足首の捻挫はいろんなスポーツの現場でよくあるし、普通に歩いてても突然足がガクッとなって足を挫いてしまうこともある、比較的起こりやすいケガです。

痛いですね。
ひどいときは歩けないほどの痛みに襲われてしまうことも珍しくありません。
でも「そこまで大したケガじゃないよなぁ」っていう印象があるんじゃないかと思います。
おっしゃる通りで、軽いものなら翌日には痛みが消えてしまうような軽いケガです。
…なのですが。
「大したことない」と油断して放置していると思わぬ後遺症に苦しんでしまう厄介なケガでもあります。
とはいえ、命に関わるとか、日常生活に差し支えるとかそんな大それたものではないです。足がむくんでみた目がブサイクになってしまったり、足首に違和感とかダルさを感じたり、何かとうっとおしい程度のヤツです。
でもヒドイときには痛みを感じることもあります。
もっと厄介なのは数年先、人によっては十年以上先にむくみとか痛みが発生するので、誰もその原因が何年も前の「足首の捻挫」だとは思わないところです。ココがすこぶる厄介で、たいていの人は「何これ??なんで痛いん!?」「何?このダルさは??」と、パニックになってしまいます。
原因がわからないので整形外科を受診したりしますが、レントゲンを撮っても「特に異常ナシ」と診断されてしまい、そして特に何もしてもらえずにとりあえず痛み止めとかシップを処方されるだけです。
こっちからすると「いや、痛いんやからなんとかしてよ!」と言いたくなるんですけど、この原因をキチンと診断できるお医者さまがあまりいらっしゃらなくて、残念ながら彼らには何もできないのが現状なんです。だからヘタに余計なことして悪化させてしまうぐらいなら何もせずに帰ってもらったほうがどっちにとってもハッピーなわけです。
そういう、お医者さまでもどうにもできないっていうケースがほとんどなので泣き寝入りせざるを得ない人がほんとーーにたっくさんいらっしゃるのですが、僕はそれを治すことができたので、今から原因とどうやって治したのか?を解説したいと思います。
5分ほどお時間いただけたら幸いです。
足首の捻挫を解説します
骨と骨が連結している部分を「関節」といいますが、たとえばヒジがどう頑張っても180度以上は伸びないように、「関節」っていうのは骨の凹凸とか靭帯とかがうまい具合に作用して、必要以上に曲がらないような作りになっています。

これはある程度動きに制限をつけておくことで、皮とか肉とかいろんな組織が引きちぎれてしまうのを防ぐことができるからです。
足首も同じように靭帯がたくさん付いていて必要以上に曲がらないような作りになっています。

この靭帯はわりと強力で普通に歩いたり走ったり飛んだりするぐらいの衝撃では傷つくことはありません。でもたとえば段差でつまづいたり、ジャンプして着地に失敗したりと、許容範囲を超える衝撃を受けて本来曲がるはずのないところまで強制的に曲げられてしまうとさすがの靭帯も傷ついてしまいます。
この靭帯が損傷してしまった状態を「捻挫」と呼んでいます。
足首の捻挫でいちばん多いのが前距腓靭帯という靭帯の損傷なのですが、これはわりとどうでもいい情報です。#なんで言ったん
程度の軽い捻挫なら靭帯は特に傷ついてなくて伸びてしまってるだけで、翌日にはふつうに立ったり歩けたりするぐらい放っておいても勝手に痛みは消えていきます。
これはちょっとひどいなぁ…っていうものでもシップ貼ってテーピングとか包帯とかで固定しとけば長くても2~3週間もあれば痛みは消えます(個人差はありますが)。
こんな感じで特に命とか日常生活に大きく影響することがないので軽くみられてしまいがちな「足首の捻挫」です。
でも、だからこそ見落としてしまう大きな落とし穴があります。
治ったと思ったのに??

多くの人は痛みがなくなれば治ったと思います。
まぁ、そりゃそうですよね。
でも冒頭でもお話ししたように、この足首の捻挫が原因で数年後に突然痛みが襲ってくることがあるっていうことは、実は痛みはなくなってても「完治」はしてないんです。
どこが治ってないのかっていうと、だいぶ上のほうのヒザに近い部分です。
もし今あなたが足首に違和感、ダルさ、痛みを感じてこれを読んでるなら、写真の赤丸の部分をさわってみてください。

たぶん筋肉がだいぶ硬くなってると思います。
そいつが原因です。
なんでここが原因なのかといいますと、足首を動かす筋肉がここにあるからです。
下の写真の赤い部分が筋肉です。

こんな感じで足首周辺には筋肉がなくて、足首を動かす筋肉は足首からだいぶ離れたところにくっついてるんです。
筋肉ってそれなりに大きくないと力を出せないんですけど、とはいえ足首の周辺にそれなりに大きな筋肉があったら邪魔でしかたなくていろんな動きに制限がかかってしまうっていうジレンマが生まれてしまうんです。
でも人間の体ってうまいこと出来ていて、そのジレンマを見事に解決したのが写真のように「離れたところから遠隔操作する」だったんです。

筋肉から白いヒモみたいなものがみえると思いますが、これが「腱」と呼ばれる筋肉と骨をつないでいて遠隔操作するための組織です。
有名なのは「アキレス腱」です。

なので足首だけじゃなくて足の指を動かす筋肉もこのふくらはぎのところにくっついて遠隔操作しています。
捻挫すると足首が強制的に内側に曲げられてしまうので筋肉もそれに引っ張られて許容範囲を超えて伸ばされてしまうんです。

そのときに筋肉に傷がついてしまうことがあるんですけど、足首のほうが痛いのでこの筋肉の傷なんて誰も気がつかないんです。
で、その筋肉の傷に気づかないまま放置してしまうので筋肉にかさぶたみたいなものができて血流が悪くなってしまいます。
血流が悪くなった筋肉には疲労物質が少しずつ溜まっていきます。キッチンの排水溝にゴミが溜まるイメージです。ホントに少しずつ溜まっていくので僕らはそれに気づくことができません。そして長い年月をかけてゴミだらけになった筋肉は少しずつ硬くなっていきます。筋肉が硬くなり始めると、違和感を覚えます。
「ん?なんか変だぞ?・・・」
この違和感はどういうわけか写真の赤丸部分ではなく足首にくるんです。ゴミが溜まってるのは赤丸部分なのに。

そんな不思議なことが人間の体のあちこちで起こっています。たぶん足首は「腱」の通り道で、くるぶしが滑車の役割を果たしていて、そこにいちばん負荷がかかっているからだと思われます。

そして違和感を感じてはいるんだけれど、見て見ぬふりをしてしまいます。
「なんか変だけど、そんなに大したことじゃないだろう」と。
そして違和感を放置したまま時間だけがドンドン過ぎていき、筋肉にはさらにゴミが溜まって、より硬くなっていきます。そうなると今度は違和感からダルさに変わります。重さを感じる人もいらっしゃいます。
ダルさを感じてもやっぱり見て見ぬふりをしてしまうんです。人間痛くならないと動かないものなんですね。
僕も歯医者に行くのは歯が痛くなってからです。頭ではわかっているのですがなかなか良い歯医者さんに巡り合えなくて、行くのが億劫になってしまいます。誰かいい歯医者さん教えてください。
話を戻します。
ダルさを感じつつも放置してしまった筋肉にはさらにゴミが溜まっていき、筋肉はより硬くなってしまいます。すると今度はダルさから痛みに変わります。
この痛みの度合いは人それぞれですが、なんとこの痛みしばらくすると消えてなくなってしまうんです。
「じゃあ別に大丈夫じゃん」
そんな声が聞こえてきそうです。
ところがこの消えた痛みは「治った」わけではなく、脳が痛みに慣れてしまって痛みを感じなくなっただけなのです。
なので「痛みが消えたからもう大丈夫だろ」とそれをさらに放置してしまいます。
するとどうでしょう。
またそこからさらに痛みを感じるところまでゴミは溜まっていきます。そしてまた脳が痛みに慣れて痛みを感じなくなります。
このループがずーーっと続きます。
最終的にふくらはぎの赤丸部分はカッチカチになってしまいます。

まとめると、
1.捻挫をして足が強制的に曲げられる
↓
2.同時に筋肉が伸ばされる
↓
3.伸ばされた筋肉に傷がつく
↓
4.筋肉の傷がかさぶたになって血流を邪魔する
↓
5.血流が滞った筋肉にゴミが溜まる
↓
6.ゴミが溜まった筋肉が硬くなる
↓
7.違和感を感じる
↓
8.放置してさらにゴミが溜まる
↓
9.ダルさ・重さを感じる
↓
10.放置してさらにゴミが溜まる
↓
11.痛みを感じる
↓
12.脳が痛みに慣れて痛みを感じなくなる
↓
13.放置してさらにゴミが溜まる
↓
14.より強い痛みを感じる
↓
15.脳が痛みに慣れて痛みを感じなくなる
↓
13→14→15の無限ループ
こんな感じで捻挫の後遺症は発展していきます。足にむくみが起こるのはかさぶたによって血流が滞るからです。
治す方法
この足首の違和感およびダルさ、痛みを治す方法はただひとつ。
溜まりに溜まりきったゴミを排除すればいいだけのことです。
言葉で言うとすごく簡単なように思えます。
でも、想像してみてください。
10年以上掃除もせず放置された、キッチンの排水溝の姿を。もちろんただ放置するのではなく、毎日3食分、料理をしたり皿洗いをした上で、です。料理はするので魚の内臓とかお肉の切れ端、卵の殻、食べかす、その他もろもろのありとあらゆるゴミが排水溝には溜まっていきます。でも掃除は一切しません。たぶん1週間もすれば排水溝はゴミだらけになって水の流れがめちゃくちゃ悪くなっています。そしてゴミはゴミで腐食してまわりにこびりついていきます。それを10年間放置します。
…想像してみてください。

気持ち悪くてたまったもんじゃありませんよね。
あなたの足首周辺はそれと同じことが起きているかもしれないのです、、、。
しかもそれを掃除するってなるとゴミが至るところにこびりついているのでなかなか取りにくい、骨が折れる作業です。
もちろんこれはゴミのこびりつきかたもゴミの質も人それぞれなので、1回の治療で取り除ける人もいれば半年ぐらいかかってやっとスッキリ、という人もいます。
ゴミを取り除く方法は筋肉をほぐすことです。

ほぐしかたはマッサージをする、温める、ストレッチをする。
およそこのみっつ。
ふくらはぎに溜まったゴミは体にとっては異物です。本来あってはならないものなので取り除こうとするとそれなりの痛みをともなうことが往々にしてあります。
痛いのはイヤだ、という場合は優しくほぐしてあげてください。ほぐすのはお風呂上がりの筋肉がゆるんでる時間帯がいいと思います。
手の親指のつけ根の母指球あたりで。

ただ、そのやり方だとすこぶる時間がかかります。しかも毎日ゴミを取り除かないとまたゴミはすぐに溜まっていってしまいます。早く治したい、という場合は痛みをともなうやり方でやるしかありません。
…どっちがいいですか?
以上、足首の捻挫の後遺症についてお話ししてまいりました。
何か質問がある場合はコチラから受け付けておりますのでお気軽にどうぞ(*^^*)。
関連記事⇒整形外科医が何もしてくれないのは能ナシだから:その理由を徹底解説!

起こりうる二次災害
僕ら人間は非常によくできていて、体のどこかに危険が近づいたりすると意識せずともそれを避けようとします。熱いものを手でさわったときに反射的に手を引っ込めてしまうのも無意識にやってしまいますよね。

それと同じように、体のどこかに異常があると無意識にほかのところで補おうとするんです。
たとえば右足首を捻挫して治りきってなくて違和感を感じてるとします。違和感は普段はあまり意識することがないようなほんの微々たるものです。
でも脳はその微々たる違和感をもしっかり感じ取って、「右足首周辺に異常が起きている」と認識します。
すると脳はこのまま通常どおり右足を使い続けると危険だ、と判断して右足の体重の負担を軽くしようとします。
それは比率でいうと右45対左55ぐらいの微々たるものです。あまり大きくしすぎると今度は日常生活に支障が出るためです。そうやって脳は僕らの体を守ってくれています。
でも、この一連の動きを僕らは認識できていません。
完全に無意識です。
無意識だからこそ普通に生活を送ってしまいます。でもわずかに重心が左に偏っているので左足の負担は増えます。
これがたとえば1週間とか、短い期間なら特に問題ありませんが、数年、十年以上も続くと左足にはものすごい疲労が蓄積していきます。
「チリも積もれば何とやら」です。
しかもそれは足だけにとどまらず、腰、肩、体のあらゆるところにおよびます。
人間の足は日本しかないのでどっちかがおかしくなるとどっちかの負担が大きくなって二次災害を生んでしまいます。
捻挫してからあちらこちらが痛くて腫れています。最初は右の下腿を捻挫して左側に重心をおいて歩いていましたがじきに左側の足首や右の膝から足の甲などが痛くて腫れてきました。このまま治らないのでしょうか?歩くのもやっとです。
こんにちは。
ぼくはそういう人たちを何百人と治してきました。
なので治らないということはないかと思われます。
どんな痛みにも必ず原因はあるので。