水墨画と音楽。別モノのように見えて本質はまったく同じだった

水墨画と音楽---。

一見するとかけ離れたもののように思えますが本質的なところは

まったく同じものです。

どっちも同じ「芸術」であることは揺るがない事実なんです。

今回はそんなお話です。

 

僕は高校2年生のときにバンド活動を始めました。

それ以降10年以上音楽と向き合ってきました。

 

そもそも僕は音楽が好きではなかったのですが

友達の「バンドやろうぜ」のひとことでホントに

なんとなく始めることになりました。笑

そこから僕の人生が大きく変わることになるとはそのときは

思いもしませんでした。

 

それまでは学校の音楽の授業なんか大っ嫌いだったし、歌のテストの時なんか

ホントにその場から逃げ出したいぐらい嫌な時間でした。

そんな僕が今では大嫌いだった音楽を作るようになってる。

ちなみにいうと墨を磨るのも大嫌いでした。笑

習字の授業とか意味不明でしたもん。

そんな人間が今ではその大嫌いだったはずの墨を磨って

水墨画を描いてます。

いやホント人生ってどこでどうなるかわからないもんです。笑

 

もともと僕は音楽を聴くことなんかなかったし親の好きな曲が車の中でひたすら流れてたり、

好きなアニメの曲を覚えてたぐらいでそれが自然と頭に残っていた感じでした。

僕が音楽と関わってたのはせいぜいそのくらいのモンです。

 

ドラムとの出会いは高校1年生の終わり頃。

その頃の僕は中学に上がったときにやっと思いっきりできるようになった

はずのバスケットボールに対して面白みを感じなくなっていました。

人数が少ないっていうのとまわりのみんながなんとなくやってるような感じに見えて

張り合いがなくなったんでしょうね。

僕はどうせやるなら全国目指したいと思ってやっていましたが

それを声を大にして言う度胸もなく。

ただまわりに流されて自分を押し殺して何となくやってしまっていました。

そんな時同じクラスの中学から同じだったやつにバンドを組もうと誘われました。

あれだけやりたかったバスケットボールが面白くなくなっていたので

これまた流されるままに承諾してしまいました。

当初はギター担当の予定だったのですがドラムをやるやつが

いなかったのでドラム担当になってしまいました。

本当にこんな流れでバンド活動を始めました。

これといった明確な理由って見当たらないんです。笑

 

なのではっきりいってそんなにやる気はなかったです。

でもいざやってみると何も練習する事なくいきなり8ビートを叩く事ができました

そのときに思いました。

「おれ天才じゃね?」って。

まわりの人たちも褒めてくれたので僕は調子に乗りました。

ドラムでプロになろう。」

この件に関しては裏話があります。

詳細はこちらに⇒センスは自分で作るもの:「センスがない」は何も考えてないだけ

 

そんな感じでずいぶんテキトーな感じで始まった僕と音楽との出会い。

それからというもの自分でも意外なほど音楽の面白さにどんどん惹かれていき、

バンドを組んでメジャーデビューを目指すようになりました。

この頃は音楽が楽しくてしかたなかったですね。

あれだけ嫌いだった音楽がいつのまにか自分の中でなくてはならないものになっていました。

なにがそんなに面白いのか?

音楽の楽しみかたって人それぞれあると思うんですけど

僕は聴いた瞬間に風景とか情景とかがブワーって頭の中に

浮かぶような音楽が好きなんです。そういう感性が今の水墨画に活きています。

そしてこれが芸術の根本的な要素のひとつです。

 

ほんでやっているうちにドラムだけでは物足りなくなって

ギターを弾くようになったり自分で曲を作ったりするようになって

モノを作りだすという事の楽しみを覚えていきました。

 

ちょうどこの頃に「仕事とは何ぞや」という事も同時に考えさせられる出来事があったので

「モノづくり」と「仕事」

このふたつを結びつける事に興味を持ちました。

 

そのためにはまず自分が感動するモノを作らないと意味がないということを

音楽は教えてくれました。

自分が感動するほどのモノじゃないと

自分以外の人にそれを胸を張って勧める事ができない。

それってどんな仕事でも共通することなんですよね。

音楽や水墨画とかの芸術だけじゃなく。

自分がいいと思わないものを人に勧めることはできません。

世界観を作る

 

この頃の音楽活動がなかったら今の自分は間違いなくないと断言できます。

、というのも音楽を通じて心が鷲掴みにされるという感覚を覚えました。

 

その感覚があったから自分の作りたい世界観を持つ事ができるようになったんです。

世界観は自分がその世界に入り込む事で生まれます。

例えば音楽が持つ世界観っていうのはどういうものかといいますと。

 

僕はユーミンの昔の曲を聴くといまだに、

小さい頃家族で車で出かけてた時の映像が頭の中で再生されます。

他にも君が代を聴いたら頭の中で国旗が風に揺られてたり。

 

小さい頃ドヴォルザークの「新世界より」が学校で流れてました。

それを聴いて幼いなりに妙に懐かしい気分になったんです。

その原因は「作った本人が離れた故郷を想って作ったから」

という事実を大人になってから知ってああなるほどと思ったり。

そういうのが音楽が持つ世界観なんです。

聴いた瞬間に懐かしい気持ちになったり風景や情景が

頭の中にブワーっと浮かび上がってくることで気持ちが高揚する。

そんな世界観が僕は好きなんです。

そういう感性は水墨画だけやってたらおそらく身につかなかったと思います。

 

音楽を聴いてその音楽に合ったシーン(場面)を作り出す。

普通は逆なんですよね。音楽家だったら。

風景をみたりシーンをみて音楽を作り出すのが音楽家の仕事なんです。

僕はまったく逆のことに意識がいっていました。

風景を見て音楽を作ることよりも

音楽を聴いて風景を考えるほうが好きだったんです。

 

今ではどっちもできます。

音楽を作ることも水墨画を描くことも。

水墨画と音楽がそんなふうに結びついているんです。

それがすべてではないですが芸術をやるにはこういう考えも

必要になるんじゃないかなと思います。