こんにちは。水墨画家のDと申します。
今回は「絵の基本は楽しむこと」というテーマで能書きを垂れていこうと思います。
世の中にはいろんな上達法とか練習方法がありますが、多くの人が忘れがちなのが「楽しむこと」です。
「楽しむ」と言ってもただただ「ひゃっほーう!」ってなるだけじゃなくて、いろんな楽しみかたがあります。
楽しみかたは人それぞれですが、共通していちばん底にあるのは、描いた線が自分の頭の中でイメージしたとおりの形になったときじゃないかなぁと思います。
その描いた線が集まると「絵」が出来上がります。
その絵はみた人をいろんな感情にさせてくれます。
ものすごく悲しい気持ちにさせてくれたり、生命の尊さを教えてくれたり、とてつもない怒りを覚えさせてくれたり圧倒的な絶望感を味あわせてくれたり。
ほかにもいろんな感情がありますが、心の底からそういう気持ちにさせることのできる「絵」は描いててすごく「楽しい」ものです。
これってすごく当たり前のことなのですが、上手くなりたいがゆえにいろんなことをあれやこれやと考えていると、どうしても置いてけぼりになってしまいます。
なぜに「楽しむ」が大事なのか?
僕ら日本人は大昔からまわりと同調することを強いられてきた種族です。喜びを表に出してしまうと「はしたない」みたいな目でみられたりすることが多かったようです。
相撲なんかはその典型的な例で、相撲でガッツポーズをすると不謹慎だ!みたいな議論が起こってしまいます。相撲はもともとは神様の前で行う「神事」で、神様の前でそんな大っぴらに喜ぶことは品格に欠ける、とされていたからです。
基本的に日本ではそんなノリがずーっと続いていました。
今でも、特にスポーツなんかだとニヤニヤしながら練習したりしていると「何ニヤニヤしてんだよ!」みたいに怒られてしまう、といった文化がいまだに根強く残っています。
そのせいで「楽しむことが悪だ」みたいに洗脳されてしまっています。
でも人間って本来、楽しんでやったほうが絶対成長するハズなんです。
「楽しい」があると、「やりたい!」っていう意欲がわいてきます。
「やりたい!」っていう気持ちはなによりも強くて、「やらなきゃ」っていう義務感なんかよりも何倍もの破壊力があります。
そんでもって「やらなきゃ」よりも「やりたい!」のほうが圧倒的に練習量が増えます。
絵において練習量はすごく大事なことです。
たくさん描けば描くほど上手くなっていきます。
成長した自分が確認できればまたさらに絵を描くのが「楽しく」なります。
ここから楽しい⇒やりたい⇒練習量が増える⇒さらに楽しくなる⇒またやりたくなる⇒さらに練習量が増える、といった好循環が生まれます。
楽しんでやることは悪でもなんでもなく、人間として当たり前の行動です。
「楽しい」には理由なんかないんです。
理由が見当たらない気持ちは何よりも強いです。
誰かを好きになるのに理由なんかいらないでしょ?それと同じです(^_-)-☆
時間を忘れるぐらい夢中になって楽しむことができたらどんな人にも負けない絵が描けます。
最初は「楽しい」以外なくていい
絵が上手くなろうと思ったら自分が描きたくないようなものでも描かないといけない、と思っているかたも多いと思います。
でもそれは間違いです。楽しいと思えるもの以外は描かなくていいです。
事実、僕が絵を描き始めたときに「絵が上手くなりたいなら自分の手を描いたほうがいいよ」と進言してくださったオジサマがいらっしゃいます。
でも僕は手を描くことに何の楽しみも見いだせなくて「つまらん」と思ってしまいました。
なので2,3枚だけ描いてすぐにやめました。そのことをオジサマに伝えると笑ってました。
そして僕は自分が描きたいと思うものだけを描きまくっていたら楽しくてしかたありませんでした。そしてもっと描きたい!という欲望が生まれて練習量は日々増えていき、練習の質もドンドン向上していきました。その結果、今の画力を手に入れることができました。
今思うと、無理に続けなくてよかったと思っています。
絵の基本は楽しく描いて絵を描くことが大好きになることです。
自分が「楽しい」と思うものばっかりを描きまくって「絵を描くことは楽しいんだ」って自分を洗脳してください。
そうすると絵を描くことが大好きになってしまって、もうそこから抜け出すことができなくなります笑
瞬間的にイヤになって離れてしまうことはあっても結局また描きたくなって気がつけばエンピツをとってる…。
そうなってしまえばこっちのもんです(?)
そんな精神状態になると自分が苦手なこととか、描きたくないようなものを描いたりしても二度と絵を描くことから離れられません笑
そんなふうにしてレベルアップを図ればいいと思います。
そうなる前に描きたくないものを描いたりしてしまうと絵を描くことがイヤになってしまいます。
余談ですが、僕自身あれだけイヤだった手を描くことに何の楽しみも感じられませんでしたがそういう精神状態になってからもう一回手を描いてみたら「なるほど、確かにこれはタメになるな」と改めて思いました。
タイミングってすっごい大事だなぁ、と思いました。
楽しみかたアレコレ
ひと口に「楽しむ」と言ってもその形はホントに人それぞれで、人が楽しんでるものを自分も楽しめるかと言ったらそうでもありません。
自分が描きたいものを描くのがいちばん楽しめるポイントです。
「描きたい」っていう欲望の正体はどうやら好奇心です。
好奇心ってたぶんこの世で最強なんです。
エジソンなんかがまさにその最たる人ではないでしょうか。
今当たり前にある便利な文明の礎を築いたエジソンは「どうなるんだろう?」っていう好奇心を抑えきれず、まわりの批判を浴びながらもそれを貫きました。
そしてたくさん失敗してあきらめずに挑戦し続けて、見事に人々の役に立つ、いや、人類の歴史をも変える大発明をしました。
そんな誰にも止めることのできない好奇心を利用した練習方法があります。
今、頭の中に好きな絵を想像してみてください。
なんでもいいです。風景画、動物画、アニメキャラ、写真、、、。
その思い浮かべた絵とか写真を自分の手で再現できたとしたら、、、。
すごくワクワクしてこないですか?
これって「自分の手で描いたらどうなるんだろう?」っていう好奇心が生まれてるわけですね。
この練習方法を世間では「模写」と呼んでいます。
模写は数ある練習方法の中でものすごく優秀な子です。
絵の基本はデッサンという人もいますが、デッサンはわりと高等テクニックで、初心者がやるとプチパニックを起こしてしまうほど難しいものです。
それに比べて模写は手っ取り早くできてしかも初心者、中級者、上級者、どのレベルの人でもやってる素晴らしい練習方法です。
模写の元ネタ選びは自分が描きたいと思ったものを選ぶのが最高です。
ちょっとでも描きたくないと思ったら描かないほうがいいです。あと、あんまり難しすぎると途中でダレちゃうのでカンタンそうなものからやってみてください。
まとめ
今回は「絵の基本は楽しむこと」というテーマでお送りしてまいりました。
絵だけじゃなくてすべてのことに通じることで、初心者、上級者も関係ありません。
どこの国のどんな文化でも「楽しい」があると人は幸せになります。
あなたが楽しく絵が描けることを願っています。
はじめまして
絵を描く楽しさを忘れて何週間も悩んできた者です。このサイトに出会えて、絵は楽しむものだと言って下さり、はっとしました。比較する癖がいつからかついてしまい、評価を欲するようになりました。やがて自分は何を伝えたいのだろうかと。描きたい絵とは何なのかすら、わからなくなりました。今でもまだ苦しみから抜け出せていません。
ですがやっぱり楽しんだもの勝ちですよね…。アドバイスを下さり、ありがとうございました。早速筆をとってみようと思います。
陰ながら応援しています。