水墨画の描き方:独自の技法を発見したときのハナシ

世の中の水墨画では墨を何回も重ねて塗ることはタブー視されていることが多いです。

いや、そんなことないかもしれないけど僕はそういう印象を持っています。

まぁ、そもそも水墨画っていうのは和紙に描くのが通例であって

僕のように分厚い水彩紙に描くなんてのは珍しいことなのかもしれません。

 

水墨画は重ね塗りしてはいけないと誰が決めた?

 

僕が今の描きかたをするようになったのは、元々は

水墨画を始めようとしたときからどんなジャンルの絵でも

画力はなくてはならないモノだろうという考えのもと、

ひたすらエンピツでデッサンの練習を繰り返していたことが始まりです。

デッサンは筆圧を比較的低めにして薄い線を何回も重ねることによって

少しずつ濃くしてコントラストをつけていきます。

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その少しずつ濃くしていくというのが僕の中ですごく面白かったんです。

最初は何もないただの白い紙の上。

そこに頭の中にイメージした世界が具現化されていくのが。

これなら一生やってても飽きないな〜なんて思いながらひたすら描き続けてました。

でもその時点での僕の水墨画の知識っていうのは

ひと筆ですべて描き切るみたいなものばかりでした。

 

なんか面白くないなぁなんて思いながらも、

水墨画って"そういうもの"なんだからとりあえずやってみようと思いました。

難しいんですよね。

ひとつの筆の中にグラデーション作るのって。

なんとか形にはできましたが、エンピツで何度も線を重ねていくことに

喜びを感じていた僕はたったひと筆ですべてを表現することに対して

物足りなさを感じずにはいられませんでした。

でも水墨画って"そういうもの"という固定観念が取れない自分がいる。

そのときはかなり苦しかったのを覚えています。

 

水墨画だって絵画のいちジャンルじゃないか

 

そんなジレンマと戦っていた僕にあるとき偶然ですが転機が訪れました。

たまたま薄い墨で線を引いたときのこと。

もともとあった薄い線の上に偶然墨を重ねてしまいました。

そのとき僕の中で衝撃が走りました。

「これだ!!」

もはや何を描いていたのかは忘れてしまいましたが、

偶然重ねてしまった2つの線を見てエンピツで何度も線を

重ねていたのと同じようなワクワクが生まれたんです。

こういう描きかたをすればエンピツで描くときのような喜びを感じることができるのでは?

そうなってしまったらもう僕の勢いは止まることを知りません。

元々僕は楽しいことがあったらイケイケになってしまうタイプなので、

それでルールを破ることになろうが知ったこっちゃありません。

それで10代20代のときに苦労したこともしばしば。

でも今回ばかりはそんな性格も功を奏しました。

「重ねたらダメ」なんてルールはどこにもない。

それはあくまでも今までの水墨画の世界ではほとんどの人がやってこなかったことなだけ。

そもそも絵とか芸術の世界にルールなんて関係ない。

描いてる本人が楽しければ、最終的に見てくれる人が喜んでくれたらそれでいい。

、という考えが頭の中を突っ走っていきました。

これで僕の水墨画人生は楽しくなる!と確信したのがこのときです。

 

墨を重ねたほうが深みが出る

 

一度そうなってしまったらとことんいってしまうのが

僕の性格なのでもう迷いはありません。笑

それからというもの、いろんな試行錯誤をしてきました。

最初は今のような分厚めの画用紙に描くのではなく、半紙に描いてました。

ところがこの半紙という紙は、ものすごく薄い紙で

僕がやろうとする重ね塗りにはまったく合ってませんでした。

重ねると紙がすぐにへたってしまって絵を描くどころではありません。

さあ困ったぞと。

このときは重ね塗りに関してはもはやルールもへったくれもないと

思ってましたが、紙に関してはまだどこかに「水墨画は和紙じゃないと」

、という固定観念が残っていました。

 

でも描きかたですでにルールもへったくれもないと思ってるのに

なんで紙でこだわってるんだ?ということに気づき、

薄い紙じゃダメなんだから分厚い紙に描けばいいじゃないかと。

そのときは分厚い紙といえば画用紙しか思いつかなかったので

とりあえず近くのホームセンターコーナンに走りました。

画材屋さんに行けばいいじゃないかと思うかもしれませんが、

その当時の僕にそんな場所にひとりで行く勇気なんか

持ち合わせていなかったのでしゃーなしです。笑

なんかすごく敷居が高いような気がしてビビッてました。

そしていざ買ってきた画用紙に描いてみると、ビンゴでした。

墨をのせても紙がビクともしない。

半紙のときは重ねてなくても紙が波打ってしまってたので

めちゃくちゃ嬉しかったですっ。

墨を重ねてみると思った通りの表現になってすげー楽しかったです。

「これこれ!」という感じでした。

で、描いたのがこれ。

見てわかる通り、墨ではありません。笑

青いインクです。

もーすでに忘れましたがおそらくこのときは

いろいろ試してた時期だったんだと思います。

重ねて塗るとものすごい立体感と奥行き感が生まれるんです。

ここから僕の独特な雰囲気の水墨画の世界は始まりました。

見た人のほとんどが僕の作品を水墨画だと認識してくれません。笑

 

水を使うことで表現の幅が広がった

 

僕が今のスタイルで水墨画を描き始めてしばらくは、

100均で買った筆一本で描いていました。

紙のサイズが大きかろうが小さかろうが、すべて細い筆で描いていました。

それもそのはずで、僕が自分で発見した描き方なので

教えてくれる人はもちろん、そんなことがネットでも

どこでもいくら探しても見つかりません。

なんの知識もない状態だったからです。

それがあるとき薄い墨をのせて、乾くまでのわずかな瞬間に

また同じ場所に墨をのせると不思議な広がりかたをしたのを発見しました。

これはこれで面白いのでは?と思ったのです。

 

それまでは一度のせた墨が乾いてからまたそこに墨をのせて

その重なり具合で深みが出ることでしか表現できていなかったのですが、

その方法だとわずかですがにじみが出て、それが面白いと感じたのです。

そこから僕は何かいい方法がないかといろいろ調べまくりました。

そしてたどり着いたのが水彩画の水を張るという方法を取り入れてみることでした。

水彩画は紙に水を大量に含ませてその上に絵の具をのせてグラデーションを作ります。

そのやりかたを水墨画でやれば光のモヤモヤした感じとか

雲とかをうまいこと表現できるのでは?と思ったのです。

そしてそれがビンゴでした。

それからというもの、僕は筆の種類も圧倒的に増えて

今では10本以上の筆を使って水墨画を描いています。

最後に

 

僕がこれを描いたのは、水墨画がもっと自由な絵画であってほしい

という願いと、いろんな表現をしてもっと世の中に

水墨画というものが認知されて広がっていってほしいなという強い想いがあったからです。

この方法ならどんな人でもカンタンに始めれるし、楽しく描けると思います。

それではまた。

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