こんにちは。水墨画家のDです。
本日は水墨画初心者の方のために、水墨画について能書きをたれてみようと思います。
水墨画は「高級老舗料亭」のようなイメージを持たれてる方が多くいらっしゃいます。なんか怖いオジサマたちが堅苦しい感じでやってそうな。
なので初めてみたいけど「敷居が高い」だとか「難しそう」ってお考えの方はまだまだたくさんいらっしゃいます。
僕も最初はそんなイメージを持っていました。
なので。
何の知識もない状態だとそういった先入観からなかなか踏み出せなくなるのは仕方のないことだと思います。
でも。
いざ始めてみると意外とカジュアルで、むしろ他の絵画よりも簡単で描きやすいものです。
なんせ白と黒だけなので、色のことを考えなくてすむ。こんなにも楽な絵画は他に見当たりません。笑
知識も技術もまったくのゼロの状態から独学で↑こんな馬の絵が描けるようになった僕の経験をもとに、水墨画ってこんなに楽しいんだぜ!って話をするので少しだけ耳をかたむけてみてください。あなたが一歩踏み出すお手伝いになるのではないかと思います♫
水墨画とは
水墨画は文字通り水と墨を使って描いた絵画のことです。
歴史がすごく深くて始まりは今から3000年ほど前の大昔のこと。キリストも生まれてない紀元前のお話です。
日本では縄文土器が作られていた縄文時代で、まだ原始人に近い生活をしていた頃です。
水墨という言葉は西暦600〜900年の唐の時代の中国で荊浩(けいこう)さんという方が「水暈墨章のごときは我が唐代に起こる」という言葉を残していて、それが水墨画の語源となったそうな。荊浩(けいこう)さんは山水画と呼ばれる水墨画を発展させた画家です。山水画は下の画像のような厳かな山々の絵のことです。こういうのを見ると「The・水墨画」って感じですよね。
それが日本に伝わってきたのがおよそ400年後の鎌倉時代(1185年〜)のこと。
難しそうとか高級老舗料亭のようなイメージはこういう、歴史の深い重厚な感じがするところからきているものと思われます。
歴史的なところでいうと、道具もそうですね。
水墨画はすごくシンプルで墨、筆、硯、和紙という4つの道具があれば始めることができます。
でもこの4つの道具。
小学校の習字の時間以外で目にすることはあまりないかと思われます。
僕自身も水墨画を始めたのは30歳を過ぎてからだったので、その道具を目にしたのは約20年ぶりのことでした。
昔は文字を書いたりする時、必ずといっていいほど硯で墨を磨っていました。
時代劇とかで「誰か墨と硯を持て!」みたいなセリフがあるように、エンピツもペンも何もなかったので筆と墨で文字を書く、っていうのが当たり前の時代でした。
そういう「墨を使う文化」が今の日本にはないのであんまりピンとこないんですね。
でも。水墨画の魅力はまさにそこにあるのです。
水と墨をうまく混ぜ合わせてグラデーションを作る。
そうするとこの馬の絵のように、立体感とか奥行が生まれて作品を素晴らしいものに押し上げてくれます。
これこそが水墨画の最大の魅力といえます。
こんな絵を描くにはある程度の画力が必要だったり、時間がかかったりしてしまいますが、それはなにも水墨画に限ったことじゃないのであんまり関係なさそう。
あと。水墨画には水墨画の独特な技法がたくさんあります。
ひとつの筆の中に濃い墨と薄い墨を混ぜて筆を走らせることで、見事にグラデーションを表現したりとか。
そういうのが難しそうっていうイメージを膨らましてて、水墨画の敷居を高くしている原因のひとつなのではないかなーと思ったりします。
日本という国で育った僕らの中には「歴史を重んじる」という文化が根付いてしまっているので、それは仕方のないことです。
他の絵画、たとえば油絵なんかは水墨画に比べると歴史的にも全然浅くて、まだ500年そこそこです。だからわりとカジュアルに捉えられるのかもしれません。
それにしても。
水墨画のことをあんまり知らなくても、なんかそういう技法が存在してるのは知ってるっていうのは水墨画の七不思議ですね。
いろんな水墨画
ひと昔前だと水墨画といえば中国の山水画のような厳かな雰囲気のものや、竹とか梅みたいな、古典的なものばかりでした。
ひと昔といってもまだ50年も経っていません。
水墨画がひとつのアートとして受け入れられるようになったのは、たぶんここ20年ほど。
それまでは水墨画はほぼ変化がなく、先ほどの山水画や竹、梅みたいな古典的なものばかり。
最近になってようやく水墨画にも変化が表れてきて、西洋画を取り入れたものとか、ライブパフォーマンスとかいろんな形で水墨画を楽しめるようになってきました。
僕自身の作品もひとつの枠にとらわれずに、いろんなジャンルのアートを取り入れようとした結果、こんな感じになっていきました。
こういう描き方だと難しい技法は一切使わずに描けるので水墨画初心者でも楽しめるんじゃないかなぁと思っております。
とはいえ。
まだまだ発展し始めたばかりで、水墨画全体のイメージが変わるにはまだまだ時間がかかりそうですねー。
イメージが変わったキッカケ
僕が水墨画を始めようと思ったのは、シンプルに色を使うのがニガテで、「それなら白と黒だけで表現できる水墨画をやろう」という、ものすごく不純な動機です。
でも始めようと思った当時は今のような作風はまだ頭の中になくて、先ほどの山水画や竹、梅みたいな古典的な「The・水墨画」を描こうとしていました。ホントはそんな古くさい(オイw)感じの絵は描きたくなかったのですが、その時はそういうイメージに絶賛とらわれすぎていて、なんだかモヤモヤしつつも、自分には水墨画しかない!と腹をくくっていました。それほどに色がニガテです。
ところが。
ネットでいろいろ調べていたら、とある水墨画家さんの作品が目に飛び込んできてきました。
それが外崎裕漄(とざきゆうがい)さんという方の水墨画でした。
彼の作品をみた瞬間、頭の中でパァーっと希望の光が差したような感覚を覚えて、「これだ!」ってなりました。
それがきっかけで僕の中の水墨画のイメージがガラッと変わって、「水墨画でこんなことしていいんだ!」ってなりまして。
いろいろ考えて今の作風にたどり着きました。
もし彼の作品と出会ってなかったら、今もまだモヤモヤした状態でウジウジモジモジしていたかもしれません。
ホントに感謝しております。
芸術の可能性は無限大です。
古典的な画風の良いところは残しつつ、現代の人たちにも受け入れられるエッセンスを取り入れていかないと、いずれ駆逐してしまうんじゃないかなぁとか考える時もあります。
同じように、「僕の作品に出会って水墨画のイメージが変わった」とか言われたらそんなに嬉しいことはないですね♫
そんな作品を目指してみるのも面白いんじゃないかなと思います♫
水墨画で大切なこと
水墨画に興味がわいた今、いちばん大切なのは「描きたい!」とか「描いてみたい!」っていうわき上がってくる衝動です。
いろいろと小難しい話ばっかりしてきましたが、核心はそこです。
僕自身もそうでしたが、外崎裕漄さんの作品に出会ってからは、より一層「描きたい!」っていう気持ちが強くなって、絵の練習にも俄然力が入りました。
それがあなたにとっては山水画かもしれません。竹とか梅とかかもしれません。僕のような画風の水墨画かもしれません。はたまたまったく新しい水墨画かもしれません。
なんでもいいんです。
「描きたい!」とか「描いてみたい!」っていう、好奇心とかワクワクする気持ちは人を突き動かすエネルギーになってくれます。
その気持ちが燃えたぎっている今のうちにとっとと行動に移しましょうっ。
こんなブログを読んでいるヒマはありません。
今すぐ道具を引っ張り出してきてください。笑
そしてその衝動に駆られたものをまずはエンピツで描いてみましょう。
水墨画といえど、他の絵画と同じく「絵」であることは間違いありません。
絵の基本は「エンピツ画」です。
エンピツでたくさん練習して画力を上げてから筆をとると、驚くほど描けるようになります。
反対に画力が不足していると、全然思った通りに描けなくて、モチベーションが下がってしまう危険が。笑
なのでまずはエンピツでたくさん練習して画力の底上げをしておいてください。
僕の場合はまさにそんな感じでした。
エンピツでたくさん練習を積み重ねてから筆をとりました。
そしたらうまい具合に描けて、「水墨画って超楽しい!」ってなったので。
その間、いろいろ考えながらあーでもないこーでもないって模索しながら描いておりまして、その考えたことを詰め込んだ無料のオンライン絵画教室を開催しているのでそちらもよければごらんください♫
水墨画の道具
水墨画の道具はとてもシンプルで4つだけです。
筆、墨、硯、紙
以上です。笑
他にはタオルとか、水とかちょっとした小物はありますが、主にこの4つがあれば水墨画は成立してしまいます。
でも。
最初から道具を購入する必要はないと思います。
っていうのも、最初って何がいいモノなのかなんて分からないじゃないですか。
とはいえ。道具がないと描けないので。笑
書道セットとかでも全然事足りるので、そんなんでいいんです。
小学校の時に使ってたものが自宅に眠ってたりしたらそれを使うのがベストです。
あれは筆が太いのと細いのと二本入っていて、硯も墨も揃っているのでほぼ完璧です。
あとは紙をどうするかですが、何を描くかにもよりますが、一般的に使われているのは和紙が多いです。
僕のような水墨画を描くには和紙だと薄くて心もとないので、スケッチブックみたいな少し分厚めの紙がいいと思います。
もしない場合はホームセンターとか文房具屋さんとかで売ってるのでそちらで購入するといいと思います。
オススメしないのは、いきなり画材屋さんとか専門店みたいな所に行くことです。
先ほども言いましたが、最初は何が良いのか悪いのかの判断がつきにくいです。
値段が高いモノ=良いモノ
とは限りません。
たとえ高いモノを使ったとしても、だからと言って良い作品が生まれるワケではありません。
相性の問題もあります。
とりあえずモノがあればそれでいいので、最初は書道セットみたいなのでじゅうぶん事足ります。
どうしてここまで言うかというとですね。
僕もいきなり画材屋さんに行ったクチなのです。
でも画材屋さんってホントにたくさん種類がありすぎてもーホントにワケわからなくて。笑
お店の人に聞いたらある程度これがいいよーとか言ってはくれるのですが、それがホントに自分に合ってるかなんてわからないのですよ。
だから結局何も買わずにお店の人に「またきまーす」って言ってすごすご帰りました。
でもある程度描けるようになると、筆とかもこんな感じのがあったらいいのになーとか思うようになってくるのです。
その時に初めてお店の人と話が通じるようになりました。
なのでとりあえず最初は最低限のモノがあればそれでじゅうぶんです✨
そんなことよりも何よりも。
画力を上げることに力を注いだ方がイイです。
腕さえ上がればどんな筆でも描けるようになります。
理想はそこにたどり着くことです♫
水墨画を独学でやるか教室に通うか問題
結論、どっちでもいいと思います。
ただ、習うのであればすごく強い憧れを抱ける人に習った方がイイかなーと思います。
そういう人の意見とかアドバイスって、スーッと入ってきて聞き入れやすいです。
とはいえ。
作品は素晴らしかったとしても、教え方がイマイチだったり、人間的に微妙な人も中にはいらっしゃるので、ある種バクチみたい感じになったりします。
こればっかりは実際に習ってみないとわからないので何とも言えません。
僕自身は誰かに絵を習ったことがなく、ずっと独学で絵を学んできた人間なので、独学の方がいいんじゃないかなーと思っております。
独学のデメリットとしては、すべてにおいて自己責任なのでサボりたい放題なところです。
絵の練習の予定とかも全部自分で管理しないといけません。
なので意思が弱い人には独学はちょっと不向きかもですね。
独学と習うの中間にあたるのが「オンライン絵画教室」です。
オンラインは動画の授業を定期的に配信するカタチなので、ある程度のスケジュールは決められています。
それを自分のペースで進めることができて、なおかつ24時間アドバイスを受けたり相談することもできちゃうというすぐれモノです。
僕もオンライン教室をやっているのでぜひのぞいてみてください♫↓↓↓
水墨画の描き方アレコレ
水墨画には独特の描き方があります。
代表的なのが筆の中に薄い墨と濃い墨を混ぜてグラデーションを表現するっていうのがあったりします。
こんな感じのやつです。↓↓↓
この他にもたくさん技法はあって、こういうのが水墨画の醍醐味だと思う方はたぶんたくさんいらっしゃいます。
僕もできるようになりたいと思ってたくさん練習しました。
でも個人的にはこういう「The・水墨画」の技法はあんまりピンとこず。
好みの問題です。笑
たしかに面白いんです。
ひとつの筆の中にグラデーションを作るって。
でもグラデーションって何のためにあるかっていうと、「立体感を表現するため」っていうのがひとつあると思うのですよ。
……にしてはちょっと薄っぺらい!
…と、思ったので、僕は違う方法で描こうと思い、今に至ります。
その方法は「線を重ねて少しずつ濃くしていく」というものです。
この方法なら初めて筆をとった人でも画力さえあればこんな感じ↓の絵が一瞬で描けます。
個人的にはこっちの描き方の方がグラデーションを自由自在に表現できるし立体感あふれる絵になるので好きです。
この描き方はオンライン水墨画教室「水暈墨章」で丁寧に解説しているのでぜひのぞいてみてください♫
まとめ
いかがでしたでしょうか。少しでも水墨画って面白そう!と思ってもらえたら嬉しいです。
難しそうにみえて実はすごくシンプルな絵画なので誰でも描けるようになります。
そのためにはちょっとだけ努力が必要です。
その後押しができたらなぁと思います。
それじゃーまた〜。