こんにちは。水墨画家のDと申します。
ゼロから始める水墨画の入門講座です。
僕なりの「水墨画ってこんなんです」っていうことが伝えられたらなぁと思ってこの記事を書こうと思いました。
残念ながらここで書いていることはどこのどんな本にも載っていない僕の独自のものですが、よろしくおつきあいください。
知識がなくても技術がなくてもゼロから独学で水墨画を描き始めたがゆえに水墨画っぽくないと言われる水墨画が出来上がってしまいました。
でもこんな水墨画でも国内外の公募展で入賞したり、海外の人からも「絵を描いてほしい」と依頼されるようになったので、僕のやりかたは間違っていないんだなということが証明されました。
水墨画っぽくないのがおわかりいただけたところで、ワタクシ「D」の水墨画観を解説していきたいと思います。
独自の手法で描く水墨画
まずはじめに水墨画の一般的なイメージってどんなものかっていうのを説明しますと、山水画とか南画と呼ばれているやつだと思います。こんなやつですね。↓
これは室町時代に活躍した「狩野正信」という画家が描いた水墨画です。
この狩野正信という人物はのちに400年もの間日本の画壇のトップに君臨することになる「狩野派」と呼ばれる画家集団の、いうなれば「教祖」みたいな人物です。
水墨画って墨を水でにじませたりぼかしたりして濃淡で表現する絵画なんですけど、なんとなくこうしないとダメだという雰囲気があったんですね。
なんとなくです。いろんな人の話を聞いていると、明言はしないものの、水墨画と言えばこれよね、みたいな暗黙の「何か」があったんです。
そうなってしまった要因は間違いなくさっきの「狩野派」が大きな大きな要因です。
それにはちゃんと説明できることがあって、狩野派一族の教えでは自由に絵を描くことって許されてなかったんですね。「粉本」っていうお手本みたいな絵があって、そのお手本通りに描かないとダメだっていう独自のルールがあったんです。
「粉本」
そのときのルールとか考えかたがいまだに一部では根強く残っていて、それを聞いた人が水墨画ってそういうものなんだ、って思い込んでしまって、そのまままわりに伝えちゃったんだろうな、というのが僕の見解です。
しかも400年もの間、画壇のトップに君臨しちゃったもんですからその権威とか地位とかっていうのもまだ一部では根強く残ってるんだと思います。
それを象徴するようなできごとが実際に僕の身に起きました。
公募展で入賞したときに表彰式に招待されたので参加したんです。そこで懇親会があって全国各地からいろんな水墨画家さんとお話する機会があって話してたら、とあるダンディなオジサマに「どこかの先生に弟子入りしたほうがいいよ」って言われたんです。
たぶんその人にはなんの悪気もなくて、むしろ僕のことを思って言ってくれたんだと思ってます。その場に若い人って僕以外にいなかったので(笑)。応援してくれてるんだろうな、と。
でもそのときの僕はその言葉にすごく違和感を感じてしまってその場は適当に流したんです。その違和感の正体がそのときはわからなくて、あとで分析したりいろいろ調べたりして、その違和感の正体が狩野派の考えかたが残ってるからなのかなぁ?というところに落ち着きました。
真相は謎ですが、たぶん9割ぐらい合ってると思います。
そんなこんなで、水墨画には「一見さんお断りの老舗高級料亭」のようなちょっと敷居が高いような雰囲気があるかと思います。
だからといってそれを否定してるわけではなくて、それはそれで大変素晴らしいと思ってます。弟子入りすることで目指すものができるとそれがモチベーションにもなったりするので。
でも僕はそういうものにとらわれることなく、もっと自由に絵を描きたいと思っていて、弟子入りするにしてもこの人に教わりたい!っていう憧れがないと、結局続かないので無意味です。
そしてそのような人は身近にいなかったので仕方なく独学で水墨画を描くことにしました。
いろいろ試行錯誤して発見した描きかたがコチラです。
僕は一般的な水墨画の技法は一切使っておりません。
挑戦はしてみたのですが、すごく難しくて時間がかかると思ったので早々あきらめました。笑
じゃあどうしたら水墨画を楽しめるんだろう?といろいろ試行錯誤してこんな独自の水墨画を描くに至ったのですが、皮肉なことに普通に技法を練習したほうがよかったんじゃないかと思うぐらい時間がかかってしまいました。
この手法で描くとまるでそこに実際にあるんじゃないかっていうぐらい浮き出てくるような立体感と奥行き感があって、空気をも表現できる描きかたです。
詳しくはオンライン水墨画教室で解説しているのでよかったらのぞいてみてください(*^^*)
水墨画の道具
こんな水墨画を描くために特別な道具を使っているわけではありません。
いたってシンプルで墨、筆、硯、紙があればそれでおっけーです。
しかもこの絵を描いた道具は全部足しても千円ぐらいです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
⇒初心者でもお手軽!お金をかけずに水墨画の道具をそろえる方法
上の記事でも語っていますが、身の回りのものをうまく使えば道具はなんでもいいということを証明できました。
僕が考えたのはまず描く楽しさを覚えることだと思って、とにかく安いものを集めました。
一部では道具は大事だから書道用の筆はダメだみたいなことを言う人もいらっしゃいます。
でもそれはある程度描くことの楽しみを覚えてからでいいと思います。
自分が何を描きたいかもわからない、描く楽しさもわからないうちから良いものをそろえる必要はまったくありません。
いや、そもそも道具の良し悪しなんてわかりません。
たとえ画材屋さんの人が「これは使いやすくていいですよ!」って言ったところで道具には相性もあるのでそれがあなたに合うかどうかは使ってみないとわからないことです。
なので安いものから始めるのがいいかと思います。
水墨画の描きかた:いきなり筆は持たないほうがいい
道具がそろったらあとは実際に描くだけです。
…と言いたいところですが、いきなり筆で描き始めるのはおススメしません。
ここまできて何を言ってるの?って感じですが、筆って先が柔らかくて扱いが難しいので高確率で失敗しちゃうんです。
失敗すると描くのが楽しくなくなってしまって最悪やめてしまいます。
それは非常にもったいないので、先にエンピツで描けるようになってから筆に切り替えたほうがいいと思います。
エンピツだと硬さがあるので線を描くときも安定感抜群で、描きやすいです。
ある程度絵を描いた経験があったとしても、まずはエンピツで基本的な画力をじゅうぶんに上げてからのほうがいいと思います。
これぐらい描けるようになってからだとメチャクチャ楽しくなります。
ここまで描けるようになるために僕は相当練習しましたが、それは独学で描いてきたので、コツをつかむまでに時間がかかってしまったからです。
今では描くためのコツがわかってしまったのでそんなに時間をかけることなく上達できる術を知っています。
なんでエンピツなのかというと、僕の手法で描く水墨画は鉛筆画に感覚が非常~に似ているからです。
そもそも絵の基本がエンピツだってこともあるのですが、そこにさらに輪をかけて水墨画って白黒なんです。
エンピツで練習すると、構図、形のとりかた、質感、量感、光と陰影の使いかたなど、もろもろ絵を描くために必要な技術をすべて習得できます。
水墨画は色がない絵画なので、この光と陰影というのはものすごーく大事なことなのです。
カゲがあるから光が際立って光があるからカゲも引き立つのです。
エンピツでは陰影の部分を何回もエンピツで線を重ねることでコントラストをつけるのですが、この技法をそのまま筆でやるのが僕の水墨画の手法です。
僕の作品が鉛筆画と間違われることが多いのはココです。
まとめ
以上、本に載っていない誰にでも始められる水墨画でした。僕のオンライン水墨画教室では描きかたとか筆の使いかたとかをさらに細かく解説しているのでよかったらのぞいてみてください(*^^*)
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