おはよーございます。
水墨画家のDと申します。
↑こんな感じの水墨画の描き方を解説します。
一見、水墨画っぽくない感じにみえますが、ちゃんとした水墨画です。
これは難しい技法は使っておらず、初心者でも楽しめる簡単な描き方で描いております。
どんな描き方かというと、水墨画の技法のひとつで、ひと筆ひと筆墨を重ねていくっていう積墨法っていう描き方です。
墨をかさねることによって浮き出てくるような立体感とか、リアルな質感を見事に表現しています。
髪の毛なんかも細い筆を使ってひと筆ひと筆丁寧に描くことで、これだけの繊細で緻密な表現が可能になっています。
この描き方はエンピツ画に近い描き方なので、僕のように水墨画の技法に興味が無い人とか、ちょっと水墨画やってみたいなーっていう、水墨画初心者でも簡単に楽しむことができる「安心設計」になっています。
実際に僕自身もまったくの初心者で、生まれて初めて絵を描くために筆を手に取ったような状態の時にこの水墨画を描いています。
それではれっつごー。
水墨画の描き方①道具はシンプルでお手軽
水墨画に必要な道具はすごくシンプルで以下の4つです。
筆、墨、硯、紙
この子たちはすごくお手軽に手に入ります。
っていうのも。
我々日本人は小学校の時に習字の時間があったので、書道セットを購入、もしくは誰かのお下がりをもらって一度は手にしてるハズなんです。
その中に墨と硯と筆は入っているので、自宅のどこかに眠っていれば、今すぐ40秒で水墨画を描き始めることが可能です。
ぜひ探し当ててください。
もし自宅になくてもホームセンター、もしくは文房具屋さんにだいたい置いてあるので、簡単に手に入れることができます。お値段もリーズナブルで、全部で2000円もあれば購入可能です。
筆なんかは100均で大小セットになってるやつが売ってたりするので、それでもじゅうぶん事足ります。
100均の筆?ってなるかもしれませんが、侮るなかれ。
僕は水墨画を始めた当初、100均の筆ばかり使っていました。
↑先ほどでてきたこの絵はその100均の筆を使って描いたものです。
それを言うとわりとビックリされるのですが、絵は道具じゃなくて腕なんです。💪
後は紙です。
水墨画を描くための紙は「和紙」のイメージが強いかと思います。ところがどっこい、この描き方と和紙はあまり相性がよろしくありません。
っていうのも、墨を何回も重ねていると紙が耐えきれなくなってすぐ破けたりしてしまうからです。
分厚めの和紙もあるにはあるのですが、それでもやっぱり何回も重ねることに耐えうるだけの強度は残念ながら持ち合わせておりません。
なので最低でもスケッチブックぐらいの分厚さがないと水墨画を描くことができないのです。
幸いなことに、スケッチブックもホームセンターとか文房具屋さんとかでお手軽に手に入るミラクルが起きてるので、墨とか硯とかと一緒に購入するといいと思います。#筆は100均の方がお値段的にはリーズナブルでいいかも
あとは水とかタオルとかお皿とかが必要だったりするのですが、その子たちは家にあるものでじゅうぶん事足りるので、それを使えばいいと思います。
お皿は墨の色を把握するために色が白いものをチョイスしていただいて、さらに濃い墨と薄い墨の2種類を分けて作るので2枚用意します。
プラスチック製のものはあまりよろしくない、というのが水墨画界隈では通説になっていて…。墨の跡が残るかららしいのですが、キチンと水で洗い流せばそんなに残るものでもないので、特に問題はありませんでした。
水はけっこう大量に使うので、500ミリリットルほどご用意ください。
入れ物は何でもかまいません。
ちなみに僕はこれ。
500ミリリットルのペットボトルを半分に切ったもので、素晴らしい再利用です。笑
外観はかなりブサイクですが、ギザギザになっているところで筆の水を切ったりできるので、意外と役に立ちます。
…ところで500ミリリットルも水を用意したらこのブサイクな容器に入りきらないことに気がつきましたか?笑
タオルは筆を拭いたりするのに使うので、キメが細かくて柔らかいモノの方がよかったりします。
そんなものない!っていう場合は、キメが荒かろうがバサバサだろうが硬かろうがなんでも大丈夫です。
そんなに気にすることではないものです。
僕はそういう細かいところが気になる性格で…。
できることなら手拭いとか木綿のハンカチーフとかそういうキメ細やかな布を使った方がいいと思います。
ちなみに僕が使っているのはこれです。
道具に関してはとりあえずこんな感じでお手ごろなモノから始めるのがいいと思います。
僕自身がそうだったのですが、やっているうちにもっといろんな道具を知りたくなって 、自分でいろいろ調べたり、画材屋さんに出向いてお店の人に話を聞いたりするようになりました。
逆に言うとそうなるまでは何もわからないんです。
高ければイイってものでもないし、安いからってそれが悪いモノなのかっていうと必ずしもそうとは限らない。
何が良いモノなのかなんて使ってみないとわかりません。
そんな状態でいろんなものが揃ってる画材屋さんとかに行ってもチンプンカンプン屁のカッパ(?)です。
なので、とりあえず最低限のモノがあれば何でもいい、って感じでこんなことを言ってる次第です。
あと念のために墨汁は購入しておいた方がいいかもしれません。。。
墨を磨るのが面倒な時は必ずやってくるので、そんな時にお手軽に水墨画を描くことができるスグレモノです。
ただ、墨汁を使うのは練習に限ります。
余談ですが、道具には「相性」っていうものがあります。
手に持った時にしっくりくる感じというか。
ビビビッとくる感じというか。
すごく自分になじむ感じというか。
そういう、なんか運命めいたものがあって、その時の、パズルの最後のピースがハマったような、ガチャコン!っていう感覚はすごく痺れます。
いずれそういう道具に出会える時がくると思われるので、気長にやりましょ。
水墨画の描き方②墨を磨って水で薄めて薄い墨を作る
道具がそろいましたらば。
まずは墨を作ります。
墨を重ねるためには真っ黒な濃い墨と、薄い墨とその中間の濃さの墨の3種類の墨を準備します。
真っ黒な墨を作るために硯で墨を磨ります。小学校の時を思い出してください。なかなか時間のかかる作業だったと思います。
真っ黒にしようと思ったらだいたい20分~30分ぐらいは時間がかかります。
僕は小学校の時はこの墨を磨るのがとても苦痛な時間でした。
単調で全然面白くなかったので。笑
まだ10歳やそこらの少年なのでしかたないですね。
そんなところに何の面白みを感じれなかったのでしょう。
しかも。
ちゃんと真っ黒になるまで磨らないと先生が許してくれなかったっていうのも苦痛の要因です。
大人になったらそこらへんは大丈夫です。
でも、片方の手は墨を磨って、もう片方の手は硯を支えないといけなくて、両手がふさがってしまうので、好きな動画みながらとか、音楽聴きながらとかやるとわりと楽しんで磨ることができるのでオススメです。
やってるうちに、何もなくても無心で真っ黒になるまで墨を磨り続けることができるようになる時がきます。
でもそれまでは何かしらやりながらの方が楽しめます。
墨が真っ黒になりましたらば。
水と合わせて薄い墨と濃い墨を作ります。
お皿に水を入れて、そこに濃い墨を数滴垂らして混ぜます。
この時、100均で買った細い方の筆を使うといい感じの墨の量になります。
お皿の大きさによって違いが出てくるのでご注意を。
墨の濃度はおおよそこんな感じ。
こんな感じで2種類作ってください。
正確にこの濃度にする必要はなくて、だいたいで大丈夫です。
水墨画の描き方③モノクロへの変換
濃度の違う墨ができましたらば。
気の向くままに薄い墨の方を使って、まるでエンピツで描くように絵を描いていきます。
描きたいものがある場合はそれを。
描きたいものが特にない場合はこのリンゴを描いてみてください。
なぜリンゴなのか?
リンゴは他の油絵とか水彩画とかあらゆるジャンルの絵画で基本って言われてるモチーフで、シンプルだけどいろんな要素が詰まっています。。。。フフフ
水墨画の大きな特徴は白と黒だけのモノクロなところです。
なので描く対象をそのままみて描こうとすると、どこをどれぐらいの濃さで描けばいいのかがイマイチよくわかりません。
いや、わからないことはないんですよ。
実際エンピツで描くデッサンとかなんかはまさにそんな感じで、カラーの対象物を脳内でモノクロに変換してやるものです。
それはスゴく絵の勉強になるのです。
でも今そういうことを言い出すと収拾がつかなくなるので(笑)、また別でお話したいと思います。
とりあえず今は、その「脳内でモノクロに変換する」という手間を省いて、「水墨画を描く」ことに集中したいので、スマホで写真を撮って、もしくは先ほどのリンゴをスマホに保存して、それを写真機能を使ってモノクロ写真に変換してしまいましょう。
モノクロの写真をみながら絵を描くのは、みたまんまを描くだけなのでサクサク進みます。
この方法は水墨画の練習にもってこいなのです。
絵の練習でいちばん上達が早くなるのは「模写」です。
みたままをそのまま紙の上に表現する、つまりモノマネです。
モノクロの写真、もしくは絵を墨で模写することは何よりも水墨画の練習になります。
モノクロの写真、もしくは絵を墨で模写することは何よりも水墨画の練習になるのでオススメです。
他にもネットにたくさん転がってる絵とか写真、いろんな画像をスマホでダウンロードしてモノクロに変換すれば、アホみたいに練習がたくさんできるので上達間違いなしです。
実際に僕もこの方法でアホみたいにたくさん練習をしてきてすこぶる上達したのでぜひやってみてください。
水墨画の描き方④エンピツを重ねるがごとく墨を重ねる
リンゴのように単純な形のものなら特に大丈夫だと思うのですが、中には形がすごく複雑でいきなり筆で描くと形が上手く描けず、何回も失敗してしまうことがあります。
たとえば人物画とか。
人物画は特に難しくて、目や鼻、口の位置がミリ単位でズレるだけで顔が全然違う人になってしまったりするので、何回も何回も描き直しをすることが珍しくありません。
そんな時はエンピツで下描きをします。
油絵、水彩画、漫画、その他多くの絵画はエンピツで下描きをしますね。
これは本チャンの線を描く前に形をちゃんと整えて、その上で消えない線を描くためです。
エンピツは消しゴムで消すことができて、何回でも線の修正が可能なので、エンピツで修正を加えながら形を整えていきます。
この「形を整える」というのが非常に大事なことでして。
っていうのも、絵は形が命だからです。
形というか「輪郭」ですね。
たとえば先ほど出てまいりました「リンゴ」。
リンゴはみる角度によっては、まん丸に近い輪郭をしています。
でもこれをそのまま描くよりも、Appleのマークみたいに上と下を少しくぼませた方がよりリンゴ感が増します。
リンゴみたいな単純な輪郭のものでもこんな感じなので、他のものだとなおさら輪郭が大事になってくるわけです。
まして水墨画は白と黒だけのモノクロ絵画です。
色で表現することができないぶん、形をちゃんと整えないと何を表現してるのかがわかりにくくなってしまいます。
だからこそ下描きは心の臓ぐらい重要な役割を果たします。
ちなみに僕はこの超単純な形のリンゴでさえも下描きをしてから描きます。
エンピツと消しゴムで形を整えながら下描きをしていくのですが、下描きはこのぐらいでとどめておくのがいいかと思います。
ぬり絵みたいな感じになります。
完成するとこんな感じ。
あんまり描き込みすぎると墨を入れる時にエンピツの線が邪魔になるのでご注意あそばせ。
特に薄い方の墨を入れる時は、描いた線が墨の線なのかエンピツの線なのかわかりづらくなってしまいます。
なのでできるだけエンピツの線は最小限にとどめておきましょう。
この絵の下描きでいうと髪の毛の部分はエンピツの線なんかはもっと少なくてもいい感じです。
でも結局この絵の場合は髪の毛は真っ黒にするのでどっちでもかまいません。#なんでゆーたん
下描きが完成しましたらば。
おもむろに筆を走らせて墨を入れていきます。
エンピツと同じように、線を何回も何回も重ねて描きます。
線を重ねると墨がだんだん濃くなっていくのですが、墨が乾ききってから重ねるのと、墨が乾きる前に重ねるのとでは仕上がり具合が全然違います。
こんな感じになります。
↑これが墨が乾いてから重ねたやつで、
↑これが墨が乾く前に重ねたやつでござい。
墨が乾いてから重ねると重ねた部分の境界線がハッキリクッキリする感じになって、墨が乾かないうちに重ねると境界線がなくなってにじむ感じになります。
どっちの方が優れているとかではなくて、好みの問題もあるし、何を表現するかによって変えたりするものです。
下の画像のように、にじみを利用してキレイなグラデーションを表現したりします。
しかしここで問題が勃発します。
キレイなグラデーションにするには、時間との戦いに勝利しなければなりません。
墨を紙に乗せてすぐに新たに墨を重ねてしまうと、墨が散らかって乱れてしまって、それはとてもグラデーションと呼べるシロモノではありません。
タイミングが超シビアで、
墨が乾ききる少し手前ぐらいのところで新たに墨を重ねないとキレイなグラデーションにはならないのです。
墨を紙に乗せてから乾くまでの時間は、だいたい10秒〜30秒の間ぐらいです。
しかもその日の温度、湿度で誤差が出てくるので、5秒ぐらいで乾くこともあれば40秒ぐらいかかることだってあります。筆に含ませる墨の量でも乾くまでの時間は変わってきます。
雑学:墨が乾く時間差の理由
墨は「煤(すす)」と呼ばれる燃えカスを「膠(にかわ)」という接着剤で練り固めて乾燥させたもので、いわば「超細かい黒い粉の集まり」です。
それを水と合わせて磨ったものが墨液なのですが、墨液はいわば水の中に無数の黒い粉が浮いている状態です。
なのでパッとみたら真っ黒にみえる墨液でも顕微鏡レベルでいうと透明な水が混じってたりするのです。ただ、割合でいうと限りなく水が少なくて粉の方が圧倒的に多い状態。
なのでやってみるとわかりますが、真っ黒な墨は水分量が極めて少ないので、あっという間に紙に定着します。
乾くのがすこぶる速いのです。
その墨液に水を足して薄くしたものが水墨画で使う薄い墨になるわけですが、それは粉ひと粒ひと粒の間の距離がもっと広がった状態で、光が入りやすくなっています。だから色が薄くみえるんですね。
真っ黒な墨に比べると水分量も多いので紙に定着するまでの時間も長くなります。
なので水分量が多ければ多いほど、つまり墨が薄ければ薄いほど、乾くまでの時間が長くなる、ということになります。
薄い墨を紙の上に乗せて、それがまだ乾かないうちは粉が水の中にフワフワ浮いてる状態で、まだ紙に定着していません。
その状態で新たに墨を重ねてしまうと、元々そこにあってフワフワしてた粉がさらに暴れてしまって、散らかって乱れてしまうわけです。
それが乾ききる手前だと、4分の3ぐらいは粉が紙に定着してる状態なので、そんなに暴れることなく、キレイなグラデーションになる、というスンポーです。
そんな感じでですね。
薄い墨の線をたくさん重ねて描いていく方法なら難しいことは一切していなくて、ただただ墨の線を重ねていくだけなので、水墨画初心者でも簡単に描くことができます。
後は墨を重ねるタイミングだけですが、そこは何回もやってるとある程度みえてきます。
なんとなく、感覚で「あ、乾いたな」っていうのがわかるようになってくるのです。
なのでとりあえずたくさん描いてみることをオススメします。
初心者の状態でもこれだけの絵が描けます。
なぜ初心者でここまで描けたのかはまた後ほど。
水墨画の描き方⑤たらし込み
さて。
いろんなものを描いていく中で、この描き方だけだとイマイチ幅が広がらないし、何かが足りないなと感じていた僕は、新たに何かできないものかと試行錯誤していました。
いろいろ模索してる中でこれだ!と思ったのが、水彩画の技法である「ウエット・イン・ウエット」という描き方です。
ウエット・イン・ウエットは紙に水だけを先に大量に含ませておいて、その上から絵の具を乗せて水の表面張力を利用して絵の具をにじませたりぼかしたりする手法です。
これを水墨画に応用したら面白いのでは?と思い、やってみました。
先に紙に水を染み込ませて、その上から墨を乗せると、すごくイイ感じのグラデーションに。
これは先ほどの超シビアなタイミングで墨を重ねたヤツよりも、キレイなグラデーションになります。
そして浮き出てくるような立体感、存在感もこっちの方が圧倒的。
しかもこの手法はタイミングを気にしなくていいので、先ほどの描き方よりもお手軽という、一石が二鳥にも三鳥にもなりました。
見事に大ハマりでした。
そーやってできあがったのがこれです。
これは縦が1メートル近くあるわりと大きなサイズの絵ですが、実物をみた人は写真でみるのと全然違う!と、興奮気味に言ってくれる人多数。
それぐらい浮き出てくる感じとか、立体感とかがすごいんだそうです。
でね、、、
これをあたかも自分で考えてたどり着いたように言うておりますが。
よくよく調べてみると水墨画の技法の中にこの方法があったんです。。。
そりゃそうよね、、、。
こんな簡単なこと思いつかないわけないよね…ってちょっと悲しくなってましたとさ。泣
いやー。知らないってこわいですねー。笑
水墨画の描き方⑥初心者でも描ける理由
僕は水墨画初心者なのにわりとすぐ描けるようになったり、国内外の公募展で入賞したり、絵を買ってもらえるようになりました。
どうしてたいして水墨画を描いたことのない初心者がいきなりそんなことをできたのか。
いちばんの要因は、頑張って画力の底上げをしたからです。
画力が上がったからエンピツ画から水墨画になって、エンピツが筆に変わってもエンピツと変わらず描くことができたのだと。
もちろんそれを狙ってのことだったのですが。
画力っていうのは、「画面を構成する力」のことで、絵が上手く描けるというのはもちろんのこと、他にもたくさんの要素があります。
詳しくはコチラ
でも、あんまり細かいことは考えずに、基本的にはエンピツで毎日毎日、たくさん絵を描いて、とにかく絵を上手く描けるようになろうと、ひたすら練習していました。
結果としてそれが画力アップにつながりました。
それと同時に、エンピツはモノクロです。
水墨画もモノクロです。
そこが共通してることは最初から分かっていたので、水墨画を描くならどうする??っていうのをひたすら考えながらエンピツで絵を描いていました。
そういうことを考えながら練習することもすごく大事なことなんだなと、我ながらファインプレーだったなーと思います。
絵の基本はどんなジャンルであれ、エンピツで絵を描くことです。
世の中にはいろんな情報が世の中にはあふれ返っています。
絵が上手くなるための情報が。
あーすれば上手くなるとか、
こーすれば上手くなるとか。
本でも。ネットでも。
それこそ星の数ほどの情報があふれてる中、共通してることがひとつだけあります。
それは毎日毎日積み重ねることです。
どれだけ上手い人が言ってる方法をその通り実践したとしても、本に書いてあることをやったとしても。
結局描くのは自分自身で、それを積み上げていくのも自分自身です。
そして人間がアナログな生き物である以上、そこは大昔から何ひとつ変わっていません。
最近ではAIが言葉を打ち込むだけでそれに合わせた絵を自動で一瞬で描いてくれるという素晴らしい技術もありますが、やっぱりそこは自分の手を動かして描きたいっていうのがアナログ人間の欲求だと思うんですよね。
いくら技術が進んだとしても、そこはまた別モノだというのが僕の個人的な見解であり、願望です。
僕もAIで絵を作ったことがありますが、やっぱり自分の手を動かして描いた方が感動が大きいし、細かいところはどうしても手が届かないなーというのがあります。
今のところは。
でも、結局人間はコンピュータにはなれないので、積み重ねることでしか絵を描けるようにはなれないのです。
上手くならない人は積み重ねが足りないだけ。
他のことは何も必要ありません。
とりあえず最初は。
ある程度絵を描くのが上手くなったら、いろんなことを考えていかないとその先にはいけませんが、そこにたどり着くまでは、とにかくひたすら描きまくって描きまくって描きまくるしかありません。
そうやって基本的な画力が上がれば、水墨画初心者でもだいたいのモノは描けるようになるし、うまくいけば水墨画展とかで入賞したり、買ってくれるようにもなります。
何よりも画力はいくらあっても損はありません。
上げるに越したことはないのです。
僕の絵画教室ではさらに絵が上手くなるための最大の秘訣をお届けしています。
興味がわいたらのぞいてみてください。
水墨画は難しい?
水墨画は難しそうなイメージがあると思いますが、そのイメージの原因は主に「歴史」の深さです。
あと「技法」も難しそうな感じがしますが、割合でいうとたぶん0.5割もないぐらいのもんかと。
それでいうと技法が難しそうっていうのは、どんなジャンルの絵画でも同じです。
むしろ水墨画は白と黒だけなのですごくシンプルな方。
それでいうと油絵とか水彩画なんて色を混ぜるのが大変な作業です。
自分の思い通りの色を作るには色の知識も必須です。
さらにそこからグラデーションを作るとなると、もう何がなんだか。色の割合とかもすごく複雑だし二色以上混ぜたりすることもあるし、アタマがパニックを起こしてしまいそう。
それに比べたら墨一色だけでグラデーションを表現する水墨画の方がはるかに簡単です。
さらに油絵なんかは絵の具の扱い自体が難しかったりするので、そういう意味での難しさはどんな絵画も同じ。
とゆーわけで。
「技法」という観点でみたとき、水墨画の技法なんて易しい方なんだなっていうことがわかります。
なのでどうやら水墨画が難しそうな印象を持ってしまうのは、「歴史」に原因がありそうです。
僕自身も水墨画を始める前はなんとなく難しそうなイメージを持っていましたが、技法に関しては
特に難しそうな感じは受けませんでした。
むしろ、そんなことができるのか!と、逆にワクワクしたぐらい。
水墨画に対してそういう「難しそう」なイメージを持ってしまったのは、雪舟さんのせいです。
「せい」っていうとどうしても悪い印象になってしまいますが、敬愛を込めて言っているので誤解を招かないように念のため。笑
水墨画で有名な歴史上の人物といえば室町時代に活躍して国宝にもなってる作品を数多く残した「雪舟」さんです。
おそらくほとんどの日本人がその名前を耳にしたことがあるはずで、
水墨画=雪舟
という図式を歴史の授業で頭の中にきざみこまれているからなんとなく水墨画って高貴なものっていう印象になってしまうのではないかと思うのです。
それだけならまだたぶんよかったのですが、彼の残した数多くの作品が国宝になってしまっている事実があることと、そんな雪舟さんを神様のように崇拝した他の水墨画家たちの存在もそういう印象を助長する要因になってるのではないかなと。
狩野一族がその代表で、彼らは当時の日本の画壇を席巻して400年も続いた画家集団です。
日本のトップに君臨していた彼らが雪舟を神格化させたもんですから雪舟の株は爆上がりです。
そして狩野一族自身もまた水墨画家として歴史に名前を刻んでいます。
雪舟に比べると認知度は低いものの、狩野派=水墨画というイメージはどこかで触れているはずで、他にも伊藤若冲など、いろんな水墨画家の名前を歴史の授業で学んでいることが水墨画ってなんか「すごく歴史的な価値のある凄いもの」と認識してしまってる要因になっているのではないかなと思います。
人間の脳みそってすごく単純なんですね。笑
そんなイメージが勝手に染みついちゃってるもんですから、水墨画に対して『一見さんお断りの高級老舗料亭』みたいな雰囲気を感じてしまって容易に手が出せなくなるのです。
なので難しいというよりどっちかっていうと近寄り難い感じですね。高嶺の花みたいな。
もっというと、水墨画の歴史はすごく深くておよそ3000年前の中国で誕生したものなのです。
そんなことは自分で調べないとわかることではないので、それが直接影響してるとは考えにくいですが、それでも間接的には関わりがあるような気がしています。
【関連記事】⇒【水墨画の歴史】中国3000年の歴史から現代アートまでの軌跡
↑そんな深ーい歴史がある水墨画なのですが、日本では江戸幕府が大政奉還で政権を返上し、時代が明治になって文明開化を迎えると、政府御用達だった狩野一族も終焉を迎えました。
すると狩野一族と同じように水墨画もどんどん衰退していき、文明開化で西洋の文化が流れ込んできた影響もあって一気にマイナーな絵画になってしまいました。
そんなマイナーな絵画という印象も水墨画を一般の人たちから遠ざけてしまってる要因なのではないかと思っています。
歴史は武器になる
水墨画には深い歴史があります。油絵とかも歴史がありそうな感じがしますが、それでも500年ほどです。水墨画の歴史の変態的な深さがおわかりいただけるかと。
でも発想をちょっと変えて、逆にその歴史を武器として考えたら面白いと思うんです。
歴史は誰にもマネできるものではないし、二度と手に入るものでもありません。だからこそ何百年も前に描かれた絵が国宝になって、今なお人々を魅了し続けています。
外国の日本愛好家の人からみたらそれってたまらないと思うんですよ。その歴史の深さといかにも日本らしい感じっていうのは。
そんな水墨画を自分の手で描けるんだ!
って考えたらワクワクしてくるのではないでしょうか♫
水墨画の可能性は無限大
水墨画は長らくマイナーな絵画として日の目を見ることなく知る人ぞ知るものでしかありませんでしたが、最近では少しずつ水墨画も認知されてきたんじゃないかなーと。
いちばん大きい要因はインターネットの普及ですね。たぶん。
僕自身もネットがなかったらここまで水墨画に対して想いを馳せることもなかったと思っています。
ネットでいろんなことを調べてるうちに外崎裕漄さんという水墨画家を発見して、その方の作品をみて衝撃を受けたことで水墨画を描こうと思うようになりました。
じゃあ自分は水墨画でどんな作品を描きたいんだろう?って考えた時に、みた人を圧倒させるような絵を描きたい、と漠然としたことを思いました。
あまりにも漠然としすぎてるので、とりあえず自分がそういう感動をするものは何なんだろう?と、いろんな作品をみて回りました。
主にネットで。笑
そういう意味でもネットってすごく便利ですよね。笑
絵画だけにとどまらず、写真、建築、音楽、いろんな作品に触れました。
そんな中で出会った作品に影響を受ければ自分の成長につながるだろうと考えたのです。
もっと平たくいうと、いいと思うところを少しずつパクろうと考えました。笑
パクって自分のものにして、そうすれば少しずつ自分の個性として成長していくんだと。
関連記事⇒自分にしか描けない「個性的」な絵を描くために必要な3つのこと
でもパクることは何も悪いことではないのですよ。
パクってそのまま自分の作品として世に出すことはダメなことですが。
「パクリ」と「影響を受けたオマージュ」との境目なんてのはすごく曖昧なものですが、それが世の中の人々にパクリだ!と言われてしまったらパクリだし、気づかれなかったらセーフです。笑
中には完全にアウトだろ…って思うようなやつでも人々に認知されてるものはたくさんあるので、あんまりそういう細かいことは気にしない方がいいかと。
そういう意味で考えると世の中にはホントにたくさんの作品があって、それをどう水墨画に活かせるかを考えたらもう可能性が無限大すぎて何から手をつけたらいいのやら、っていう、嬉しい悩みに苛まれます。
その中から、自分が心の底から感動するようなものを拾い上げて、それを自分の作品に活かして、今度はまだみぬ人たちを感動の渦に巻き込みたい。
そんな欲望を共にして生きていきたいと思います。
まとめ
ずいぶん長くなってしまいましたが、最後まで読んでくれてありがとうございます。
水墨画はすごくシンプルな絵画です。
色も、道具も。
シンプルなものほど奥が深いもので、水墨画なんかはまさにそれで、いろんな世界観を表現できるものだと思います。
もし、今これを読んでくれているあなたが少しでも水墨画に興味を持ってくれたら。
そんな思いでいっぱいでございます。
それではまた〜。
コメントを残す