水墨画初心者のための水墨画の魅力に取り付かれた男のハナシ

数ある絵画の中で水墨画というジャンルはなにかこう、お手軽に出来ないような雰囲気があります。そんな高級感も魅力のひとつではあるのですが。

そんな水墨画の魅力に取りつかれた男、ワタクシ「D」の話で恐縮ですが、どうぞこのままお進みください。

僕自身、「水墨画の魅力」とかいかにも水墨画大好きな感じを出してますが、始める前の水墨画に対するイメージといえばなんかとっつきにくいという超ネガティブな印象を持っていました。「お高くとまってんじゃねーよ」みたいな、どっちかというとかなり否定的だったことはどうかお許しください。

でもこれって水墨画をよく知らない人からするとしかたないのかな、と思ったりします。山水画とかってどう見ても歴史を感じる代物なのでとっつきにくいって感じてしまうのは避けては通れないものだと思います。老舗の高級料理屋さんみたいな感じです。

でもそれってよく考えたら誰にも責任がないことなんです。島国である日本という国の環境がそうしてしまったので、それをどうこう言っても仕方なくて。むしろその環境があったからこその「今」です。

僕は個人的にはもっと広く水墨画の良さ、面白さをたくさんの人に知ってもらいたいなと思っています。でも今の状態だとそれがちょっと難しいなぁと感じているので、じゃあ今の環境を変えれるように自分が頑張ればいいじゃないかと。

それを考えるきっかけになったできごとがあります。

初めて公募展に出品したとき、ありがたいことに賞をいただいたんです。表彰式があるということだったのでワクワクして出向いたところ、まわりの人たちの作品はどれもこれも素晴らしい作品ばかりでした。それはそれは貴重な経験をさせてもらえてよかったのですが、ちょっともったいないなーと感じたのも事実です。

というのも、僕以外の人たちの年齢層が非常に高くて、僕が完全に浮いてしまってる状態だったんです。たぶん平均年齢が僕の倍ぐらい。。。

水墨画という老舗高級料理屋さん気質がゆえにしかたない部分は間違いなくあると思います。

でもエネルギーはすごかったです。水墨画が大好きなんだなこの人たちは、っていう熱意はすごく伝わってきました。

全国各地からいろんな人たちが水墨画のためにひとつの場所に集まってて、おそらく1000人以上は集まってたんだと思います。そのすさまじいエネルギーをもっといろんなところに向けられたら、もっと水墨画というものがいろんな世代の人たちに認知されて、もっとたくさんの人が幸せになれるんじゃないかなーと。どんな世代でも楽しめる環境を作れたらそんなに楽しいことってないよなーと。

 

新たな発見

 


Dの水墨画作品

僕の水墨画が今のような作風になったのは、とある水墨画家さんとの出会いがきっかけでした。

僕は水墨画を独学でやってきたので水墨画業界がどんなものなのかまったく知りませんでした。でもいろんな水墨画作品をみて勉強はしていて、自分がどんな作風で描きたいのかを模索していました。

なんとなくこんな感じにしたいなーというイメージが頭の中でボンヤリとはあったのですが、今ひとつこれだ!というのがつかみ切れていなかったんです。

そんな僕にとってその出会いはまさに衝撃的なものでした。それが外崎裕漄さんという方の作品だったのですが、それまでの自分の中の水墨画というものに対してのイメージを一気に崩してくれました。

その作品がこちら。

 

この作品に出会った最初の感想は作品の圧倒的なクオリティの高さに度肝を抜かれたのと、「え?こんなこともしていいんだっっ!」という意外性のダブルパンチでした。それまでモヤモヤしていた胸の中の霧がパァーッと晴れた瞬間でした。

固定概念というのはおそろしいものです…ホント……。

そのとき自分の進むべき道がやっと見えた気がしました。そして今までバラバラに散らばってたパズルのカケラたちがすべてひとつに繋がったような。そんな感覚になって「これだ!」ってなりました。

このカケラというのは水墨画の魅力を分解して考えたものです。めんどくさい言いかたをしてしまってスイマセン。。。

※お察しかもしれませんがここからは完全に水墨画家Dの戯言です。

カケラその1:水墨画には色がない

 

まず水墨画には「色という概念がない」が大前提としてあります。色がないのがなぜに魅力なのか?理由はシンプルに「モノクロ写真みたいでカッコイイ」です。

モノクロの写真ってなんかカッコイイじないすか?それだけで雰囲気があるというか。

これだけです。言語化するのが非常に難しくて。

好きな異性にどこが好き?と聞かれるのと同じで明確な答えが見つかってないのが現状です。

色がないというのはなかなかの厄介者でして、空を表現しようと思ってもそれが青なのかピンクなのかを出せないのです。なので画面の構成だったり登場人物だったり、見る人にそれが何なのかをわかってもらうための要素をたくさん考えないといけないのが水墨画です。

白と黒だけで画面を構成するということはその物の形や特徴を、しっかりつかんで表現しないといけないので必然的に画力がないと何も始まりません。

これはなにも水墨画に限ったことではありませんが、シンプルに画力で勝負したいという人にはまさにうってつけのジャンルでしょう。僕はまさにそれです。これが水墨画の魅力のひとつです。けっこうめんどくさいやつが好きなのかもしれません。

カケラその2:画面の構成力で勝負

 

先ほどの色がないのとかぶりますが、画面をどう構成してその作品を見た人にどうなってほしいか、を考えるのも水墨画ならではの面白さがあります。

たとえば夕日を表現したいと思ったとき。色がないという制約の中でどうすれば夕日を感じてもらえるか。登場人物を真っ暗にしてその奥を光らせたら夕日に見えるかなーとか。制約の中で考えるといろいろなアイデアが出てくるもので「逆に色あったらこんなこと思いついてないかも。」っていうこともけっこうあったりします。

そんでもってそのアイデアで絵を描いて、人に見せてわかってもらえたときの快感は何物にも代えがたいものがあります。

こんな感じですね。

ひとつの枠の中に何があるか。見た瞬間にそれとわかるものならその位置や角度、ポーズのとりかた。ほかの登場するものがなにか。

などなど、それを考えるのもまたひとつの魅力なのだと思います。

 

カケラその3:光と影

 

もうひとつはこれなくしては水墨画は語れません。

それが光と影です。こんな言葉がありました。

「光」を描くために「影」を描く。

    ー井上雄彦ー

この言葉はまさに水墨画のためにあるんじゃないかというぐらい印象的でした。光があるから影があり、影があるから光がある。そしてその光と影を描くためにぼかしたり滲ませたりという技術を駆使する。

ぼかしたりにじませたりは、水の使い方ひとつで良くも悪くもなります。水墨画は基本的に修正がきかないのでひとつ間違えてしまうとイチからやり直しというハメになってしまいます。なのでひと筆たりとも油断ができません。

間違えてしまったときの絶望感といったらもう。

そんなハラハラドキドキのスリルも水墨画の魅力のひとつなのかもしれません。

最後に

 

水墨画はシンプルな絵画です。色がなくて使う道具も墨と筆だけ。

だけどシンプルだからこそ描く人の想いとか伝えたいこととかがストレートに表現される芸術でもあります。

思ってるよりもお手軽に始めれてなおかつ奥が深い

そんな水墨画の白と黒の世界をいかがでしょう。

 

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Dの水墨画作品集

 

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