水墨画にとって欠かせない道具のひとつ。
それは墨です。
墨がないと水墨画は成り立ちません。
、というか、墨がない時点で水墨画ではなくなりますね。
今回はそんな水墨画には欠かせない「墨」のすりかたについて
僕の経験から役にたつであろうウンチクを垂れ流していこうと思います。
ぶっちゃけ墨なんてなんでもいいと思っていたDであります。
関連記事⇒水墨画の墨は種類が多くてよくわからないけど結局は黒1色だから一緒
でも使っているうちにいろいろとこだわりというか
「もっとこうしたい」みたいなものがいろいろ出てきたので
みなさんと共有したいなと思いこれを書こうと思いました。
墨のすりかたひとつでいろいろ変わります。
墨をすりかた①水の種類で墨は変わる
まず墨をするにあたって必要なもの。
それは「水」です。
ただ、僕もそうでしたが最初はそれこそ水なんて水道水で全然いんじゃない?
、と思ってました。
でも本当に細かいところまでこだわりだすと、水すらもちゃんと
性質とか温度とかを理解してやるだけで墨の質が全然変わります。
ただそこまで理解しようとするとある程度の年月がかかるのは間違いないです。
僕はそこまで理解するのに3年はかかりました。
なのでわからなくても全然大丈夫です。
最初は水道水で全然おーけーです。
ただ、水道水をそのまま使うのではなく、
常温(およそ20℃以上)に戻してから墨をすったほうが墨が程よく水に溶けてくれます。
、というのも、水道水の平均的な温度は季節や地域によっても
差はありますが、だいたい10℃〜20℃の間で推移しています。
寒い地域になると10℃以下になることもしばしば。
ヘタすると水道管凍ってますからね。
墨を作るときに使う膠(にかわ)というタンパク質を使います。
この膠は18℃以下になるとゼリー状に固まるという性質を
持っているので水道水をそのまま使うと墨がほどよく溶けにくいので
墨をするときの水の温度が低いとそのぶん時間もかかってかつ、
墨のいいところを最大限に引き出せないということも考えられます。
なので墨をするときはできるだけ常温に戻してから使うのがベストですね。
さらに言えば墨をするときに使う「硯」も冷たい状態で使うのではなく、
20℃〜30℃のお湯をかけて温かくしてから使うのがいいですね。
墨のすりかた②力を入れすぎると墨が潰れる
墨は力任せにすっても良い墨はできません。
優しめの力加減で何回も何回も時間をかけてゆっくりやると良い墨ができます。
僕は最初、そんな知識もなかったのでとりあえず力任せにやってました。
力を入れてやると最悪の場合墨が折れてしまうこともあります。
僕は折れるまではいきませんでしたが、
細かい墨のカケラが出るぐらいにはなってしまったことがあります。
そこまで力を入れてすると墨のいいところはうまく引き出せません。
墨をする目的は、墨の原料である「煤」を水の中に分散させることにあります。
煤は煙や炎の中に含まれる炭素の黒い粉末です。細かい煤の集合体が墨です。
その煤をうまく分散させるためには力ではなく、速さです。
イメージとしては紙に描いたエンピツの線を消しゴムで消すときに
力任せに消そうとすると紙が破れてしまいますよね?
でも適度に力を入れて手首を速く動かしてやると
紙を傷つけることなくキレイに消えてくれます。
そんなイメージで墨をするとちょうどいい感じですね。
墨のすりかた③温度や湿度を感じ取ろう
墨をするときの水の温度が大事だという話を上のほうでしましたが、
それとあわせて、室内の温度や湿度も大事なことです。
室内の温度が低いとそれにあわせて水温も低くなって
しまうため、墨がいい感じに分解されにくくなります。
プラス、寒いと手が思うように動かなくなるので少なくとも
室温は20℃以上、できれば24℃ぐらいがベストじゃないかなと思います。
湿度に関しては特に検証したわけではないですが、
墨の性質上、水分を含むことはあまりよろしくないので
あまり高くないほうがいいのかなと思います。
墨のお手入れ
墨は「煤と膠」を原料にして練って固めたものです。
日々の気候条件でいろんな変化が起きます。
直射日光、湿度が高いところ、冷暖房の風が当たるような場所などは
墨がいちばん嫌う場所なので、できるだけそういった変化が少ない場所がいいです。
その条件を満たしているのが墨を購入したときに墨が入っている「桐箱」です。
すった墨はすぐに水分を拭き取って桐箱の中に入れましょう。
桐箱の中に入れて直射日光の当たらないところで保管しておくと墨は長持ちしてくれます。
まとめ
以上墨をするときのウンチクでした。
大切なことは墨の原料や性質を知ることでそれに適した方法が
何かということを理解すれば必ずいいものが生み出せるということですね。
墨は職人さんがひとつひとつ丁寧に練って作ってくれています。
それを知るだけでも墨に対して愛着がわきます。
職人さんの想いを僕ら水墨画家が形にする。
そんなふうに考えるとより一層作品づくりが楽しくなりますね。
初めまして。
私、坂本憲彦と申します。
ポーランドという国で日本酒や日本茶を販売している会社を経営しております。
今回、1つの日本酒のラベル(弊社オリジナル)のデザインを考えておりまして、墨のアート(水墨画)のラベルが良いと思っております。
そのデザインを考える中で、インーネットで検索しているとこの記事にたどり着きました。
いくつか作品をネット上で見させていただきましたが大好きです。
素晴らしい日本酒ラベルになる事がイメージ出来ています。
弊社の取り扱う日本酒ラベルデザインに協力していただけないでしょうか?
どうか良い返事をいただけることを願っております。