白と黒だけの水墨画で何ができるのか考えてみた

絵画といえば油絵や水彩画などの色が付いたものを想像するのが一般的な考え方だと思います。

そんな中で水墨画というジャンルは白と黒だけというシンプルな絵画なのですが、なんだか特別扱いされてるような感じがします。その要因のひとつに「歴史の深さ」があると思います。なんと水墨画は3000年もの歴史を誇る絵画なのです。

【水墨画の歴史】実は中国3000年の歴史を誇るすごい芸術だったんです

そんな歴史の深い水墨画は白と黒だけの絵画ですが、実際に使う色は紙の白と墨の黒一色だけなので、厳密にいうと墨の黒だけで濃淡をつけて楽しむ絵画です。

そんな黒だけの絵画で何を表現できるのか?一生懸命考えたのでごらんください。

色がないからこその面白さ

 

水墨画には色という概念がありません。似たようなジャンルで日本画というものがあります。この日本画の中に水墨画というものが含まれてるんですが、日本画では岩絵具という絵の具が使われていて色を付けることができます。

人間はこの色という情報を目から頭に入れることでいろんな刺激を脳に与えることができるんですね。森の緑を見て気分が落ち着いたり。

真っ赤に燃える炎を見て気分が高まったり。黄色、ピンク、青といった色とりどりの花を見て感動したり。

もし色という概念がこの世に存在しなかったら人間はここまで感情が豊かにはならなかったのではないか?

と思えるぐらい、色という情報が与えてくれるものの可能性は無限大です。

日本という国では四季がはっきりと分かれていて春はピンク、夏は青や緑、秋は赤や黄色、冬は白や水色。

こんなふうに色を見るだけでその季節を感じることもできてしまいます。


桜のピンクは春の陽気を感じさせてくれます。

もし色がなかったら桜の花をみてお花見なんてこともしなかっただろうし、わざわざ紅葉を見にいって感動するなんてこともなかったと思います。

表現者として色があるかないかの違いは、お寿司屋さんでネタがあるかないかぐらいの大問題です。いうなればネタじゃなくてシャリだけで「さあ食べてください!」と言っているようなものです。#ちょっと大げさじゃね?

表現者にとっては色はそれぐらい破壊力がある武器なのです。

この色という武器をあえてなくすことで出てくる面白さは確実に存在していて、先ほどのお寿司屋さんがシャリだけでどうやって勝負するの?といった感じのことです。シャリだけだとご飯に対してどれだけ味をつければお客さんが喜んでくれるのか?隠し味にバターをちょっとだけ混ぜてみるとか。味はもちろんのこと、形や盛り付けをちょっと工夫して見た目の面白さで勝負してみるとか。

といった感じで「シャリだけで勝負いなきゃいけない」という制約があるといろいろなアイデアが出てきそうです。

水墨画もこれと同じことが起きてるんです。絵の基本的な要素はモチーフ、画面構成、色。大きく分けるとこの3つで絵は成り立ちます。お寿司でいうと色が「ネタ」で、モチーフが「シャリ」、画面構成が「盛り付け」といった感じでしょうか。

このうち、色がなくなるとモチーフと画面構成だけで勝負しないといけません。

この問題を解決してくれるのがデッサンという表現方法です。

デッサンを墨でやればいんじゃね?

 

デッサンは絵画の基本と言われていて、絵を描く人なら一度は通る道です。デッサンができていないというのは味のないシャリで寿司を握るようなもの。

デッサンは基本的には黒1色で描くため、モチーフの形のとらえ方だったり、影のつけかた、光の入れ方など、絵を描く基礎を身につけるための練習方法としては絶大な効果を発揮してくれます。

白と黒だけで絵を描くからこそ、モチーフの形や雰囲気、光と影をどう捉えるかということがめちゃくちゃ出てしまうんです。

それをひとつの絵画として構成するとき、どんな角度、どんなフレーミングで構成すればいいか?とか考える力も身につきます。

プロの画家、それも一線で活躍するような人ほどこのデッサンをすごく大事にしています。

ん?

ちょっと待って。もしかしてこのデッサンをそのまま作品にして墨で描けばいいのでは?

と思い立ちました。デッサンはエンピツで何回も重ねて塗ることで強弱をつけたりカゲを表現したりします。それはときにはデッサンだけで作品として成り立つことも少なくありません。ということはここを突き詰めていけば水墨画作品として面白くなるのでは?この思い付きを後押ししてくれたのがモノクロ写真です。

モノクロ写真も水墨画と同じなんだよね

 

同じように白と黒だけで表現するものとしてモノクロ写真があります。

どうやら写真の世界でも同じことが言えるようです。写真家さんたちの間では、あえてモノクロの写真を撮ることで写真の構図や光の加減などを練習するといった風潮があるそうです。

白と黒だけでいい写真が撮れなければ色を使った写真を撮ったところでそれはいい写真にはならないといった具合に。絵画とまったく同じことを写真家の皆さんもやっている。これってめちゃくちゃ面白いことですよね。

ということはこれは絵画とか写真といった「決められた枠の中で表現する芸術」の本質的なところにたどり着いたということになります。

そして中にはそんな白と黒だけで表現することに取り憑かれたアーティストがこの世にはたくさんいらっしゃいます。

もちろん僕もそのひとりであることは間違いありません。

彼らは「自分の中にあるものを表現するのに色なんていらない」といわんばかりに見事に白と黒だけです。僕はこのモノクロ写真のような写実的な表現を水墨画でできたら最高にカッコイイなぁと思っています。写真ではできないようなことが「絵」なら可能です。そんな水墨画の可能性は無限大に広がっています。

 

 

白と黒。

 

シンプルだからこその奥深さ。

水墨画というジャンルではまだまだこの奥深さに片足すら踏み入れれてない気がする。

 

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