こんにちは。水墨画家のDと申します。
今回は「デッサンの目的」というテーマで能書きをたれていこうと思います。
デッサンはフランス語で素描とか下絵とか、ときには「絵そのもの」のことを言ったりして、なんだかすごく広い意味を持っています。
でも日本では絵の基礎練習っていう意味合いが強くて、「絵上手くなりたいならデッサンしたほうがいいよ」みたいな感じで使うことが多いです。実際にデッサンでやることっていうとエンピツとか木炭でシャッシャッって白黒の絵を描いてるだけ、みたいな感じですよね。
だからわりと地味なイメージがあって嫌う人もけっこう多いです。中にはデッサンなんか何の役に立たないっていう人もいらっしゃいます。#役に立つかどうかはその人次第♡
でもそれだけだと思ってたらかなりの大損で、デッサンにはただエンピツでシャッシャッってやるだけじゃないものすごく深い意味があるんです。
それをちゃんと理解してない人がただボーッと何も考えずにシャッシャシャッシャ描いてるだけだったから役に立たんってほざいてるだけです。
ずーっと昔からある伝統的な練習方法が何の役にも立たないってことはないハズ。
というわけで今回はデッサンをすることで何を学べるのか?を徹底的に解説したいと思います。
ザックリこんな感じです。
・コンセプト
・構図
・形
・質感
・量感
・光と陰影
デッサンひとつでこれだけのことを学べるんだって知るだけでもかなりレベルは上がると思います。
ひとつずつ解説していきます。
デッサンの目的①コンセプト作り
デッサンの目的その1はコンセプト作りです。ココさえ抑えとけばあとは惰性でもいいんじゃないかっていうぐらいすっごく大事なところです。
コンセプトっていうとなんだか難しそうな感じがしますが、要は絵を見た人がどんな気持ちになるのか、をデザインすることです。
これは自分がどう感じたか、がすごく影響してきます。
目の前にあるモチーフをみてどんな気持ちになったか。
そしてそれをどう表現すれば見た人に伝わるのか。←ココがいちばん大事なトコです。
たとえば今目の前に気持ちよさそうに寝てる子ネコちゃんがいるとします。
この子ネコちゃんを見て何を感じるか。
今パッと思いついたのは、ただただ子ネコちゃんが可愛いすぎてキュンキュンしたので「ひたすら可愛く」をコンセプトにするとか。
それにしても可愛いすぎる。。。♡
でもこれよく見ると安全な家の中とかじゃなくて危険だらけの外で寝てるので、すごい度胸してるから「ひとりで生きるたくましさ」をコンセプトにするのも面白いかもです。
ほかにもたとえば今目の前に一輪の花があるとします。
ただただ「花の美しさ」をコンセプトにするのもいいし、なんだかノスタルジックだなぁと感じたならそれをコンセプトにするのもいいと思います。これは今僕がモチーフをみて感じたものです。
あなたにはあなたが感じたことがあると思うのですが、それを絵にするときに見た人にも同じように感じでもらうにはどうすればいいかっていうのがコンセプト作りです。
こんなふうに花とか子ネコちゃんとは生き物なので感情移入しやすくてコンセプトは作りやすいのですが、これが無機物の石膏人形とかだと感情移入しにくくて少々厄介です。
とはいえ、無機物だからこそのいいところはあって、真っ白なので何でもできるっていう意味では可能性は無限大です。そういう無機質なところからコンセプトを絞り出す練習をしておくと何もないところからちょっとしたことでインスピレーションを受けやすくなって、コンセプト作りがしやすい脳みそになります。
構図
コンセプトを決めたら次はどんな構図にすればそのコンセプトどおりになるのか、を考えます。
ココがすごく大事なところで、目の前にあるモチーフをどんなふうに切り取ってどんな感じで枠の中に収めるかでコンセプト自体が変わっちゃうこともあります。
どんな角度からみるのか、寄るのか離れるのか、どんな目線の高さにするか。
構図次第で見た人の反応も変わってくるのですっげえ大事なところです。
さっきの子ネコがモチーフだったら、「可愛い」をコンセプトにしたときと「たくましい」をコンセプトにしたときで全然構図が変わってきます。
ここまでのコンセプトと構図は絵をみた人にどんな感情になってもらいたいかをデザインする、いわば精神的なところです。
ここからは形をとらえたり質感、量感、光と陰影を観察するっていう技術的なところの話です。
形をとらえる
デッサンの目的に形をとらえるっていうのがあります。
モチーフの形をとらえてそれを的確に表現できるとさっきのコンセプトと構図がめちゃくちゃ活きてきます。
デッサンは基本的に目の前にある実物をモチーフにするので角度によって形が長くなったり短くなったりすることもあります。
形をとらえるコツはアタリをとることです。アタリは大まかな形をとることで、こんな感じのヤツです。
最初は大まかな形をとって少しずつ細かいところまで描き込んでいくとうまくいきやすいです。そうやって少しずつモチーフの輪郭を描いていきます。
質感と量感
輪郭を描いてから細かいところを描き込んでいくのですが、そのときに観るべきところは質感と量感です。
質感はそのモチーフが何でできててどんな肌触りなのかです。たとえば子ネコだったらフワフワしてる感じとか。
石だったらゴツゴツしてる感じとか。
金属だったらツルツルしてる感じとか。
量感はモチーフから感じ取れる大きさとか重み、厚みです。
立体感とか存在感が量感です。
質感と量感は目で観察するだけじゃなくて、触ってどんな感触かを確かめたり、持ち上げて重さを量ったりすると表現しやすくなります。
光と陰影
さっきの質感と量感を表現するために光と陰影がどこにあるかを見極めます。
デッサンは基本的には白黒なので光を表現しようと思ったら必然的に陰影を表現する必要があります。陰影を濃く表現するとそれに比例して存在感と立体感が増します。
陰影のつけかたで質感も表現できます。
☆まとめ
以上、「デッサンの目的」というテーマでお送りしてまいりました。
こうしてみるとコンセプトがいちばん大事なカギを握っていて、そこから構図を決めて形をとらえて質感と量感を見極めてそれを的確に表現するために光と陰影を駆使する、といった感じです。
デッサンの目的はあくまでも本チャンの絵を素晴らしいものにすることです。
紙とエンピツさえあればできるお手軽な練習法なのでぜひやってみてください。
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