水墨画を描くための技法はたくさんあります。
日本だけでも1000年以上の歴史を誇る水墨画なので、時間とともに技も磨かれてきました。
そんな水墨画の技法を紹介します。
用意するもの
まずは墨、硯、紙、筆を用意してください。
ほかにも、タオル、筆を洗ったり墨を薄めるたための水を入れておく容器(なんでもいいです)、絵皿をご用意ください。
下敷き、文鎮なんかもあると便利です。
下準備
硯に水を適量入れて墨を真っ黒になるまで磨ります。
もっと言うと少し粘り気が出るまで。
それぐらいが水墨画の技法を引き立てるのにちょうどいい墨液です。
コツは力を入れないこと。
力を入れて磨ると墨が傷んで消耗が激しいのでできるだけ力を抜いてください。墨を磨るのは力よりも「速さ」です。
墨が真っ黒になって少し粘り気が出たら、絵皿に少し水を入れてください。
半分の半分ぐらいです。
半分の半分水を入れた絵皿に真っ黒に染まった墨を2、3適たらします。
そして混ぜます。
そしたらこんな感じの灰色の色合いになるかと思います。
これができたら準備完了です。
水墨画の技法
さて、いよいよここからがお待ちかねの技法です。
墨の濃淡を使った表現
水墨画といえば墨の濃淡ですよね。
たとえばこの動画みたいに1本の筆の中に薄い墨と濃い墨を混ぜてグラデーションを表現する方法が代表的な技法です。
「片隈」
ここから水墨画の技法が始まると言っても過言ではありません。…っていうぐらい代表的な技法です。筆の先のほうに濃い墨を入れて筆を寝かせて描きます。動画で竹の幹を描いているのが片隈です。立体感を表現できます。
「先隈」
筆の先のほうにチョンっと墨を入れて筆を立てて描きます。
「両隈」
筆の先っちょの両端に濃い墨を入れて描きます。ものの輪郭を強調できます。
「元隈」
筆の根元に濃い墨を入れて描きます。花びらとかを表現するときに使います。
「内脈」
筆の真ん中あたりに濃い墨を入れて描きます。動画の笹の葉を描いてるのが「内脈」です。
いろんな種類があって、それぞれ濃い墨を入れる場所によって呼びかたが変わります。
以上が水墨画の醍醐味のひとつ、墨の濃淡を使って表現する技法です。
筆の穂先を使った技法
筆に含ませる水の量を調整して穂先をかすれさせたりする技法です。
「潤筆」
動画の中で竹の枝を描いてるのが「潤筆」といいます。墨をたっぷり含ませて筆を止めて枝の節を表現していますね。
「渇筆」
潤筆とは反対にわざと筆の水分を抜いて筆をかすれさせて松の木とかを表現するのが渇筆といいます。
「さばき筆」
筆の水分をできるだけ搾り取って穂先を開かせて細かい線をたくさん描きます。
「割り筆」
さばき筆と同じようなやりかたでもっと穂先をバラバラにして変化に富んだ線を描きます。
この「さばき筆」と「割り筆」は破筆法と呼ばれたりしています。
技法というか筆の特性を活かした「刷毛」なんてのもあります。これは穂先がとがっているのではなく平たい筆を使ったヤツです。
こんな感じで、水墨画にはたくさん技法があります。
動画で描いてらっしゃる人は小林東雲さんといって水墨画界隈では著名人です。
ここまでくるともう「職人芸」です。
お見事としかいいようがありません。
いろんな技法
冴え
濃いところは濃くする、コントラストをしっかりつけて力強い表現になります。
かすれ
墨を含んだ筆は描いていくうちに少しずつ墨が減っていきます。この性質を利用して少しずつ筆をかすれさせて筆跡に少しずつ変化をつけていく技法です。
少しずつかすれていく表現がワビサビを感じさせてくれます。
にじみ
紙の上に墨をポタッと垂らすと表面張力で墨がじんわりと広がっていきます。紙の種類によって広がりかたも全然変わってくるのでそれもまた楽しみのひとつです。
ぼかし
あらかじめ紙に水を含ませておいて、そこに墨を入れるとにじみとはまた違った表現になります。
それを乾いた筆で伸ばしたりするのもまた、面白い表現になります。
まとめ
これらの技法は一朝一夕でできるものじゃなくて、相当練習しないとなかなか身につくものではないんです。
なので多くの人がこれを習得する前に挫折してしまうと思います。
何をかくそう僕もそのひとりです。
実際にやってみて、これは技法を習得するだけでもけっこう時間かかるなと思ったので僕は早々あきらめてしまいました。笑
でもそのおかげでここにはない新たな技法を発見することができました。その方法なら初心者でも気軽に水墨画の濃淡を楽しめます。
よかったらのぞいてみてください。