水墨画の紙:和紙を使わないとだめなの?

 

水墨画=和紙?

 

これは僕が水墨画を始める前からずっと持っていた疑問です。僕と同じように、そんなイメージを持たれている人も多いんじゃないかなーと思います。

いちばんの疑問は「和紙じゃないものに描いたらダメなのか?」というところ。ネットとかで調べてみてもたいして情報がなくて、あっても水墨画は和紙です!って言いきってるようなものが多くてなんでなん?ってなりました。

なんとなーく…そこには歴史的な要因が大きく絡んでいそうだなーと思ったので調べてみたら、案の定そんな感じでした。でもこれは島国という環境と、長い歴史の産物でしかないのでそりゃそうなるよねって感じでどうしようもなかったです。

紙の歴史

 

調べていると紙の歴史までたどり着いてすごく興味深かったのでぜひ共有しておきたいと思いました。

紙の語源は「パピルス」です。英語の「paper(ペーパー)」やフランス語の「papier(パピエ)」は共に「紙」を表していまして、パピルス(papyrus)が由来になっています。面白いですね。

パピルスって何だ?ですが、パピルスはザックリ説明すると、紀元前3000年ぐらい大昔の紙の材料で、水草の一種です。厳密にはこのパピルスは「紙」ではなくどちらかというと「布」に近いです。

本格的な「紙」が発明されたのは紀元前2世紀ごろの中国でのことです。当時はいろんな方法で試行錯誤しながら紙が作られていました。

蔡倫(さいりん)というエライ役人さんが今の紙に近い実用的な紙を作るようなったそうです。紙の材料には麻のボロきれとか樹皮を使っていたそうな。このころの役人さんは本当の意味でエライ人だったんですね。今の日本の役人も見習ってほしい。

 

そこから約1000年の時が流れて日本に伝わってきたのが7世紀、610年ごろ。

高句麗の僧、曇徴(どんちょう)が墨とともに日本に製紙法を伝えたと言われています。

当初は麻を材料に紙を作っていて、独自の改良を加えて楮(こうぞ)とか雁皮(がんぴ)を材料として使うようになって、日本オリジナルの「和紙」として発展していくことになります。日本人の得意技です。

 

長い歴史が生んだもの

 

当時の日本の筆記具といえば筆と墨しかありませんでした。和紙は吸収性が非常に良く、墨との相性が良かったので紙もその方向にシフトしていったのだと考えることができそうです。

そこから1000年以上もの長い間、日本は島国という環境も相まって独自の文化を築いていきます。それがいいか悪いかはさておき、そんなにも長い期間、墨と和紙で字を書いたり絵を描いたりしていたので「そういうものなんだ」という認識が染みついてしまったのではないかと思われます。

どうやらここが「水墨画=和紙」という構図を築いたいちばんのポイントになりそうです。意図してそうなったというわけではなく、「そうするしかなかった」といったほうがよさそうです。

んでもって長い長い鎖国が開けたのは幕末、1800年代後半のこと。

それから一気にいろんな西洋の文化が日本に入ってきて、筆記具も筆と墨から鉛筆とかペンのような使いやすいものになっていきました。それは圧倒的に筆と墨よりも利便性が高いものだったので当時の日本人の皆さんはこぞってそっちに流れていったのでしょう。

当たり前だったものが一気に淘汰されてしまったとはいえ、長い時間をかけて染みついたものはなかなか消えるものではないので、どうやら水墨画=和紙というイメージはそのまま残ってしまいました。

この事実を誤って解釈した人たちが水墨画は和紙に描かないとダメだー!と騒ぎ立ててしまったもんですから、僕を含めたいろんな人たちに「水墨画って和紙に描かないとダメなんだ」という印象を植え付けてしまいました。

 

芸術は自由です

 

水墨画は墨と水を使って絵を描く芸術です。

芸術は本来「自由」なもののハズです。これはダメだとかそういった決まりごとは表現の幅を狭めてしまって、面白くもクソもなくなるので絶対にあってはならないことです。昨今の地上波のテレビ番組をみてるとまさにそんな感じですね。

なので水墨画を和紙に描くのもステキなことだし、西洋紙に描くのもステキなことです。

これだけ世の中がグローバルになっていろんな文化の人たちがいろんな場所で交流するようになったので、自分がいちばん使いやすいものを選んで使えばいいと思います。

 

僕自身、水墨画を始めた当初はまだ水墨画=和紙というイメージが拭い切れてなかったのでとりあえず和紙に描いてみましたが、僕のやりたいことと、和紙の性質がまったく合わなかったので何かないかと探していました。そうやってたどり着いたのが画用紙です。画用紙の中でも「水彩紙」という理想的な紙に出会うことができました。

というのも、僕の独自の水墨画の描きかたでは、一般的な水墨画よりも水をアホみたいに大量に使うので和紙では吸収しきれなくて紙がフニャフニャになったり破れたりしてしまうんですね。

だから「和紙はアカーン!」ってなっちゃったわけです。

決して水墨画の歴史を踏みにじりたいわけではないのでご理解くださると嬉しいです。

 

オススメの紙

 

僕のような水墨画の表現をしてみたいという人にオススメの紙を紹介します。

僕が今現在使っている紙は「アルシュ」というフランス製の水彩紙です。水彩画を描くときに使う画用紙です。

500年もの歴史を誇るスゴイやつです。

この紙がいちばん厚みがあってかつ、目が細かくて僕の表現したいこととバッチリ合ったのでこれを使っています。滲み具合もぼかし具合も水の吸いかたもすごく秀逸で僕の好みです。

ただ、少しお値段が張るので初心者向けではないところが難点です。

多少クオリティは落ちますがホームセンターとか画材屋さんで売ってるcampusのスケッチブックがわりと近い感覚で絵を描くことができます。

これはお手頃な価値価格で手に入るので僕も最初はこれを使って絵を描いていました。

コットマンというメーカーの紙もすごく描きやすいです。先ほどのアルシュに近い感じの紙です。これも値段は比較的お安くなっております。

目の細かさでいうとダントツでケント紙がすごいです。(さよなら語彙力)

これは目がすごく細かくてアルシュの比ではないです。でもこのケント紙。厚みが少しばかり足りなくて頼りないのが残念なところ。

水を含むとすぐに波打ってしまって絵を描くどころではありません。でもエンピツで描くぶんには何もデメリットはないのでラフスケッチとか描くときに重宝しています。

 

僕のような水墨画の表現をするのであればこの3種類がオススメです。あくまでも僕の個人的な好みなので絶対にこれがいいというわけではありません。人それぞれ感じるところは違うし、表現したいことも異なると思います。なので、自分なりに考えて自分に合ったものを選ぶのがいちばんいいと思います。

 

 

 

 

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