パースは絵に奥行きや遠近感を与えるための技法です

こんにちは。水墨画家のDと申します。

今回は「パース」というテーマで能書きをたれていこうと思います。

パースを駆使して絵をかくと絵に遠近感と奥行きがが出てきて自然な仕上がりになるので知っておいて損はないと思います。理屈がわかると面白くて「へぇ~!」ってなります。

 

そもそもパースってなに

 

パースは英語で「Perspective」(パースペクティブ)です。

日本語だと「遠近法」とか「展望」「眺め」っていう意味です。多くの絵描きの人がこのパースでつまずいてます( ゚Д゚)

「建築パース」というものもありますが、これは建築士が建築の外観や室内の空間のイメージをお客さんと共有するためにわかりやすく立体的に描いた透視図のことです。

元ネタは同じで「Perspective drawing」です。絵で使うパースとは微妙に違ってる感じです。

絵で使うパースはこんな感じです。

遠近感と奥行きを表現するためのテクニックです。これはどこかのオフィス街をイメージして描いたもので、近く建物は大きくて線もハッキリクッキリ濃く表現しています。逆に遠くの建物は小さくて線も薄くてあんまり存在感がありません。

これがパース・透視図法っていうテクニックです。平面の紙の上に空間を表現できてしまう、こ憎たらしいヤツです。

 

透視図法

 

 

パースは近くのものを大きく、遠くのものは小さく表現するのですが、こんな感じで輪切りにするとわかりやすいかと思います。

このとき、遠くにいくほどどんどん小さくなっていってやがて小さい点になっています。

 

この点のことを「消失点」といいまして、絵を描くときは消失点を設定してそこに集まる線を基準にして描くことで遠近感とか奥行きが表現される、っていう感じです。

消失点を決めるときにもうひとつ「アイレベル」というものを設定します。アイレベルは「目線の高さ」のことで、写真にたとえると、カメラを置いた位置の高さを表すラインです。

 

カメラを地面と平行にしたとき、アイレベルと水平線は重なります。

アイレベルの設定によって世界観がかなり変わってきます。

アイレベルを高く設定するとイヌのような低い目線になり、アイレベルを低く設定すると目線が高くなるという真逆の現象が起きるので注意してください。。

 

以上が透視図法の基本的な豆知識になります。

 

 

消失点はその数で表現方法がそれぞれ変わってきます。

大きく分けて3つあります。

・一点透視図法
・二点透視図法
・三点透視図法

この3つです。それぞれ解説していきます。

一点透視図法

 

一点透視図法はいちばんわかりやすい遠近法です。

消失点がひとつに設定されているのですべてのものがそこに集まって消えていく感じです。

 

一点透視図法のオフィス街の描きかたの手順を解説します。

消失点です。

アイレベル=水平線を描きます。

道路を描きました。

建物を適当に4つ描きました。

角と消失点を線で結びます。

縦に平行な線を描きます。

余分な線を消します。残りの3つも同じことをします。

だいぶ街っぽくなってきました。さらに奥のほうにも同じことをします。

これで一点透視図法の街ができあがりました。

陰影をつけるとより雰囲気がでてきます。

 

また、水平線を意図的に傾けることで鳥が飛ぶダイナミックさを演出することもできます。

作品の意図によってはそんなふうに使うのもアリです。

一点透視図法はだいたいこんな感じで、点に向かって線を集めてその線を基準に絵を描きます。

 

2点透視図法

 

二点透視図法は一点透視図法の応用です。

一点透視図は遠近感と奥行きを感じられるテクニックなのですが、二点透視図法はそこに「広がり」をもたらしてくれます。

二点透視図は交差点の真ん中からふたつの道路を見渡してるようなイメージを持ってもらえるとわかりやすいと思います。

 

一点透視図はこんな感じで一本の道があって消失点がひとつなので、奥行きは感じられますが、広がりはありません。

一方、二点透視図は二本の道があって消失点がふたつであるのでこんな感じで画面に広がりを感じることができます。

二点透視図法の街の描きかたの手順を解説します。

まずアイレベル(水平線)を描きます。

消失点を描きます。

消失点から道路が伸びてきて交差点ができました。

交差点の真ん中にそびえ立つ建物を描いていきます。高さはなんとなくです。

この線と消失点までを結びます。

斜めの線からさっき描いたたての線と平行に線を描きます。場所はなんとなくです。

余分な線を即刻消します。

これだけでもじゅうぶん二点透視図は成立しているのですが、あまりにも殺風景すぎるのでいくつか建物を描いていきたいと思います。

さっきと同じようにまず縦線を描きます。

たて線と消失点を結びます。

たて線と平行に線を描きます。

余分な線を即刻消します。

同じように描いていきます。

道路を加えるとより街っぽく見えてきます。

道路の向こう側に建物を追加します。

街になりました。これに陰影をつけるとより雰囲気が出てきます。光は矢印のほうから当たっているようです。

完成です。

以上二点透視図法でした。これを応用するとこうなります。

 

 

3点透視図法

 

3点透視図法は消失点が3つになります。

2点透視図法にもうひとつ消失点をくわえることで画面に高さを印象づけることができます。

 

下から見上げるような構図や上から見下ろすような構図が3点透視図法です。

 

まとめ

 

以上サクっと超絶カンタンにまとめてみました。

消失点やアイレベルの位置をどう設定するかで描く絵が劇的に変わることもありますが、それだけを意識して描いてしまうとそれはそれでつまらないものにもなりかねないのであくまでも自分の世界観を表現するための「ひとつの技法」として理解すれば大丈夫かと思います。

パースを知らないと絵を描けないということでは決してないです。

僕はいきなりパースの知識を詰め込むんじゃなくて自分の感覚で描いて、ある程度描けるようになってからパースを勉強したのですが、わりとサクサク理解できました。たぶんそっちのほうがいいと思います。

 

パースはものの形、特に建物などを描く場合には意識して描くと出来上がりに不自然さが少なくなります。

要はそういうことなんです。作品をより豊かなものにみせるためには不自然さがあってはいくら題材がよくても画面に引き込まれる前に足踏みしてしまいます。

その足踏みしてしまう要素を極力減らして作品を見る人を画面に引き込むためのものという程度に理解すればいいと思います。

実際にこのパースを完全に無視した作品があります。

誰もが知る国民的アニメの「ちびまる子ちゃん」がまさにそれです。

引用:youtube

画像はかなり昔のものですが、完全にパースを無視しています。

はじめてみたのは小学生のときでしたがかなり衝撃的でした。

逆にちびまる子ちゃんにパースを使うとなんからしくなくなるような感じもします。

※完全に個人的な意見です

 

まあ要は中身です。パースを知らなくても絵は描けます。むしろ知らないで描くほうが僕個人的にはいいと思います。

あとで勉強して理解して「ああ、これがパースだったのね」ぐらいがちょうどいいかのなと思います。

 

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